蕎麦 Ⅹ【後】その他の分類 新蕎麦(しんそば) 陳蕎麦(… 

 

蕎麦料理の種類

つけ・ぶっかけ・かけの別のほか、用いる具材によりさまざまに分かれる。主となる具材のある蕎麦料理を特に「種物」と称することがある。

鴨せいろ

ざる蕎麦/盛り蕎麦

ざる蕎麦寿司セット(せいろに乗っているのがざる蕎麦)

流しそば(鶴岡市

特別な具材を用いないつけ蕎麦をざる蕎麦ないし盛り蕎麦と称する。2つのメニューが並列する場合、ざる蕎麦のほうがやや高い値段がつけられていることが多い。

元来、ざる蕎麦と盛り蕎麦の区別は、蕎麦の器(容器)の違い(ざる蕎麦は竹ざるに乗せる)と、蕎麦つゆの違い(「ざる蕎麦」は通常よりコクのあるつゆ)だったが[55]、その後は海苔のかかったものを「ざる蕎麦」、かかっていないものを「盛り蕎麦」と呼んで区別している[56][57]。ほかに、器の名を転じて品書きが「せいろ」[58]、「皿そば」などとされる場合もある[56]

ざる蕎麦の発祥は、深川の州崎弁財天前にあった伊勢屋が、蕎麦を竹ざるに乗せて出したところ評判が良く、大いに売れたことによる[56]。ほかの蕎麦屋がこの手法を真似ることで「ざる蕎麦」が広まった。なお、冷たい蕎麦に刻んだ海苔を散らすようになったのは明治以降である[56]

盛り蕎麦の「盛り」の語は、現在の掛け蕎麦である「ぶっかけ」の対義語で、元禄時代に流行した「ぶっかけそば」と区別するために汁につけて食べるそばを「もり」と呼ぶようになった[56][57]。したがって、ざる蕎麦の「ざる」の対義語が「盛り」ではない。

かけ蕎麦/素蕎麦

かけそば」も参照

特別な具材を加えず、熱い汁をはった蕎麦を指す。

つけ蕎麦

従来のめんつゆや肉南蛮にみられるめんつゆではなく、つけ麺寄りの創作つけ汁と具を用いた蕎麦。高田馬場の「つけ蕎麦安土」が屋号で初めて名乗ったとされる。「肉そばあるいは肉南蛮」と「つけ蕎麦」の分類が非常に曖昧である。肉そばで有名な新橋の「港屋」系の蕎麦屋は「肉そば」、見た目はつけ麺でも麺は「日本蕎麦」なのが「つけ蕎麦」と分類するのが正しい。

きつね蕎麦/冷やしきつね蕎麦

詳細は「きつね (麺類)」を参照

きつねそば(英国ブライトン

かけ蕎麦で、甘く煮付けた油揚げの好物とされる)を具とするもの。細切れを載せる地方もある。ぶっかけ蕎麦でも用いられ、特に「冷やしきつね蕎麦」と称することがある。この場合は細切りが多い。

たぬき蕎麦/冷やしたぬき蕎麦

詳細は「たぬき (麺類)」を参照

たぬきそば

かけ蕎麦で、天かす(揚げ玉)を具とするもの。天ぷらのかわりにのせる=「タネ」がない、つまり「タネ抜き」がなまって「たぬき」、あるいは天ぷらの代わりとして「騙す」意味からきた呼び名とされる。ぶっかけ蕎麦でも用いられ、特に「冷やしたぬき蕎麦」と称することがある。

天ぷら蕎麦/天ざる蕎麦

かけ蕎麦で、天ぷらを具とするもの。江戸中期に貝柱のかき揚げなどを載せたのがはじまりという。エビの天ぷらを載せたものが高級とされ、他の天ぷら蕎麦と区別するため、「上てんぷら蕎麦」「えび天蕎麦」と称することもある。天丼のように雑多な天ぷらを載せたり、東日本ではかき揚げ、西日本では小海老(体長5cm未満)と大きな衣の天ぷらを用いることもある。関東では竹輪を、九州ではさつま揚げを用いることもある。

つけ蕎麦にも天ぷらが添えられ、特に「天ざる蕎麦」ないし「天せいろ蕎麦」と称する。この場合、多くは天ぷらが別の器に盛られ、天ぷらを蕎麦猪口に入れて蕎麦と共に食べるなり、副菜として別々に食べるなり随意に食べられる。

月見蕎麦/冷やし月見蕎麦

詳細は「月見#料理における月見」を参照

月見蕎麦

かけ蕎麦で、生卵をつゆの中に割り入れたもの。黄身を月に見立てる。ぶっかけ蕎麦でも用いられ、特に「冷やし月見蕎麦」と称することがある。この場合、生卵ではなく半熟卵が用いられることも多い。

とろろ(山かけ)蕎麦/冷やしとろろ蕎麦

つけとろろ蕎麦(ざるに乗っているが盛り蕎麦)東京・根津

かけ蕎麦で、山芋長芋のすりおろしと卵白身をあてたものをかけた蕎麦。うずらの生卵か黄身ものせて供される場合が多い。ぶっかけ蕎麦でも用いられ、特に「冷やしとろろ蕎麦」と称することがある。つけ蕎麦でも用いられ、蕎麦猪口のつゆの中にとろろを入れて食べる。

おろし蕎麦

ぶっかけ蕎麦で、大根おろしを具とするもの。つけ蕎麦でも用いられ、蕎麦猪口のつゆの中に大根おろしを入れて食べる。越前そばが名高い。

南蛮蕎麦

鴨南蛮

かけ蕎麦で、唐辛子・ネギなどを用いて調理したもの。『嬉遊笑覧』に記述がある、文化年間に馬喰町に存在した「笹屋」が元祖とされる[59]。名称の由来は、鴨南蛮を参照。

鴨南蛮
鴨肉の肉を用いたもの。
鳥南蛮
鶏の肉を用いたもの
肉南蛮
牛や豚の肉を用いたもの
カレー南蛮
カレー粉を蕎麦のつゆでのばし片栗粉でとろみをつけた汁をかけたもの。
考案者については以下のようにいくつか説がある[60]
  • 明治41年(1908年)ごろに麻布の「朝松庵」で発売された。朝松庵はその後、中目黒に移転し、現在に至っている。
  • 明治42年(1909年)に大阪の「東京そば」で発売された。東京そばは、朝松庵二代目の角田酉之介が開いた朝松庵の大阪支店とされる[61]
天南蛮
通常の天ぷら蕎麦よりネギを多用したもの。天ぷらの分量が減っている場合もある。

山菜蕎麦/冷やし山菜蕎麦

かけ蕎麦で、山菜水煮を具とするもの。ほとんどの場合パックの加工品が用いられる。ぶっかけ蕎麦でも用いられ、特に「冷やし山菜蕎麦」と称することがある。

なめこ蕎麦/冷やしなめこ蕎麦

なめこおろしそば

かけ蕎麦で、ナメコを具とするもの。他のキノコ類を一緒に入れる事が多い。元は山形県内陸部・東北・北関東など天然のなめこが採れる地方にて食されていた、なめこと大根おろし等を具材に用いた蕎麦[62]。ぶっかけ蕎麦でも用いられ、特に「冷やしなめこ蕎麦」と称することがある。

コロッケそば

コロッケ蕎麦

コロッケ蕎麦は浅草にあった「吉田」が出したものを元祖とする[63]。当時のコロッケ蕎麦は蕎麦の上に鶏肉のつくねをのせたもので、今でいうコロッケを乗せたものではない。現在では「吉田」の後を継いだ銀座の「よし田」で元祖コロッケ蕎麦を提供している[64]

現在ではかけ蕎麦にコロッケをのせたもの。関東近県の立ち食いそばを中心とした安価なそば店で提供されている。他地域での知名度は低かったので、インターネットなどを介して発信されるや、一種のローカルフードとして好奇の視線が注がれた。また、その組み合わせのインパクトが持つ話題性に乗じて即席めんとしても発売されるなどの展開も見せている[65]

作り置きのコロッケが用いられる事が多く、この事がそばにのせた際にコロッケが溶けて崩れてしまうことの防止につながっている。[要出典]

その他