超心理学 Ⅱ 集団催眠スピリチュアリティ 鼠講宗教の 

 

研究者の態度のマッピング

マイケル・フリードランダーは、概観すると超常現象が実在すると頑固に信じている人と、実在を頭から一切否定する人に、真っ二つに分かれている[22]と指摘した。 この両者の中間地帯に、比較的人数が少ない、第三のグループが存在していて、超常現象に関する主張を検討するにはやぶさかでないという姿勢で実験に勤しんでいる[23]。 この第三のグループも、さらに二派に分かれているように見える[23]と述べられることがあり、片方の派は、非常に懐疑的であるものの、厳密で科学的な対照標準を持ち込んで実験や研究[24]を行っている。この人たちは、今でも中立的な姿勢を守っており結論を出していないが、(超常現象の実在の立証に関して)成果と呼べるようなものは今日まで提出していない[23]と言う。 もうひとつの派は、上記の派とは鏡像のような関係にあり、現代科学のテクニックを大いに活用しているものの、超常現象を共感をもって受け入れたがっていて、実験の対象に(上記の派に比べて)より思いやりがあり、また自身の過ちにも寛容であるように見える[23]、と述べた。

研究者の態度について、石川幹人明治大学教授は、公開サイト「超心理学講座」の「超心理学における7つの誤解」では、「(超心理学者は)信奉は棚上げにして、経験的事実にもとづいた研究を行なっている。超心理学者のなかには、懐疑論者も多くいる。当然、霊魂の存在などを前提とすることはない。」とした[25]

研究・実験の例

初期

初期の実験、ラインが行ったものでは、特別なカード(ゼナー・カード)のなかから、ランダムに一枚を選んで伏せ、それがどんな図柄のカードか、被験者に当てさせるという実験を行った。

現代

ロバート・ジャンやチャールズ・ホノートンなどといった人々が行っている現代の実験では、被験者が実験装置から感覚的な手がかりを得たりしないように、電子機器やコンピュータによる乱数、地球にランダムに降り注ぐ宇宙線などを利用して標的の選択を自動化している[26]

ロバート・ジャンとその協力者らによって、プリンストン大学工学部の変則現象調査研究所で行われた実験は、ランダムに選ばれる数列に対して、精神が何らかの影響を与えられるのではないかという可能性を測定するために、大規模テストを自動的に行う電子装置を設計し、被験者らは、選ばれた数値を大きくしたり小さくしたりするように求められた[27]。ジャンの実験のサンプル数、試行回数はきわめて大きかった。例えば、平均値の予想が100.00となるテストを、55000回試行し、ある被験者はスコアを上げようと努力した時の平均は100.082に、逆に下げようとしたときには平均が99.86になったと報告された[28]。 (この実験についても、批判者たちは例によって、実験手続きや統計分析を微に入り細に穿って検証し、懸念を表明した[29]

スタンフォード研究所(SRI)に在籍していた科学者、ラッセル・ターグ英語版)とハロルド・パソフ英語版)は、遠くの情景を叙述できると述べるユリ・ゲラーの透視能力をテストした。ゲラーから数百マイル離れたテストの現場へ出かけ、ゲラーは前もって決められていた時間に、遠く離れた場所にいる実験者のまわりの景色がどうなっているか言葉や絵で描写した。パソフとターグは、描写を採点するシステムを考案した。論文を書き上げ、査読制度がある科学雑誌「ネイチャー」に投稿し、それが掲載されるという栄誉を受けた。(だが、絵の同定方法や実験手続きが批判を受けた[33]。)

ケストラー記念超心理学部の主任教授であったロバート・モリスは、チャールズ・ホノートン英語版)と合流し、ホノートンはガンツフェルト実験英語版)を開発した。(ガンツフェルトとは「全体野」を意味する)。ガンツフェルト実験では、被験者の目はアイマスクで覆われ、耳にはイヤホンを付け、ホワイトノイズが流される。被験者の全感覚、すなわち全体野への入力がどれも遮断されるのである。こうして世界から感覚的に隔絶した状態で被験者は隣の部屋で一連の絵を眺めている実験者からの情報を受け取ろうと試みる。この実験を何千回も繰り返すことによって、期待される確率よりもほんの少しだけ正しく有意な予知ができるという結果が得られた[34]と言われている。ホノートンが厳密に練り上げた研究プログラムは、ホノートンが1991年に亡くなった後も続けられている[35]とも言われている。

日本

小久保秀之、笠原敏雄らが、1990年代に日本で行われた研究についてまとめている[36]

実験結果に関わる要因

超心理学における実験では、以下の要因が重要とされている。

ヤギ・羊効果

超心理学実験の得点は、超心理現象を信じる者(ヒツジ)が被験者の時は高く、超心理現象を信じない者(ヤギ)が被験者の時は低い傾向がある。この現象は偶然には1万分の1未満の確率でしか起きないにも関わらず、集合実験でも個別実験でも検出された。この効果はジョン・パーマー、ガートルード・シュマイドラー、T・R・ローレンスなどの超心理学者らの実験によって検出された。パーマーによれば、実験が成功するという状況に被験者が「心理的快適さ」を感じていた場合、ターゲットを当てやすいとされる。[37]

山羊・羊効果」も参照

実験者効果