自動車産業 Ⅳ【前右】
日本
詳細は「日本における自動車」を参照
日本の自動車産業の出発点は、1907年に山羽虎夫と吉田真太郎が東京自動車製作所で「タクリー号」を生産したことから始まった。その後、1911年に橋本増治郎が快進社を設立し、イギリスのスイフト社からシャシーを輸入して組み立てた「スイフト号」を生産し、1914年には自力で「ダット一号」を生産した。その後、1923年に関東大震災が発生し、東京の交通機関が麻痺した際に、東京市長の後藤新平は1000台の米国車を緊急輸入することで東京を機能不全から救い、日本人の間で車への評価が大いに高まったという。これに目を付けた米国の自動車会社は、1925年にフォードが横浜に、1927年にGMが大阪に自動車組立工場を建設し、1931年時点では、両社で合計二万台を組み立てていた。これに対して日本車の生産台数は400台に過ぎなかった[48]。
フォード・GMの自動車組立工場は、どちらもKD工場であったため、主要部品はアメリカ本国からの輸入であったが、補修部品を中心に日本の部品企業に厳格な査定を要求したため、結果的に日本の自動車産業の発展に大きく寄与することになった[49]。
その後、外資系企業による日本の自動車産業の独占を危惧した政府は、自動車製造事業法(1936年)を制定し、国内自動車産業の本格的な育成に乗り出した。この流れを予測していたトヨタは1933年に、日産は1934年に自動車産業への本格的な進出を開始し、日中戦争、太平洋戦争における日本の軍用トラック生産の大半を任されるようになり、戦後の日本自動車産業の本格的な発展の準備となった[50]。 朝鮮戦争後の1950年代後半から1960年代前半にかけて、日本の自動車産業は朝鮮特需の恩恵を受けて本格的に復活し、設備の更新と近代化、アメリカ式の品質管理、科学的管理法を導入し大幅な質的向上を果たした[51]。また、連合国によって航空機の開発、生産が禁止された期間の影響で、航空機の開発に携わっていた技術者が自動車産業へ転職したことにより、航空機で使われていた技術や設計手法などが自動車の開発にも導入されたことも自動車産業の近代化の要因となった[52][53][54]。
1952年に通産省はヨーロッパからの技術導入を進め、日産はオースチンと、いすゞはヒルマンと、日野はルノーとそれぞれ技術提携することを選んだが、トヨタ自動車は純国産メーカーとして発展していった。1955年からの高度経済成長後、1958年にトヨタが乗用車専門の元町工場を建設し、1962年には日産が乗用車専門の追浜工場を建設。1966年に日産とプリンスの合併があり、同1966年にトヨタと日野、1967年にトヨタとダイハツ、1968年には日産と富士重工業の業務提携が開始された。この時期に、自動車産業では生産管理技術の発展に伴い、トヨタ生産方式の根幹である「カンバン方式」「ジャストインタイム」「自動化」「QCサークル活動」などが導入されていく。
1970年代の日本の自動車産業は、1971年のマスキー法、1973年の第一次石油危機を技術力と合理化で乗り切り、対米貿易摩擦が激化した1980年代には、対米貿易摩擦回避のために海外生産を拡大させていく。1990年代には、新興国市場に備えて、中国やインドでの生産を拡大していった。
2000年代には、原油高と環境規制の強化によって、燃費性能に優れ、省エネの小型車に日本の自動車メーカーが競争力を強めて、2007年にはトヨタが「ビッグ3」の一角を占めるまでになった[57]。
2011年時点で日本の自動車関連企業数は、完成車メーカーが14社、ユニット・機能部品・内外装品などを納める一次部品企業が約800社、単一部品・プレス・金型鋳鍛造品を一次部品企業に供給している二次部品企業が約4,000社、金属部品・樹脂部品を二次部品企業に供給している三次部品企業が約2万社あり、合計すると2万5000社から構成されている。自動車関連の従業員数は、関連部門を含めた人数で約532万人におよび、日本の全就業人口の8.7%、製造業人口の49.6%を占める巨大産業となっている[58]。
産業集積地域
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トヨタの発祥の地である愛知県豊田市が有名であり、隣接する刈谷市にはデンソー・アイシン精機をはじめとしたトヨタグループの部品メーカー各社が本社を置いている。愛知県にはトヨタやトヨタグループ関連の工場が多く集積する。トヨタ以外では三菱自動車も岡崎市に工場を持つ。他には、日産自動車のある神奈川県、本田技研工業のある埼玉県や三重県、スズキのある静岡県、中国地方南部(マツダのある広島県および山口県、三菱の工場を擁する岡山県(水島臨海工業地帯)、福岡県・大分県(日産自動車九州・トヨタ自動車九州・ダイハツ九州)に自動車産業の集積が見られる。
また、工場周辺地域(愛知県や神奈川県、静岡県など)に、自動車部品など周辺産業が集積している。 これを見ると、太平洋ベルトに沿っていることがわかる。
- 主な都市
- など