火山噴火の歴史 Ⅰ【冒頭】目次・紀元前・1世紀 - 10世紀 

 

11世紀 - 18世紀

1001年 - 1800年まで。

  発生年   火山名   概要
1. 1257年  -  インドネシアの旗サマラス山  -  噴出物は体積で40km3、火山灰や硫酸塩が南極やグリーンランドにも降下した。氷床コアの分析、異常気象の記録などから巨大噴火の存在が推定されていたが、長きにわたり噴出源や噴出量は諸説あり不明とされていた。
2013年10月、パリ第1大学の地理学者フランク・ラビーニュと研究チームにより噴出源である火山が特定された。
2. 1410年  -  日本の旗那須岳  -  応永17年旧暦1月21日、詳細不明ながら死者180名。
3. 1471年 - 1476年  -  日本の旗桜島  -  文明大噴火。文明3年9月12日および1476年(文明8年)9月12日の2回にわたって大噴火を起こし、溶岩流出、死者多数[資料 4]
4. 1586年  -  インドネシアの旗ケルート山  -  ラハールにより死者約10,000人。
5. 1596年  -  日本の旗浅間山  -  慶長元年5月5日、噴石により死者多数。
6. 1600年  -  ペルーの旗ワイナプチナ  -  火山灰噴出量30km3、翌1601年以降のロシアの異常寒波の原因となり1603年までの餓死者200万。
7. 1631年  -  イタリアの旗ヴェスヴィオ  -  熱雲により死者4,000名。
8. 1640年  -  日本の旗北海道駒ヶ岳  -  寛永17年7月30日(旧暦6月13日)、山体崩壊に伴う岩屑なだれが内浦湾に流入し、大津波が発生。溺死者700名以上、船舶100余隻に被害[資料 5]VEIは5。
9. 1662年  -  日本の旗中岳  -  寛文2年2月26日、噴気の突出または爆発[資料 6]
10. 1663年  -  日本の旗有珠山  -  寛文3年8月16日、噴煙柱が津軽藩領内からも観察され、爆発に伴う空振が庄内平野でも感じられる。死者5名[資料 5]
11. 1664年  -  日本の旗硫黄鳥島  -  日時不明、噴火により地震、死者あり[資料 5]
12. 1669年  -  イタリアの旗エトナ火山  -  溶岩流を主原因とする被害で死者約10,000人。
13. 1672年  -  インドネシアの旗ムラピ山  -  熱雲により死者3,000名]
14. 1694年  -  日本の旗北海道駒ヶ岳  -  VEIが4に達する大噴火。
15. 1701年  -  インドネシアの旗アウ山英語版  -  火砕流により死者3,000名。
16. 1707年  -  日本の旗富士山  -  宝永地震の49日後に噴火、宝永山を形成。江戸にも数cmの降灰。

7億立方メートルに及ぶ火山噴出物により山麓で家屋・耕地被害が発生、餓死者多数。記録上最後の噴火。

玄武岩質噴火でプリニー式噴火という富士火山の火山史において非常に特異的な噴火であり、同様の事例は1886年ニュージーランドのタラウェラ山噴火などしか例がない。

詳細は「宝永大噴火」を参照

17. 1716年  -  日本の旗新燃岳  -  火砕流により死者5名、負傷者31名、焼失家屋600余棟、山林・田畑・牛馬に被害[資料 5]
18. 1721年  -  日本の旗浅間山  -  享保6年6月22日、噴石により登山者15名死亡、重傷者1名[資料 5]
19. 1739年  -  日本の旗樽前山  -  元文4年7月、火山カルデラを形成する大噴火で、約30km離れた千歳市で1m近い降灰が確認されている。
20. 1741年  -  日本の旗渡島大島  -  寛保元年8月29日、山体崩壊に伴う岩屑なだれが大津波を生じさせ、北海道と津軽地方で死者1,467名、家屋791棟流出・破壊。船舶被害1,521隻。
21. 1760年  -  インドネシアの旗マキヤン英語版  -  土石流・洪水により死者2,000名。
22. 1764年  -  日本の旗恵山  -  明和元年7月、噴気により犠牲者多数[資料 5]
23. 1772年  -  インドネシアの旗パパンダヤン山英語版  -  土石流・洪水により死者2,000名。
24. 1775年  -  インドネシアの旗ガマラマ山  -  火砕流により死者1,300名。
25. 1779年  -  日本の旗桜島  -  安永8年10月1日、安永大噴火。多量の溶岩を流出し、翌年には海底噴火も発生。長崎や江戸でも降灰があり、死者153名。
26. 1781年  -  日本の旗桜島  -  安永10年3月18日、海中噴火による津波で死者・行方不明者15名[資料 5][資料 4]
27. 1783年  -  アイスランドの旗ラキ火山  -  1億2000万トンの硫黄酸化物を噴出、ヨーロッパの極端な冷夏および飢饉の原因になったとされ、アイスランド全人口の24%、家畜の75%が死亡、アイスランド農作物を全滅、家畜激減により餓死者9,300人。
28. 1783年  -  日本の旗青ヶ島  -  天明3年4月10日、家屋61戸焼失、死者7名[資料 5]
29. 同年  -  日本の旗浅間山  -  天明大噴火。天明3年8月4日夕刻に火山弾の直撃により1名が即死、これによりパニックが発生し住民が南方面へ避難を開始。
翌5日、火砕流や鬼押出し溶岩の流出に加え、大規模な山体崩壊も発生。火砕流などにより死者1,443名、流家数957戸。降灰と火山噴出物は噴火以前から発生していた飢饉を更に悪化させる要因となった。

また、噴火は3ヶ月以上にも及び、2億トンにも及ぶ多量の火山灰は大凶作の一因となり、餓死者約100万人となった。

詳細は「天明の大飢饉」を参照

30. 1785年  -  日本の旗青ヶ島  -  天明5年4月10日、家屋61戸焼失、死者7名[資料 5]。続く4月18日、噴火により島民327名のうち死者130 - 140名、残りは八丈島に避難。

詳細は「還住」を参照

31. 1790年  -  日本の旗ロシアの旗阿頼度山  -  VEI4に達する大噴火を観測。
32. 1791年  -  日本の旗雲仙岳  -  寛政3年12月、山体崩壊により小浜で死者2名[資料 5]
33. 1792年  -  日本の旗普賢岳  -  地獄跡火口から噴火後、北東山腹から噴出量約2,000万m3に達する溶岩を流出。噴火停止後1ヶ月を経過した地震により眉山が山体崩壊、総量0.34km3に及ぶ岩屑なだれが有明海に流入し、大津波が発生。死者約15,000人で日本最大の被害者数。

詳細は「島原大変肥後迷惑」を参照