【結論】地震・津波から100%助かるには「空へ逃げる」しか…

 
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Terrafugia TF-X 画像は「Terrafugia」より引用

構想2. 空飛ぶ自家用車

 短時間でやってくる津波の脅威から逃れるための、より確かな方策――それは何らかの手段によって、個々が自分の力で空へと避難することだろう。それを実現するためには、世界のさまざまな機関で研究開発が進められている「空飛ぶ自家用車」が有用かもしれない。

動画は「YouTube」より

 空飛ぶ自家用車の一例として、米国で開発中の「Terrafugia TF-X」がある。これは滑走路が不要な空飛ぶ自家用車で、ヘリコプターのようにプロペラを使って垂直方向に離陸するというもの。しかも、プロペラは折りたたみ式で車体に格納できるため、米国の一般的な家庭のガレージにも収まるサイズだという。Terrafugia社は、現在日本円にして3千万円ほどで最初の実用車の予約販売を受け付けている。

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コーモラント 画像は「TACTICAL ROBOTICS LTD」より引用

 もう1例として、イスラエルハイテク企業が開発した「コーモラント」という空飛ぶ車もある。総重量1500kg、積載重量500kgで、すでに自動試験飛行に成功しており、2020年の一般発売を目指しているという。こちらはヘリコプターのようなプロペラではなく、内部ローターを用いて浮揚するもので、外見は自家用車というよりも軍用機的だ。

動画は「YouTube」より
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EHang 184 画像は「EHANG 184 autonomous aerial vehicle」より引用

構想3. 人が乗れるドローン

 前項の「空飛ぶ自家用車」より、もっと手軽に空中への避難を可能にする手段としては、「人が乗れるドローン」が有効だろう。実は、そのような乗り物はすでに実用化段階に入っており、中国のEHang(億航)社が開発した自動運転ドローン「EHang 184」が、2016年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で話題になった。これは、8つのローターによって垂直に上昇し、1人の人間を乗せたままの自動飛行が可能だという。実用化には技術的な問題があるという声も上がっているようだが、アラブ首長国連邦のドバイで、今年7月からタクシーとして運用開始が予定されているという。

動画は「YouTube」より


 以上、今回紹介した3つの構想のうち、2や3の価格が自家用車並みか、わずかに高い程度のレベルになれば、一般家庭が購入できるという点において、津波からの避難方法として普及する道筋が見えてくるかもしれない。とりわけ3の「EHang 184」などは、乗員が自ら操縦するのではなく、外部からの自動操縦という方式を取るため、技術を習得していない子どもや高齢者を乗せた飛行も可能になることが期待される。これらの手段が広まれば、津波だけでなく、地震や洪水による被害者を大幅に減らすことにもつながるだろう。


百瀬直也(ももせ・なおや)
超常現象研究家、地震前兆研究家、ライター。25年のソフトウエア開発歴を生かしIT技術やデータ重視の調査研究が得意。ブログ:『探求三昧』、『防災三昧』、Web:『沙龍家』、Twitter:@noya_momose