熊本地震 (2016年) Ⅳ【上】前震・本震/14日&16…
地殻変動
国土地理院による衛星画像の解析によると、一連の地震で、布田川断層帯の北側では最大1m以上の沈降、南側では最大30cm以上の隆起が起きたと見られる。また、水平方向には、布田川断層帯の北側で東向きに最大1m以上、南側で西向きに最大50cm以上ずれたと見られる[67][68]。政府の地震調査委員会によると、布田川断層帯沿いで長さ28km、日奈久断層帯沿いで長さ6kmの地表地震断層が発見された[31]。益城町では、地表に断層のずれが現れ、水平方向に約2m食い違っている様子が確認された[69]。
火山活動への影響
16日午前8時30分ごろに阿蘇山の中岳第一火口で小規模な噴火が発生し火口から噴煙が上空100mにまで上がった[JMA 40]。 気象庁は一連の地震との関連性は分からないとしながらも[70]、九州大学教授であり火山噴火予知連絡会の清水洋副会長も「阿蘇山のかなり近い場所で大規模な地震が発生したことで今後の火山活動に影響なしとは言い切れない」と発言した[71]。京都大学火山研究センターの大倉敬宏氏の話によると、地震の揺れによって火口内で土砂崩れが発生し、その土砂が火山ガスや蒸気によって噴き上げられたもので、マグマによる本格的な噴火ではなかったとみられる[72]。
被害・影響
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人的被害
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*1 6月19日から6月25日の豪雨被害で熊本地震との関連が認められた死者 |
一連の地震で、倒壊した住宅の下敷きになったり土砂崩れに巻き込まれるなどして、熊本県で合計50人の死亡(直接死)が確認されている[77][78]。このうち、14日の前震から本震前の15日までには、益城町と熊本市で計9人の死亡が確認されていた[74]。死者50人のうち、37人は家屋の倒壊、10人は土砂災害による死者とみられる。家屋倒壊死37人のうち、7人は前震で、30人は本震で死亡している。また土砂災害による死者10人はいずれも南阿蘇村で被災している[79][77]。また負傷者は熊本県・大分県内だけでなく、佐賀県、福岡県、宮崎県でも出た[80]。
益城町など布田川・日奈久断層帯に沿って、および周辺の河川に沿って犠牲者が集中したことがわかり、熊本大学の渋谷秀敏教授の話によると、益城町などに直接死者が集中した原因として、震央に近いこと、活断層の摺動のうち地表部分での変動が大きかったこと、河川跡地や扇状地など地盤の弱い所では揺れが増幅しやすいことを原因としてあげている[81](表層地盤増幅率)。
震災関連死
避難生活によるストレスや持病の悪化などで亡くなる震災関連死も相次いだ。2017年4月12日現在、震災関連死と市町村に認定された人は170人に上っている[73]。内訳は、静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)などにより車中泊後に死亡した人が少なくとも33人、病院や高齢者施設が被災して転院・移動中に死亡した人が少なくとも27人、などとなっている[82]。
衛生管理が悪い避難所もあり、また損傷でガスや水道が使えない一部の病院もあったといわれる[83]。阿蘇市の避難所で17日、77歳の女性が死亡したがストレス等による災害関連死とみられる[84]。
地震後に車中泊で避難生活を送る被災者も多い。被災者が挙げた理由は、避難所では他人に気を使うこと、車だとすぐに逃げられること[注釈 6]、余震で避難施設が損壊する恐れがあること等[85]。益城町のグランメッセ熊本の駐車場では18日現在、数千人が車中泊している[85]。だが、避難所の外で車中泊していた50 - 60代の女性3人が静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)で意識不明の重体となり救急搬送され、他6人が同症候群と診断された[85]。18日、車中泊をしていた50代の女性1人がエコノミークラス症候群で死亡し[86]、5月15日までに同症候群に罹ったとみられるのは51人となった[87]。
その他にも4月26日までに被災住家の屋根修理の際に転落し、17人が重軽傷を負っており注意を呼びかけている[88]。
避難生活
16日未明の地震後、避難者は最多で18万3882人に上った[89]。19日12時現在、熊本県の避難者は計約11万6900人、大分県の避難者は812人となった[90]。
5月8日までに熊本市は公民館や公共センター施設など空調や生活施設などが整備された拠点避難所を市内に延べ21か所開設し、延べ3,600人を収容する予定であった。避難所の環境改善と市立学校の授業再開に目処をつけるため、同日までに学校施設にある避難所を含め58か所を閉鎖し集約している。テント村も撤去され、避難所へ住民が入った。避難所では、布を使いプライバシーを守ろうとしている[91]。
最初の地震から7カ月後の11月18日、最後まで残っていた西原村の避難所が閉鎖され、熊本地震による避難者はゼロとなった[92]。
推計被害額
2016年5月1日時点で官公庁からの推計被害総額の発表は無い。経済財政政策担当大臣は総額の分析は5月連休明け以降になるとしている[93]。以下は報道による。
項目 | 推計被害額 | 項目明細 | 備考 |
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社会基盤施設 | 熊本県 1,700億円以上 | 橋梁、道路、河川、公園等 | 熊本県試算、速報値[94] |
農林水産関係 | 熊本県 1,022億円以上 大分県 5億円以上 |
農地・農業用施設、林野、水産関係施設等 | 熊本県試算、速報値[95][96] |
建物・施設
消防庁発表によると、2017年2月21日現在、住宅の全壊が8,424棟、半壊が33,212棟、一部破損が149,963棟、確認されている[75]。また公共建物の被害が429棟確認されている[75]。
家屋被害は建築基準法が改正された1981年以前に建築された古い木造家屋に集中しており、九州では台風対策のため重い瓦を使う住宅が多い点も被害を拡大させた[97]。一方で、震度7を2回観測した益城町では、耐震基準がさらに強化された2000年以降に建てられたと見られる住宅の全壊もあった[98]。同法の耐震基準は、震度6強から7の揺れでも倒壊しない水準を求めているが、強い揺れに2度襲われることは想定されていない。
被災後の建物の危険性を調べる応急危険度判定は5月1日までに当初予定分を終え、判定を行った46,966棟のうち13,113棟の建物が倒壊するおそれのある「危険」判定を受けた[99]。
熊本県