消費税概説【内】主要国の歳入に占める割合

 

日本の福祉」および「日本の医療」も参照

日本の消費税収入の推移 (単位:兆円)[14]
年度 税収 うち消費税収 備考
1985年(昭和60年)度 38.2 (1.6)  
1986年(昭和61年)度 41.9 (1.7)  
1987年(昭和62年)度 46.8 (2.0)  
1988年(昭和63年)度 50.8 (2.2)  
1989年(平成元年)度 54.9 3.3 税率3%導入
1990年(平成2年)度 60.1 4.6  
1991年(平成3年)度 59.8 5.0  
1992年(平成4年)度 54.4 5.2  
1993年(平成5年)度 54.1 5.6  
1994年(平成6年)度 51.0 5.6  
1995年(平成7年)度 51.9 5.8  
1996年(平成8年)度 52.1 6.1  
1997年(平成9年)度 53.9 9.3 同年4月1日より税率2ポイント引き上げ(5%に増税)
1998年(平成10年)度 49.4 10.1  
1999年(平成11年)度 47.2 10.4  
2000年(平成12年)度 50.7 9.8  
2001年(平成13年)度 47.9 9.8  
2002年(平成14年)度 43.8 9.8  
2003年(平成15年)度 43.3 9.7  
2004年(平成16年)度 45.6 10.0  
2005年(平成17年)度 49.1 10.6  
2006年(平成18年)度 49.1 10.5  
2007年(平成19年)度 51.0 10.3  
2008年(平成20年)度 44.3 10.0  
2009年(平成21年)度 38.7 9.8  
2010年(平成22年)度 41.5 10.0  
2011年(平成23年)度 42.8 10.2  
2012年(平成24年)度 43.9 10.4  
2013年(平成25年)度 47.0 10.8  
2014年(平成26年)度 54.0 16.0 同年4月1日より税率3ポイント引き上げ(8%に増税)
2015年(平成27年)度 56.4 17.1 ※補正予算
2016年(平成28年)度 57.6 17.2 ※予算
※1988年(昭和63年)度以前の消費税欄は物品税等の額。なお、1997年(平成9年)度以降の消費税欄は地方消費税を含まない。

日本の消費税の歴史

  • 1979年(昭和54年) - 第35回総選挙において大平正芳首相が一般消費税(税率5%)の導入を打ち出すが、与党自民党内反主流派はもとより主流派からも反対論が上がり選挙期間中に撤回。
  • 1984年(昭和59年)2月23日 - 中曽根康弘首相が、自身の内閣においては大型間接税の導入は避けたいと参議院予算委員会で答弁[15]
  • 1985年(昭和60年)1月31日 - 中曽根首相は国会答弁で網羅的な多段階課税の導入は否定したが、大型間接税の導入は否定せず[15]
  • 1986年(昭和61年)6月 - 第38回総選挙第14回参院選同日選に向け、中曽根首相は「大型間接税と称するものはやるつもりはない」と言明[15]
  • 1987年(昭和62年) - 中曽根首相は「大型間接税」ほどの包括性をもたない「新型間接税」であるとして売上税法案(税率5%)を国会提出。しかし、かねてより小売業界が強く反対しており、自民党内でも異論がくすぶっていた上、第11回統一地方選挙で自民党が敗北したため、廃案で与野党合意[15]
  • 1988年(昭和63年) - 竹下内閣時に、消費税法が成立。この際、自民党によって強行採決が行われた。12月30日公布。
  • 1989年(平成元年)
    • 4月1日 - 消費税法施行 税率3%
    • 12月 - 参議院が消費税廃止法案を可決。その後、衆議院審議未了により廃案。
  • 1994年(平成6年)2月 - 細川内閣にて細川護煕首相が、消費税を廃止し税率7%の目的税「国民福祉税」を導入する構想を発表するが、担当となる閣僚を含めた政権要人からも反対論が上がり即日白紙撤回。
  • 1997年(平成9年)4月1日 - 村山内閣で1994年(平成6年)11月25日に成立させた税制改革関連法案[16]に基づき、地方消費税の導入と消費税等の増税(3%から5%に増税、うち地方消費税1%)を橋本内閣が実施。「福祉を充実させる」という名目であった。この年の税収入は前年と比して1.8兆円増(消費税分は3.2兆円増だが、法人税は1兆円分減少)。中小企業への救済措置であった簡易課税制度の上限が5億円から2億円へ引き下げられ、限界控除制度についても廃止された。
  • 1998年-1999年(平成10年-11年) - 増税前である1996年の国税収入52.1兆円と比較し、国税収入が2.7兆円減少する(所得税収は2.2兆円、法人税収2.1兆円の減少、GDP成長率は-1.8%)。
    • 翌年には更に2.2兆円(所得税1.6兆円、法人税は1.4兆円、GDP成長率は-0.2%)の税収が減少。総合的に、わずか2年時で4兆円の税収増の見込みが4.4兆円の税収減となりGDP成長率は2%低下した。その後は財政出動と重なり、赤字国債が15兆円から30兆円へと倍増した。
    • このとき税収が減少したのは、1997年のアジア通貨危機山一證券北海道拓殖銀行の破綻が主因だとする主張と、増税が主因となって景気が腰折れしたからだとする主張がある。
  • 2004年(平成16年) - 消費税の導入から15年が経ったところで、複数口にわけて会計を行う不適正会計防止および消費者の利便を考慮する(税込価格の計算の手間を省く)ため、価格表示の「税込価格」の総額表示が義務づけられる。
    • 書籍電子書籍を除く)については、食品や耐久消費財と違い、長期間流通販路に出回り、いつ消費税を増税するか分からないとの理由で、例外として「本体+税」表記が認められ、総額表示が免除された。
    • 当初は、広告や値札における価格表示の様式は法令および業界内でのルールが統一されず、「1,000円(税込1,050円)」のように「税別価格を強調」し、なおかつ「税込価格が目立たない」よう、意図的に小さくする併記も横行したが、消費者からのクレームや国税庁の指導により、税込表示に統一された。
  • 2009年(平成21年) - 導入以来の累計213兆円(2009年度予算含む)
  • 2011年(平成23年) - 民主党の野田政権の税制調査会にて2014年(平成26年)4月1日8%、2015年(平成27年)10月1日10%に増税する案が提出。2014年8%の案は後に実行に移された[17]
  • 2012年(平成24年)8月10日 - 野田第2次改造内閣にて消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法案「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律(平成24年法律第68号)」が成立、施行日は一部の規定を除き2014年(平成26年)4月1日とされる。
  • 2013年(平成25年)10月1日 - 2011年の野田政権の決定を受けて第2次安倍内閣にて消費税率(国・地方)を5%から8%に増税すると閣議決定[18]、併せて施行日等も確認された。
    • 「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(平成25年法律第41号)」が施行され、総額表示の義務化から9年半になり、2004年度以降から導入されていた「総額表示の義務化」を廃止する(2段階の引上げに伴う「価格表示を書き換える手間とコストがかかる」という、店側だけの一方的な都合により「特例」という名目で一旦廃止され、総額表示は「任意」の扱いとなる)。
    • これにより、2004年以前の「税別価格のみ」(税込価格の併記なし)へ逆戻りする形の表示も合法化され、大半の店舗が「税別価格」のみの表示に戻すか、または「税込価格」を小さく併記する表示にされるようになったが、(「価格表示が紛らわしい」(客=消費者の支払う本来の価格と異なる)旨のクレームが懸念されること[19]や、複数口に分けて会計を行う不適正会計などがありうるため)自主的に従来通りの「税込価格」による表示[20]を優先(または税込価格での表示を明言)している企業も少数存在する(スーパーマーケットディスカウントストアなど[21])。また、「1商品ごと税込価格に1円未満の端数を出さない商品」しかない場合も多く存在し(スターバックスコーヒーなど)、またNTTコミュニケーションズは1回線ごと会計に課税のため複数口に分けて行う不適正会計防止のためだと思われる。この特別措置法によると「税別価格」のみの表示を認める期限は2021年3月31日(当初2017年3月31日までの予定で、再増税先送りに伴い2018年9月30日までの予定に変更されたものの、後述の2度目の再増税先送りに伴う法改正により再変更)となっており、それまで総額表示は「任意」とされているため、2021年4月1日以降は再度総額表示の義務化がなされる見通し。
  • 2014年(平成26年)
    • 4月1日 - 消費税率(国・地方)は、5%から8%(うち地方消費税1.7%)となる[22]
    • 11月18日 - 安倍晋三首相は記者会見で、2015年(平成27年)10月1日実施予定の消費税再増税の1年半先送りを正式に表明した[23]。その結果、附則の景気弾力条項が削除され、消費税は2017年(平成29年)4月1日に、8%から10%(うち地方消費税2.2%)へ引き上げられる予定となった[22]
  • 2015年(平成27年)12月12日 - 自民党の谷垣幹事長はこの日の夜、公明党の井上幹事長らと改めて協議した結果、2017年度の標準税率10%への消費増税にともなう軽減税率の導入時の対象品目は「外食」「酒類」を除いた、「生鮮食品」と「加工食品」、「週2回以上刊行される新聞」とし、税率は現在の8%のまま据え置くことで合意した。その結果、2017年度からの消費税は、標準税率10%、外食・酒類を除く飲食料品全般に対する軽減税率8%が課されることが決まった。消費税は1989年(平成元年)4月の創設以来、初めて税率が複数になる。そして、必要と見込まれる1兆円の財源を巡っては、両党が安定的な恒久財源の確保に責任を持って対応すること、さらに事業者の納税額を正確に把握するため、税率や税額を記載する請求書「インボイス(税額票)」を、2017年度の軽減税率の適用から4年後となる2021年度から導入することでも合意した。

しかし、軽減税率は財務省が特定の品目を軽減対象として認める代わりに、その関連業界の団体・企業に天下りをさせ、族議員ら企業や団体からの政治献金・選挙協力という見返りを得るために公明党・自民党が導入させようとしていると批判されている制度である[24]

  • 2016年(平成28年)
    • 5月13日 - 安倍晋三首相は、消費増税を再び先送りすることを決めた。首相周辺によれば、安倍首相の増税見送りの決断は去年(2015年)11月といい、チャイナリスクの顕在化による、日本の実体経済への波及リスクが背景にあるという。一方で、自民党の谷垣幹事長は、およそ一ヶ月後の6月5日の街頭演説において、個人消費の低迷を理由に挙げた。
    • 5月28日 - 安倍晋三首相は、この日の夜、2017年(平成29年)4月1日に予定する、8%から10%への消費増税を2年半先送りする意向を自民・公明両党幹部に伝達した。この結果、10%への消費増税は2019年(平成31年)10月1日まで延期されることになった。軽減税率8%は、従来の決定にもとづき、消費税率引き上げ時に施行する。
    • 6月1日 - 安倍総理大臣は、総理大臣官邸で記者会見し、来年2017年4月1日に予定する、消費税率8%から10%への引き上げを2019年10月1日まで2年半再延期し、それにともない軽減税率を導入する考えを正式に表明した。この中で、安倍首相は、消費増税の再延期の理由を、中国をはじめとする新興国の経済に陰りが見えるとした。また、首相は「リーマンショック級や大震災級の事態」は発生していないと言明し、「リーマンショック級や大震災級の事態が発生しない限り、2017年4月から消費税を8%から10%に引き上げる」という自らの公約を破棄した「新しい判断」であることを認めた。しかし、1991年のバブル崩壊後、日本の外需依存度は、9~18%で推移しており、増税再延期の口実に新興国経済のリスクを利用したのではないかという批判もある。
    • 6月5日 - 自民党の谷垣幹事長は、都内の街頭演説で、安倍総理は個人消費の低迷に悩んでいると訴え、消費増税の再延期の理由は、個人消費の低迷であることを示唆した。消費増税再延期を正式表明した、6月1日における総理の記者会見においては、冒頭においても、質疑応答においても、安倍首相から「個人消費の低迷」ついて言及はなかった。
    • 6月10日 - 自民党の麻生財務大臣は、アジア欧州首脳会議(ASEM)において、消費増税を2年半再延期したことについて、企業利益の改善にくらべて個人消費が低迷したと増税再延期の経緯を説明した。