精神病質(サイコパC-)【序盤】目次定義類似概念
診断
DSM/ICDにおける診断基準については「反社会性パーソナリティ障害」を参照
現在は20項目(『HARE PCL-R第2版テクニカルマニュアル』)が新たに定められ、それを用いて個別診断で半構造面接を行い2時間半 - 3時間かけて評定をする。
サイコパスは病気(いわゆる精神病)ではなく、ほとんどの人々が通常の社会生活を営んでいる。そのため、パーソナリティ障害と位置付けられており、日本では反社会性パーソナリティ障害と名称されている。しかし、以前は精神病質の定義についてはっきりとした概念がなかったことから、家庭内暴力を起こしたりする者に対して、精神病質であると一概にまとめられ精神科病院への収容がされてしまい、これらの人々に対するロボトミー手術などの不用意な脳外科手術が行われ、手術をされた患者の人格や精神上不安定になるなどが起こるなど、医療上の人権侵害が行われた[要出典]。
精神病質と社会病質が混合されているが、ヘアによると精神病質と反社会病質は似て非なるものであると記している。精神病質の原因と考えられているのは前頭葉の障害であるとされ、健常者の脳波とはまるで違う脳波を見せる。精神病質は遺伝病だとされる意見が主とされている。逆に、家庭・周囲環境や障害に因る心身の衰弱によるものなどによる、精神病質に似た性格異常は仮精神病質(偽精神病質)とされ、精神病質とは識別されている。
エミール・クレペリン[* 2]によるとサイコパスのひとつに「空想虚言者」という類型がある。ただしクレペリンの時代の精神病質の概念は現在のものとはことなる。同様のものに「てんかん性精神病質」などがある。てんかん患者の一部に放火、虚言、詐欺、性器露出、破壊行為を行う一群があり、時にはその行為について追想できない、第三者のように三人称を用いて語り、行った事に関して責任や罪過観念を持たない、など[4]。
- 想像力が異常に旺盛で、空想を現実よりも優先する
- 一見才能があり博学で、地理・歴史・技術・医学など、何くれとなく通じていて話題が豊富であるが、よく調べるとその知識は他人の話からの寄せ集めである。
- 弁舌が淀みなく、当意即妙の応答がうまい
- 難解な外来語や人を驚かす言説を好んでなす。
- 人の心を操り、人気を集め、注目を浴びることに長けている
- 自己中心の空想に陶酔して、他人の批判を許さない。
自ら嘘をついて、いつのまにかその嘘を自分でも信じ込んでしまうのである。
DSM-IVでの行為障害や反社会性パーソナリティ障害の診断とPCL-Rで示されるサイコパス概念の違いは、人格というより、〈対人・情動〉、〈衝動的・反社会性行動〉、〈前2者に含まれない要素〉に着目することによってDSM-IVの診断を発展させたところにある。DSM-IVの診断では、単に反社会的行動をとる人たちという幅広い、それに至る多くの道があるという集団が同定されてしまう。
サイコパスチェックリスト(PCL)
最も一般的に用いられているのは、Robert D. Hareによって作成された Psychopathy Checklist, Revised (PCL-R)である。
PCLは専門家が使う場合でも相当に複雑な臨床診断の道具であり、自分自身やそばにいる人をこれを使って診断してはいけない。この診断にはしっかりした訓練と、正式な採点方法が必要である。
1. 口達者/表面的な魅力 | 12. 乱交的な性関係 |
2. 過去におけるサイコパスあるいは類似の診断 | 13. 幼少期からの行動上の問題 |
3. 自己中心性/自己価値の誇大的な感覚 | 14. 現実的で長期的な計画の欠如 |
4. 退屈しやすさ/欲求不満耐性の低さ | 15. 衝動性 |
5. 病的に嘘をついたり人を騙す | 16. 親として無責任な行動 |
6. 狡猾さ/正直さの欠如 | 17. 数多くの結婚・離婚歴 |
7. 良心の呵責あるいは罪悪感の欠如 | 18. 少年時代の非行 |
8. 情緒の深みや感情の欠如 | 19. 保護観察あるいは執行猶予期間の再犯の危険が高い |
9. 無神経/共感の欠如 | 20. 自分の行動に対する責任を受け入れることができない |
10. 寄生虫的な生活様式 | 21. 多種類の犯罪行為 |
11. 短気/行動のコントロールの欠如 | 22. 薬物やアルコールの乱用が反社会的行動の直接の原因ではない |
- 各項目は、「0, 1, 2」の3点法で採点し、臨床的には合計点で評価する。点数が高いほどサイコパスの特質を多く持っていることになる。
1. 口達者/表面的な魅力 | 11. 放逸な性行動 |
2. 誇大的な自己価値観 | 12. 幼少期の問題行動 |
3. 刺激を求める/退屈しやすい | 13. 現実的・長期的な目標の欠如 |
4. 病的な虚言 | 14. 衝動的 |
5. 偽り騙す傾向/操作的(人を操る) | 15. 無責任 |
6. 良心の呵責・罪悪感の欠如 | 16. 自分の行動に対して責任が取れない |
7. 浅薄な感情 | 17. 数多くの婚姻関係 |
8. 冷淡で共感性の欠如 | 18. 少年非行 |
9. 寄生的生活様式 | 19. 仮釈放の取消 |
10. 行動のコントロールができない | 20. 多種多様な犯罪歴 |
- それぞれの項目は、0〜2点で評定、総計で0〜40点に分布する。
- 成人で30点を超えるとサイコパスとされ、20点未満であるとサイコパスではないとみなされる。
- 子供のサイコパス傾向についての基準はあまり確立していないが、27点がカットオフ値。
サイコパシー・チェックリスト (PCL-R) をめぐる論争
サイコパシーの尺度の一つとして、PCL-Rは確かに有用ではあるが、PCL-Rが「サイコパスの定義」と誤解されることが危惧されており、特に犯罪歴に関する項目が含まれている点に関しては強い批判がある[9]。これに対して、ロバート・ヘアらは、「サイコパスであるためには、広義の意味で反社会的(英: antisocial)であることは必須であるが、犯罪的(英: criminal)であることは必ずしも必須ではない」と認めている[10]。これにより、かつてハーヴェイ・クレックレーがその著書「The Mask of Sanity(正気の仮面)」で示唆した、非犯罪的サイコパスないし“成功した”サイコパス[* 3]の存在が再認識された。
その他
サイコパスの2因子モデル
因子1:対人/情動面 | 因子2:衝動的/反社会的行動面 | 因子3:どちらにも含まれない項目 |
---|---|---|
1. 口達者/表面的な魅力 | 3. 刺激を求める/退屈しやすい | 11. 放逸な性行動 |
2. 誇大的な自己価値観 | 9. 寄生的生活様式 | 17. 数多くの婚姻関係 |
4. 病的な虚言 | 10. 行動のコントロールができない | 20. 多種多様な犯罪歴 |
5. 偽り騙す傾向/操作的(人を操る) | 12. 幼少期の問題行動 | |
6. 良心の呵責・罪悪感の欠如 | 13. 現実的・長期的な目標の欠如 | |
7. 浅薄な感情 | 14. 衝動的 | |
8. 冷淡で共感性の欠如 | 15. 無責任 | |
16. 自分の行動に対して責任が取れない | 18. 少年非行 | |
19. 仮釈放の取消 |
サイコパスの3因子モデル
尊大で虚偽的な対人関係 | 感情の欠落 | 衝動的/無責任 | どの因子にも含まれない項目 |
---|---|---|---|
1. 口達者/表面的な魅力 | 6. 良心の呵責・罪悪感の欠如 | 3. 刺激を求める/退屈しやすい | 10. 行動のコントロールができない |
2. 誇大的な自己価値観 | 7. 浅薄な感情 | 9. 寄生的生活様式 | 11. 放逸な性行動 |
4. 病的な虚言 | 8. 冷淡で共感性の欠如 | 13. 現実的・長期的な目標の欠如 | 12. 幼少期の問題行動 |
5. 偽り騙す傾向/操作的(人を操る) | 16. 自分の行動に対して責任が取れない | 14. 衝動的 | 17. 数多くの婚姻関係 |
15. 無責任 | 18. 少年非行 | ||
19. 仮釈放の取消 | |||
20. 多種多様な犯罪歴 |