血族社会の規範であり、血族特有の経済の源泉だ。簡単に言えば貸し借りのことで、
恩義や援助によって血族社会の駆け引きが行われる。その仕組みは極めて単純だ。
恩義を与えるには、なんらかの形で血族を助けてやればいい。
逆に恩義を得るのは簡単で、援助を求めればいい。貸し借りの原則上、
恩義を与えた状態では、相手よりも優位に立てる。
当然、借りを作った側は、借りを返す機会を見つければすぐにでも借りを返して、
身軽になろうとする。貸しがあれば、安全も保障される。なぜなら、ある血族が殺されたりしたら、まず最初に疑われるのはその血族から大きな恩義を背負い込んでいる血族だからだ。
他にも多くの血族がいる。多くはカマリリャに敵対ないしは非協力的だ。
◇サバト カマリリャの最大の敵。もとを辿れば中世期に異端審問の手を逃れるために
若者が長老の捨て駒として利用されたのを期に、生き残りをかけて長老達に反旗を翻した
若き血族―――叛徒たちだ。特にサバトはすべての血族の闘争―――ジハドを操っていると言われるアンテデルヴィアンの存在を信じていると同時に憎んでおり、
すべてのアンテデルヴィアンとその手駒たる長老を抹殺することを目的としている。
サバトは二つの氏族と、カマリリャの氏族から離反した反氏族たち、そしてケイティフや
特殊な少数の血脈から構成されていると言われている。
◆ラソンブラ(氏族) かつては気品ある一族だったが、今ではすっかり堕落した、
危険極まりない悪魔のような存在となっている。ラソンブラは自らを魔王の手先と考え、
恐ろしい闇の王なのは間違いない。(印度原始悪魔基督教会)
◆ツィミーシィ(氏族) もとは東欧に居を構える古城の主。ラソンブラが闇の王なら、
ツィミーシィは怪物だ。人間性というものを全く認めようとしない。ツィミーシィに言わせるなら、血族は人間を超えたものであり、次は血族を超える『何か』になる術を求めなくては
ならないらしい。実際に、彼らは血族を超えることに没頭しているという噂だ。ツィミーシィは故郷の土で眠らなければ夜毎力を失っていくため、極めて縄張り意識が強い。
ツィミーシィは例外的に様々なグールを作り出して用いる。
◇叛徒 戦後爆発的に増えた『まつろわぬ者』。長老から永遠に奉仕を要求される
世界を嫌って叛乱を起こし、派閥に背を向けた者たち。彼らの多くはカマリリャからの
離反者で占められている。他にもサバト、あるいは他の独立氏族から逃げ出してきた者、
ケイティフの亡命者が叛徒になっている。一度は彼らはロサンゼルスにおいて叛乱に成功し、すべての血族にとって自由と平等を与えるという主張のもと『叛徒自由州』を築き上げた。
噂では太平洋を超えてきた我らとは異なる東方の吸血鬼によって侵略されたと聞いている。
◇アンコニュ 全容が謎に包まれた派閥。その中には多くのメトセラがいると
言われているが、定かではない。また、その目的についてもまったく謎に包まれている。
ローマにおいて隆盛を誇った血族の末裔だとか、全員がゴルコンダを目指しているとか、
不確かな噂しかない。
◇独立氏族 十三氏族のうち、四つの氏族はカマリリャにもサバトにも属さずに
独自の立場を貫いている。独立氏族はまさにワイルドカードであり、
その扱いはカマリリャもサバトも慎重だ―
◆アサマイト 恐るべき血族の残忍な傭兵にして冷酷無比の暗殺者。
アサマイトは自分たち以外を滅ぼさなくてはならない存在だと考えている。
彼らは同族喰らいを神聖なものと考えているらしい。このためにアサマイトはすべての血族から憎まれると同時に恐れられている。彼らは中東に勢力基盤を持っており、その力で有名な“アサシン”の伝説を築き上げた。アサマイトは血潮を代価として暗殺などを請け負う。
◆ジョヴァンニ 上品で礼儀正しく、そしてありあまる財産を持つ冒涜的な氏族。
そのルーツはヴェネツィアの古い豪商の血筋にまで遡り、ほとんどがその
血筋に連なる者で占められる。かつては死の謎を解き明かすための冒涜的な
実験を繰り広げていたカッパドキアン氏族が存在したが、
そのうちの一人が始祖を同族喰らいによって滅ぼし、カッパドキアン氏族をも壊滅させた。
彼らは死霊術に長け、死の秘密、不死者である血族という存在の謎を解き明かすべく・・
◆セトの信徒 自らを最古の闇の種族―――古のエジプトの邪神セトの子らだと
主張するセトの信徒は信用のならない“ヘビ”だ。セトの信徒―――セト人とも呼ばれる―――は多くの知識を持っていることが多い。だが、それは『知識は諸悪の根源である』
という言葉を彷彿とさせるような行為に使われる。セトの信徒は始祖であるセトを信仰して
おり、セトに仕えて堕落と腐敗を世界にばらまく。そのために彼らはありとあらゆる手段を用いる。セトの信徒は血族や人間の心の弱さを知っており、それを突くのが恐ろしく上手い。
(サタン真祖本流瀬戸内海暴力談合贈収賄横領着服毛利元就小早川隆景吉川広家~)
◆ラヴノス 永遠の放浪者にしてペテン師。ジプシーを起源とし、ジプシーのみを“抱擁”するラヴノスは放浪癖を持つ以外に厄介な性癖を持っており、多くの血族から疎まれている。
ラヴノスは須らく盗みや詐欺などの悪徳に手を染めており、それに耽溺している。ある意味でラヴノスはマルカヴィアンと並んで―――あるいはそれよりも性質の悪いトリックスターだ。彼らはセトとは別の意味で信用できない氏族。
◇その他の血脈 世界には主流の氏族から枝分かれし、独特の特徴を備えた
血脈が存在する。こうした者たちは真なる血統である氏族に比べれば圧倒的に小数。
◆ガーゴイル ガーゴイルは中世期にトレメールが血族に加わったおりに、
他の血族からの攻撃に対抗すべく作られた吸血生物だ。彼らは複数の血族の
体と血とを用いて合成され、記憶を奪われて忠実な下僕としてトレメールに仕えていた。
その姿は元になった血族の血によるらしいが、概ね岩のような体表と石のような
翼を持つ化け物のようになっている。(悪天魔最底辺死神吉永さんちの・・)
◆サメディ サメディはヴードゥー起源と思われる新しい血脈で、近年になって
カリブを中心に数を増やした一族だ。一説にはノスフェラトゥの堕落した者達の
末裔とも言われている。ある意味で、サメディに比べればノスフェラトゥの方が
ずっとマシかもしれない。ノスフェラトゥが怪物なら、サメディは歩く腐った死体だ。
多くは強靭な肉体と隠密能力を持ち、傭兵や暗殺者としてカマリリャの公子などに
雇われている。(ブードゥー仏道アンデッドゾンビ宗督狩徒鼠講侵略狂団)
◆サルブリ ゴルコンダを最初に成し遂げたと言われる賢者サウロットの末裔。
サウロットは血族となったトレメールに同族喰らいを受けて滅ぼされ、
サウロットの子らは魂を盗む恐るべき存在として、中世期にあらかた滅ぼされてしまった。
かつては傷ついた者を癒す優しき者として、すべての血族から敬愛されていた、
中世期のサルブリは確かに賢明で慈悲深く、同時に悪魔を払う無類の聖戦士だったという。彼らは独特の癒しの力を備えており、その力を使うために額に第三の目を持っている。
もっとも、その癒しの力こそがトレメールが言うには“魂を盗む力”らしいが
◆不協和音の娘 この新しい血脈は女性ばかりで構成されている。その起源に
ついては不明だが、一説にはマルカヴィアンとトレアドールの血脈が、どういうわけか
混ざり合って生まれたと言われている。かつては男性の血族も受け入れていたが、
最近になって全て粛清されてしまったらしい。自分たちにだけ聞こえる『内なる魂の声』
に耳を傾け、その音楽に心かき乱されている。その構成員は歌手や音楽家がほとんどで、
皆が魔力を秘めた美しい歌声を持っている。
9.血族の敵
すべての血族にとっての敵を紹介しよう。はっきり言えば、常に血族の
最大の敵は血族だが、そればかりが血族の敵ではない。
それ以外にも血族と敵対し、脅威となる存在がいる。中でも代表的な血族の
天敵である魔狩人と狼憑きについて説明しよう。
◇魔狩人 多くの血族は異端審問は過去のものだと考えている。しかし、
長老たちは異端審問が終わっていない事を知っている。現在でも血族に牙を向く
人間たち―――魔狩人は存在する。昔のような強大な権力を彼らは持たないし、
大抵は個々で活動している。政府機関の一部門が血族の存在―――少なくとも
人間とは異質な存在がいることに感づき始めている節がある。当然、彼らは
特殊で有用な技術を備えた者たちであり、油断はならない。ただ、政府機関の者は
概して我々のことを詳しくは知らない。真に気をつけなければならないのは
カトリック教会と繋がっているレオポルト会と呼ばれる組織―――現代の異端審問会だ。
◇狼憑き この世にはその身を獣に変じることのできる種族がいると言われている。
その中でも真に危険な者達は、原野を愛する狼憑き―――ワーウルフたちだ。
彼らは血族に対して激しい憎悪を抱いており、集団で血族を狩る。
狼憑きの身体能力は多くの血族のものよりも圧倒的に高い。特に彼らが人の姿を捨てたとき―――獣と人の合いの子のような恐ろしい怪物の姿を前にした血族は生き残れない。
彼らは恐ろしい怪力と速度を誇り、若い血族はおろか長老ですらも瞬時に細切れにしてしまうと言われている。(チンギスハーン第3勢力神獣フェンリル大神貿易為替・・)