しつこく続く、となりのおばあちゃんシリーズ。しばしお付き合いください。
前回からの続きです。
北白川の不動院に到着して、生前戒名を授ける儀式を執り行いました。
いろいろなお経をあげていくのですが、数々のお経を聞きながらふと見ると、おばあちゃんが泣いているのです。
とめどなくあふれる涙をふきもせず、
ただひたすら感情に押し流されて出てきているのであろう涙が
おばあちゃんのお顔できらきらしておりました。
儀式が終わって、どうして泣いておられたのかを聞くと、またまたそこでびっくりぎょうてん。
「いままで忘れてたけど、私のお父さん修験者やったわ」
言葉を失っているわたしに、おばあちゃんは説明を続けました。
その日、北白川の不動院での儀式で聞いたお経は全部知っていたこと、幼少期にお父様が子供だったおばあちゃんを隣に座らせて、火を焚きながら唱えていたこと。目の前にこうこうと焚かれる火を見て、遠い昔にお父様とすごした時間がよみがえったようで、懐かしくて涙が止まらなかったのだ、と。
真言密教特有のお経などもあり、おばあちゃんのお父様が真言密教の修験者であられたことは間違いありませんでした。
しかも、じっくりうかがうと、かなり本格的で真摯に行者として修業をなさっておられたことが分かりました。
なんでこんなこと、今の今まで忘れてたんやろ。
すっとぼけたことをおっしゃるおばあちゃんに、さすがにわたしも
そんなんこっちが聞きたいわ!と突っ込まずにはおられませんでした。