夏の終わり秋の始まりの海からの帰り道に出会った、とんでもなく可笑しなおっさんの話5 | 恋愛小説 くもりのちはれ

~それは、それは・・・何とも可笑しいオッサンの話5~(ミッキー見参!天使の悪戯より)



『いつもアリガト♪』


助手席に乗り込んできたハニーちゃんは、後に座る俺たちに気がつくと、


『こんばんは』と、驚きながらも頭を下げる。


「こっこんばんは・・・あっえっと『おいっ!こらっ!さっき警告しただろ!


ハニーたんも、知らない野郎に挨拶は無用だ!ほら、ハニーたん、前を向け。』


オッサンは怒りながらもデレデレの表情。


そんなオッサンを他所に、ハニーちゃんは、俺たちにニコリと再度、頭を下げる。


『あのね、ハニーって言うのは恥ずかしいからって言ってるでしょ!それから・・・


わざわざこんな所まで付き合ってくれてる方々に挨拶しないなんて失礼だよ。


すみません。新採用の方ですよね?』


ハニーちゃんは薄暗い車の中でも、光り輝き眩しすぎるほどだ。


『ハニー・・・あっ、杏ちゃん、こいつ等は会社関係じゃないから。ただの拾いもの。


あれっ?落としもの?んーまっ、そんな感じの奴等だから、無視して問題なしなし。』


『もう・・・何言ってるのよ、お父さん!』


ブブッー!!


またまたこの音はクラクションではない。


ダチが、今耳にした一言に驚き、オッサンの頭目掛けて、再度思い切り吹いた音。


「あのぉ・・・ハニーちゃんは、ミッキーさんの娘さん?」


俺だって驚きだ。ありえねぇー・・・つうか似てねぇ。


「ミッキーさんって、お父さんっつう、あだ名?トオルさんだから、おとっさん?とか?」


そんな俺のふざけてる様で真面目な疑問に、クスクスと笑うハニーちゃん。


『あぁ?俺のあだ名は、ミッキーだろ。どこの世界にお父さんなんてあだ名つける奴


いんだよ。トオルからお父さんなんて何の共通点もねぇだろ。


やっぱ、お前等は城南だな。杏ちゃん、息止めろ。駅まで突っ走るから、息するな。


馬鹿がうつると、俺みたいになっちまうぜ。あれっ?俺みたいに何でなるんだ?』


そんなオッサンを無視して、後を振り返ったハニーちゃんこと杏ちゃんは、


『私とトオル君は、ちゃんと親子ですよ。トオル君は、私のホントのお父さんです。


似てないですか?お父さん、大好きだから・・・何か複雑だな。』


と、今時めずらしい父親大好きオーラを醸し出す。これは、アレだ・・・まさに・・・


稀に見る世間の父親が理想とする娘・・・貴重な存在だ。


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