オレオレ作戦6 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『慶君・・・ねぇ・・・こちら側から戻ると、全教室の前を通る事になるけど・・・


だから・・・その・・・手を放してくれると、助かる・・・て言うか・・・どうしたの?』


「なにが?」


『さっきから、ずっと笑ってる・・・なのに、目は怒ってる。』


そりゃ顔も緩むっつうの・・・好きな女の手を掴んで堂々と廊下歩いてんだから


「笑えるけど、とりあえず戦闘体勢?敵は数知れずだからな。」


やっぱ初っ端から牽制かけないとダメだろ。


けど彼女は、モテ過ぎるほどモテてんのになぜ自覚ねぇんだ?


『ごめんなさい。よく解らないんだけど・・・でも、あの・・・やっぱり皆見てるよ・・・』


〝えぇー何?どういうこと・・・〟男女問わずの幾つモノ視線が俺たちに向けられた。


「見られる目的だから、いいんだよ。複雑な男心だから、とにかく今は俺に付き合って」


『あぁ・・・うん。解った。』


何だよ、その素直さ・・・俺が立ち止まると同じように立ち止まる彼女。


振り向くとニッコリ微笑んで「何?」と、すこしてれたように笑う彼女。


すげぇよ俺。


こんな可愛い女の子に好きだと言われたんだから、マジすげぇ・・・


教室から廊下側の窓と言う窓には、上半身投げ出す形で俺たちを見る野郎達


集団で固まりキャーキャー騒ぎ立てる女達


そして廊下の先に噂を聞きつけ現れたのは・・・あれは、きっと須藤って奴。


ホイホイと出てきたな。


こっちから探さなくても現れた奴は、鋭い目つきで俺を睨みつける。


フッ・・・おもしれぇ・・・


そっかそっかテニス部エースだからな。負けに慣れてねぇのか。


さっ、どう出る?いくらでも相手になるぜ!


『雪菜ちゅわーん!どういうことっすか!!マジでマジかよぉ・・・


結局、顔?イヤイヤ顔なら俺も負けてねぇじゃん!!だったら決め手は何?』


佇む奴に気付きもしねぇで、興奮気味に大声を上げ駆け寄ってきた陽は、繋いだ


ままの俺たちの手を見て、再度、得体の知れない雄叫びを上げる。


『ひょひょえっー!!!嘘嘘嘘だぁー・・・さっそくスキンシップってありかよぉ!!』


そんな陽を横目に、須藤は俺たちに背中を向け教室へと入っていった。



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