無翼の天使55 | 恋愛小説 くもりのちはれ

「そっそうです。私が・・・えっと・・・あっ、理穂?ちゃんにお願いして・・・


ココへ連れて来て貰ったので、誰も何も迷惑なんて掛かって無いって言うか・・・


えっと、ごめんなさい!だから顔を上げて下さい!


お願いします!!ねっ?そうだよね、理穂ちゃん??


パパが登場する羽目になって遅いかもしれないけど・・・でも慶人絡みでこんな事に


なるなんて・・・どうにかしなきゃ。もう手遅れなのは重々承知の上で、誤魔化す努力


を目一杯しようと思う。


だって、そうでしょ?このままだと、どう考えても慶人の印象が悪くなるだけだもの。


『ちょっと、どう「理穂ちゃんが、冗談で拉致ごっこ風にしようなんて言うから、


大袈裟な事なったんだよ?」


『へっ?』


「でも・・・海藤会長さん、中内?さん、パパ、ホントごめんなさい。


私がいけないの。


私、昔のこと覚えてて、どうしてもお祖父さんに会いたいって言ったから・・・


まさか、こんな騒ぎになるなんて思わなくて・・・だから、本当に申し訳ありません


でした。」


座布団を横に置き、キチンと正座して畳に額が付くほど深く土下座する。


そして、私はパパ以外の3人が呆気に取られてるうちに立ち上がり、パパに


帰ろう〟と目配せする。すると〝それでいいんだな?〟って表情のパパ・・・


それに大きく頷く私。


『海藤会長、そういうことですので、娘が大変ご迷惑をお掛け致しました。


ふぅー・・・とにかく何とかなりそう・・・そう安堵しかけたのに・・・


パパは、一向に立ち上がろうとはしない。


『真菜、外で尚斗が待ってる。気をつけて帰りなさい。』


「えっ?パパは?」


『少し海藤会長と話がある。』


「・・・」


話って・・・もしかして、それは慶人の事?


『会長、お時間は取りませんので、もう少し宜しいですか?』


パパの真剣な声に、お祖父さんも何かを察したらしく


『理穂、お嬢ちゃんをちゃんとお見送りして来いっ!中内、お前も席を外せ!


とにかく誰もこの部屋に入らないように見張ってろっ!!』


誰にも有無を言わさない迫力で叫ぶ。私達はおずおずと部屋を出て行くしかない。




『帰る前に、ちゃんと説明しなさいよ!さっきからワタライ、ワタライって・・・


さっきのカッコいい人って、あの有名なワタライの渡会 歩なの?


あの人が父親って言うなら・・・アンタ・・・もしかして・・・嘘でしょ??


まさかワタライの娘なの?高宮のお嬢様でワタライの娘って・・・嘘でしょ?』


廊下に出た私の腕をガシリと掴んで、一方的に話す彼女。


「だから話そうとしたんだよ・・・だけど・・・えっ?」


バンッ!!ドンッ!!!


『きゃっ!!』


突然、現れた慶人が彼女の腕を掴み、思い切り壁に突き飛ばす。


『理穂!真菜に手出したら容赦しねぇって、言ったよな?』



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