無数の中の~15 | 恋愛小説 くもりのちはれ

「やっぱり、夏樹君・・・良く知ってる尚斗君の事、お父さんは反対すると思う?」


エレベーター横の観葉樹・・・壁に何気なく飾られた絵画・・・廊下も壁も目に映る


箇所に、埃ひとつ無い・・・実際に人がいなければ、誰も不良たちの溜まり場とは


思わないはず。だから少し安心したのだけど・・・


『そりゃ、尚斗だろうと誰だろと反対すんじゃね?九条のおじさんは、瑠奈ちゃんに


彼氏が出来るって事が気にいらないだろうから・・・まっ、でも真菜よりはマシだろ?


一人じゃなくて兄貴もアレだから・・・フッ』


『ちわーす!』


「・・・」


エレベーターの前で立ち話する私達に、エレベーターから降りてくる不良達は、次々


大きな声で挨拶していく。どうやらこの三階は、幾つかの部屋に分かれているらしく、


それぞれがその地位?によって部屋割りされている様だ。


『まっ、心配しなくても尚斗ならうまくやるさ。』


「えっ?」


『フッ・・・瑠奈ちゃん、変わってないね。人に質問しておいて、結局いつも聞いて


ない。昔からそうだよな・・・真菜となんとなく似てるんだよな。そっか、そこも尚斗


にはツボなんだな・・・フッ・・・』


「ごめん・・・だって、ココ凄く綺麗なんだもん。普通のオフィスビルみたい。」


『あぁ・・・何か聞いた話には、尚斗んトコの奈緒さんが初めて設計したビル


なんだってさ。歩さんが、倒産した会社から買ったみてぇなんだけどね。


使い道がなくて、尚斗が・・・あっ、やべぇ・・・俺、話してる場合じゃなかった。


じゃ、瑠奈ちゃん、また後で。ほら尚斗待たせたら、怖いから、急いで。


奥のデカイ扉の向こうで、きっと待ちくたびれてるはずだからさ。』


そう言って別の部屋の入り口に向かって歩いていく夏樹君。


私は、そんな夏樹君を背に、一番奥の重厚な木の扉に向かって歩いていく。


『夏樹さん!下の階ですが、全員揃いました!』


『じゃあ中バルコニーに注目しろって全員に連絡して!』


背後の言葉に、妙な胸騒ぎ・・・中バルコニーって何?まさか吹き抜けだった一階


から見えていた、あのバルコニー?


まさか・・・まるで皇族みたいにバルコニーから顔を出してあいさつするの?


ありえないんですけど・・・





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