無翼の天使33 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『海藤君、何かあったの?真菜ちゃんと付き合って真面目になってたのに・・・』


『今日は学校に連絡も無く休んでるんでしょ?真菜ちゃん、心配でしょ?』


『休んだ理由知ってるの?去年も出席日数足りなくて、留年したんでしょ?』


夢ちゃん達とのお昼。


すっかり慶人は私の彼氏だと勘違いされている。


だけど実際、慶人の事に詳しいのは、夢ちゃんを筆頭に磯田先輩や周りの女子達


で、一番何も知らないのは、どうやら私らしい。


『でもさ・・・あの女と、どうなったのかな?別れたんだよね?』


涼子ちゃんが、私の顔色を伺いながら、遠慮がちに話し出す。


『ちょっ、ちょっと真菜ちゃんいるんだから・・・』


麗佳ちゃんが首を横に振り、涼子ちゃんの話を止めようとしたけど、夢ちゃんが


その話に食いついて、私の知らない話がドンドンと広がっていく。


『いくら何でも、別れてるから真菜ちゃんと付き合ってるんだよ。


だってほら、無垢な真菜ちゃんと比べたら、あの女は汚れだよ。


だから真菜ちゃんとあの女を二股するなんて、極悪な海藤君でも出来ないよ。


一応、海藤君も私達と同じ高校生なんだもん。そこまで酷く無いでしょ?』


『そうだよねぇ・・・だって真菜ちゃんは、そこの所は解ってるよね?


でもねぇ・・・やっぱり真菜ちゃん・・・考えた方が良いんじゃない?だってねぇ・・・


自分の彼女をねぇ・・・普通の感覚ならしないものねぇ・・・』


知ってて当たり前的な、涼子ちゃんの言う汚れの女の正体と、慶人の極悪な過去の


行いが、気にならないワケ無い。だから、今更だけど・・・


〝私・・・ホントは、付き合ってないし、彼女じゃないけど、慶人が好きなの。


だから今の話、詳しく教えて!〟って、聞いてもいいよね?


「あのぉ・・・涼子ちゃん、あのね・・・」


意を決して口を開いた私。でも、メールチェックの為に手にしてた携帯の着信音が、


私を止めた。


「あっ・・・電話・・・えっと・・・ごめん。」


知らない番号・・・いつもなら絶対に出ないのに、動揺してた私は慌てて席を立ち


教室の片隅で「もしもし・・・」と、電話に出てしまう。


『もしもしじゃねぇだろ!知らねぇ番号に出んじゃねぇ!真菜、お前さ・・・無防備


過ぎるだろ!』


電話の向こうは、なぜか説教モードの慶人


「でも・・・慶人・・・出たらダメって言うなら、なぜ電話したの?」


『あっ?んな事、どうだって良いんだよ!今朝、お前どうして逃げた?』


「えっとね、それは・・・あっ、そうだ慶人・・・怪我で休みますって学校に連絡した方が


良いよ!無断欠席は、マズイよ!」


私って、私って・・・ホント、馬鹿だ。やっちゃった。


『・・・』


やっぱり??また、話の変化球に怒っちゃった?


『帰り何時になる?』


「えっ?帰りは、6時だけど?」


『解った。迎えに行く。』


慶人は、それだけ言って電話を切る。


あらら・・・変化球トークには、変化球トーク?で返された。


でも・・・迎えに行くって・・・えっ???あっ?えぇー?どういうこと??


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