進化心理学っぽく言うと、、、 | 意識デザイン
前回、『カウンセリング/セラピーにおいて一番大切なこと』は、クライアントさんが安らぎや、自分に対する自信や、人生や世の中に対する肯定的な気持ちをもって家路につくということだと書いた。

そしてそのためには、プラクティショナー自身が自分自身の安定度や調和度や統合度を高めていくのは当然、そのうえでセッションの際にいかにそのような場をつくることができるかが勝負だということもあわせて述べた。



もちろん、ぼく自身もまだまだ至らぬところだらけではあるけれど、でもそのための指針がひとつあるのでご紹介をしたい。

それは、自分が攻撃的、あるいは防衛的になっていないかどうか、ということ。

誰かに対して、あるいは何かに対して攻撃的であるか、あるいは逆に防衛的なときには、チェックが必要だ。



人は人である以前に、まずは動物だ。
だから、望むと望まざるとにかかわらず、人間は誰しもが動物としての機能を持つ。

動物は、自分の身が脅かされそうになったとき、自分を守ろうとする。
そうしない動物は滅んでいるだろうから、自己保存というのはいま生きている動物に共通した生来の資質だといっていいだろう。

自分の身を守るために取り得る手段は、大きくいってふたつある。
ひとつは相手をやっつけるか、あるいは追い払うこと。
もうひとつは、逃げるか、隠れるか、あるいは自分のデリケートな部分を何かで覆うこと。
つまり、攻撃か防衛。



人間もまた例外ではない。

この機能は、相手が熊やゴキブリのときに発揮されるのはもちろんのこと、じつは相手が人間であってもおなじようにはたらく。

つまり、肉体的なレベルだけでなく、精神的なレベルや社会関係上のレベルにおいても、相手から自分の存在を脅かされそうだと感じたとき、アドレナリンやインシュリンは熊やゴキブリに対するのと同じように分泌され、それ相応の反応を引き起こす。

だから人が誰かに対して、あるいは何かに対して攻撃的であるか、あるいは逆に防衛的なときというのは、その人自身が自分の存在が脅かされていると感じているときなのだと予想される。



ここで話を複雑にするのが、しっぺ返し戦略の存在だ。

人間は(そして、おそらく他の多くの動物たちも)、それぞれの状況に応じたもっとも望ましい対応方法というのを、何となくシステム化して身につけている。

たとえば自分の存在が脅かされそうなとき、相手が明らかに自分より弱そうであれば攻撃をすればいいし、強そうな場合は防衛した方がいいだろう。

でも、力関係が拮抗しているとき、あるいは即座に判断できないとき、どうしたらいいか?

──ゲーム理論によると、相手が自分に対してとった対応とおなじ対応をとって返すのが、いちばん自分の利益を最大にするという。
これが「しっぺ返し戦略」。

くわしい証明は省くけれど、たぶん直観的にみなさんも同意してくれるだろう。

これは、ひとりひとりのかなり根の深いところに刷り込まれている。

だから、相手が攻撃的な態度を取ってきたら、こちらも攻撃的に応じる。
相手が防衛的な態度をとってきたら、こちらも防衛的に──人間を含めたほとんどの生物は、力関係が明確でない相手に対してはほぼ自動的にそのように振る舞う。



地球に棲む人間たちが不幸せなのは、なかなかこのゲームを止めようとしないからだ。

あるところで、誰かに攻撃的な態度を取られる。
すると自分もまた攻撃的になる。
その余韻を残したまま、また別の誰かと接する。

別のあるところでは、誰かに防衛的な態度を取られる。
すると自分もまた防衛的になる。
その余韻を残したまま、また別の誰かと接する。

みんなが、飽くことなくそうした連鎖のゲームをつづけている。



自分のうちに攻撃的、あるいは防衛的な要素を感じたときというのは、いつの間にかそのゲームに巻き込まれてしまっているということ。
そこでリセットをかけないと今度は自分が他の誰かに攻撃的、あるいは防衛的なエネルギーを伝播することになってしまう。



セッションにおいて、クライアントさんが安らぎや、自分に対する自信や、人生や世の中に対する肯定的な気持ちをもって家路につくということは、クライアントさんが攻撃的、あるいは防衛的な要素から解毒をされたということだ。

だから、クライアントさんと時間をともにしたプラクティショナー自身が、攻撃的、あるいは防衛的な要素から解毒をされているかどうか──それがチェックポイントとなるのである。

 
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