頭を冷やそう。 | 女子リベ  安原宏美--編集者のブログ

頭を冷やそう。

 少々、更新が滞ってしまいました。

 新年から本当にすごくおもしろい本を読ませていただいたのでご紹介しますね。 
 『暴走する「地球温暖化」論―洗脳・煽動・歪曲の数々』

 武田 邦彦著
 池田 清彦著
 渡辺 正著
 薬師院 仁志著
 山形 浩生著
 伊藤 公紀著
 岩瀬 正則著

http://www.bk1.jp/product/02950045
 
 アマゾンレビューに「七人の侍」というレビュータイトルがありますが、ほんとそのとおりですね。

 AERAで取材させてもらった 東京大学の渡辺正先生が前書きで「頭を冷やそう」とかかれているんですが、おもしろい!アマゾンずっと売り切れみたいだね。
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 例えば、一定所得の家庭が節電する。それだけなら、CO2の排出量は減るけれど、実は電気代が浮く。筆者のような凡人は、浮いたお金で何かを買う。品物を作る企業は、エネルギーを使ってCO2を出す。つまり家庭がいくら省エネに励もうと、国全体のCO2排出量は変わらない。
 
 いま企業が宣伝に励む「エコ商品」はむしろCO2排出量を増やすのではないか?節電型の製品なら、浮いた電気代がさっきと同じことを生む。「買い替え」る人もいるが、余裕のある人は新製品を「買い足す」。電化製品なら、ふつうは家庭の電力消費が増えて発電所のCO2排出量を増やす。製品が大売れしたら、製造に使うエネルギーが増えてCO2排出量も増える。

 むろん省エネ自体は美しい。庶民は家計が助かり、企業は収益が増す。ただしそこまで。その先、「地球を守る」や「環境にやさしい」はフィクションが詐欺になる。一部の企業が使う「CO2削減にもなる省エネ製品」といった宣伝文句は、省エネとCO2削減は同義だから、市民をだます(つもりはなくても)偽装表示の類である。
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 渡辺先生は「なにしろ1兆円は大きい。薬害肝炎の治療費(患者数を10万人とした試算)なら、わずか三十分の一を回してお釣りがくるというのだから」と書かれてますね。二酸化炭素を減らしたいなら、先生おっしゃるとおり「シュレッダーにかけたらいいのに」(笑) しかし1兆円シュレッダーかけるだけでも100万円の束が100万個あるので、1年365日あるので、(休みなしならですが)1日2740束ほど処分しなくてはなりませんね~って書くと、なんとなく金額の大きさのイメージができるでしょうか?生活保護とか農業支援とか「ばらまき」とかうるさいのにねえ。
 この本の著者のおひとりで、実は存知あげなかったのですが薬師院仁志先生の論考が本当におもしろかったです。素人の観点から「温暖化論」の変さ加減を見事に暴いていく痛快な論旨展開がすごい!

 

 この本には「地球温暖化論」をはじめとした「世論」で危機と思われていることに冷静になれる本がいろいろと紹介されています。読んだ本だけご紹介しておきますね!どれもわかりやすい本ですよ。
 『
恐怖の存在 マイクル・クライトン』
 『
メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 松永 和紀』
 『天然モノは安全なのか?―有機野菜やハーブもあぶない/ジェームズ・P. コールマン』
 『ダイオキシン―神話の終焉 (シリーズ・地球と人間の環境を考える)/渡辺 正 林俊郎』
 『水と健康―狼少年にご用心 (シリーズ・地球と人間の環境を考える)/林 俊郎
 『
これからの環境論―つくられた危機を超えて (シリーズ地球と人間の環境を考える (12))/渡辺 正
 『環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態/ビョルン・ロンボルグ

 あと、本の中には紹介されていませんが、ひとつ童話をご紹介します。ほんとに子どもでもわかる宮沢賢治の童話なんですが、宮沢賢治の「妄想チック」なところが苦手な人でも、この童話は賢治の自伝的に要素が強い作品なので、素直に読めるかと。

 この物語は冷害で苦しむ東北の農家をブドリという青年が技術者になって救う話です。いまや「温暖化」な話が席巻する日本ですが、ちょっと前の「寒冷」な(貧乏で飢えた)イーハトーヴ日本の状況です。とりあえず歴史を知るにはぴったりな物語。

 ほんとうにかわいそうで感動的な話なのよねえ。冷害で食べ物のなくなった家では、とっとと子供たちは捨てられますし、親がいなくなった家の子どもは誘拐され、過酷な労働が待っております。その悲惨さを賢治の筆致の雰囲気で和らげて書かれているので生々しいのが嫌いな人にもおすすめです。あと稲の病気を駆除するのにえーってものを撒いてたりします。

 『グスコーブドリの伝記 (宮沢賢治絵童話集)/宮沢 賢治』
 

 ネットでも読めるみたいです。
 
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1924_14254.html  

 最近、子どもを生んだ友人によると、まわりで「グリーン」で「エコ」な名前が病院で増えてる気がするといってました。「緑ちゃん」とか「大地くん」でしょうか。
 テレビ朝日で「温暖化特別番組」を正月からやっておりましたが、煽りまくっておりましたね。あがってる理由については諸説はあるので、ここでは触れませんが、空気読んで、空気買うより、とりあえず困ってる人に直接支援したほうがいいんじゃないでしょうか・・・と思った次第です。