愛国心に染め上げてしまった | 女子リベ  安原宏美--編集者のブログ

愛国心に染め上げてしまった

 無人島に放り込まれた子供たちと指導員のお話 の続きです。本日は指導員同士の会話です。

指導員たちは教育大、教育学部の大学生のバイトたちが多いので、まあ、当然ですが教育に関しては、まじめな人が多いです。日本全体、教育にはまじめすぎる人が多すぎると思いますが、精鋭部隊です。私も自分ではとても「まじめ」だと思っているんですが、どうも「まじめ」の方向性が違うようです。「まじめ」さゆえに、余計なミスすることもあり・・・。ぜひとも寛容な世界であってほしい気がする今日このごろです。

 

さて子供が寝静まったころに(ほんとうは寝静まっていなく、いろんな会話が繰り広げられています。そして指導員も親から夜尿症の心配を指摘されてる子はほかの子になるべくばれないように起こしにいったりします)指導員同士でこのような方向性の違うまじめな会話も交わされます。


ある日の深夜


指導員Aさん 「朝の国旗掲揚と国家斉唱どう思います?」

安原 「(・・・きたあ!まあどっちでもいいんだけどなあ・・・。)理念的に?プログラム的に?」

指導員Aさん 「もちろん、理念的に。」

安原 「私も子供のころからなんとなく歌ってたけど、・・・・それで国が好きになって戦争行きたいと思わないんだけど・・・。」

指導員Aさん 「それが甘いんですって!では賛成ってことですね?それを聞いた在日の子供たちはどう思うんでしょうか。そういった点も教えていくべきだと思うんです。」←(ちょっと怖い)

安原 「在日の子供たちですよね。うんまあね~(お茶を濁す)・・・。でもそれはこのキャンプでやることではないような気が・・・。」

指導員Aさん 「安原さんは◎◎先生(かなり左)のゼミですよね!何を勉強してるんですか!ぼく学校の先生にやめてもらえないか、そういった対話を子供たちを集めて夜のミーティングでもすべきではないかと。」←(地引網とか引いたあとに?)

安原 「すすすすいません。いや別に両手を上げて賛成ってわけでは・・・。ただ今キャンプにきてるわけで戦争平和教育やってるわけじゃないし。先生方、きっと今“キャンプファイヤーの火の女王、誰にしようかー”という話をされていてですね、そこに突っ込んでいく話題かというと、ちょっと・・違う気が・・(声が小さくなる)。」

指導員Aさん 「いや、ここは現場の先生がどう思われているのかも知りたいし、勉強のために聞いてみたいんですよね!」←(えらいなあ。・・・遠い目。)

安原 「でもさあ学校の方針もあると思うわけです。子供ら見てても口パクだし。そういうもんなのね、お約束なのねくらいにしか思ってないかなあってかんじがするんですが・・・(声が小さくなる)。」

指導員Aさん 「いえー!それはちがいます!!○○**×××○○**×××○○**×××○○**!!(日の丸も君が代の歴史的な話) ようするに子供らに君が代聞かせなきゃいいんです僕は!」(→それも押し付けじゃないのかーっ!て気はするし、わかったーーーって。)

安原 「うんうん。そうですよね~!・・・・・・・・(しばし考える)。わかったー♪ じゃさこういうのどうでしょうか?理念的な話ってやっぱ先生も子供らも今しんどいと思うんだよね。ただプログラム的に考えると、君が代って、朝の目覚めに聞くには曲調が地味だから余計に眠くなりそうな・・・。子供らも9日間も同じ歌だと飽きないかなあと。どうせ口パクだろうけどさ、音楽は聴いてるわけで、おー朝だーなんか大変だけど楽しい過酷な1日がはじまるぞーがんばるーーみたいな曲のほうがいい気が。こうしませんか?とりあえず、1日目は船から着いたばっかりでさ、子供らも疲れてるからさ、あんまり聞いてないと思うし。パパッと流してすーっと旗揚げてパタパタさせといてさ、次の朝からさ『グリーングリーン』とか『牧場の朝』とか『エーデルワイス』にしませんかって相談してみるのはどうでしょうか?」

・・・しばしAさん考える。

指導員Aさん 「・・・そうですね!そうかー理念に縛られてると、なんかアイディア出ませんね。」

安原 「(アイディアってほどのものではない気がするけど・・・)まあ理念も大事だとは思うんですけど。あっでも『グリーングリーン』の歌詞さあ、ほらある日パパとふたりで~♪だとホームシックになる子もいるかなあ。『夏は来ぬ』のほうがいいかな。うーのはなーの♪ってやつ。季節的にはぴったり!あれ結構好きなんですよね。『浜辺の歌』もいいと思うんだけど、単純にここ浜辺だし。むかーしはまーべを♪ってやつ、ちょっと暗いか。でもあの曲渋くて好きかもー。まあ子供らが聞きたい歌いたい曲きいて、交代の先生に音源もってきてもらったもいいしさっ。Aさんおっしゃるとおり、音楽はほんと大事よね~♪」

指導員Aさん 「そうですよね~!。じゃあ『ふるさと』もやめたほうがいいですね。笑」

というようなあまり噛み合ってない議論のもとに話は終わり、意気揚揚と彼は先生のもとに提案にいくのであった!


そしてある日の昼間

安原 「きゃあーやってしまった~!」

指導員Bさん 「なに?どうしたの」

安原 「昨日雨ふって、ほらちょっと日の丸、泥はねちゃったから、ついでに洗濯しようと思って洗濯したらさあ、染まってしまったよ、いっしょに洗ってた大量のタオルがピンクに。」

日の丸を洗濯機から出す。

安原 「あーあ日の丸じゃなくて、にじんでしまって本当の太陽のようだ・・・。」

指導員Bさん 「旗ってさー色のプリント安っちいんだよね~。だめだよーいっしょに洗ったらー。色うつりするんじゃん!戦争中なら非国民だな(笑)。」

安原 「・・・・。いえ!ここは愛国心に染め上げたタオルですってことで!心して使えと(笑)」

指導員Bさん 「はははー(笑)。日の丸エキスタオルだ~。愛国心タオルだ~。」

しかし、こんな国旗あげたら「なんであんなんなってんの?」とかぜったい子供らにつっこまれるよなー。「ひっこくみん♪ひっこくみん♪せんせーほんまはパンツも洗ったやろー!愛国心パンツやー♪」とかぜったいいうアホウなガキがいるしなー(このへんのつっこみは関西のガキなのでほんとうにすばらしいつっこみをいったりします、そのすばらしさはまた後日)。

「国旗掲揚やめましょー先生!」と今さらながらAさんといっしょに戦おうかと思った自分勝手な人間です。

・・・で、備品を汚してしまったのは確かなので「すいませーん、めっちゃ非国民でーす!」と学校の先生方に謝りにいきましたが、先生方爆笑でございました。愛国心タオルはややピンクのままつかってました。国旗は別のを交代の先生がもってきてくれました。あのにじんだ国旗はどこへいったのかなあ。

国旗掲揚で立つ立たないとかいわれたりする現状をながめると・・・能天気な世界であったなあ。でもこういう場面があったら、今怒られたりすんのかなあ。訓告とかされるかなあ・・・。そんなことはないよね~いくらなんでも。反省文とか書かされるのかなあ・・・。でも反省文自体がギャグだなあ。

日の丸の洗濯はやはりモノゲンユニとかで手洗いをされているのでしょうか?それともずっと洗わないものなのでしょうか?


続く