テレビ朝日系列の刑事ドラマ「相棒」のスピンオフムービー。ここでも、以前、ご紹介した映画「相棒-劇場版- 絶対絶命!42.195km東京ビックシティマラソン 」の事件の捜査に関連して本作の物語が始まります。


鑑識課の米沢守は、東京ビッグシティマラソンを狙った無差別爆破テロ事件の捜査でマラソンの映像をチェックしていて、蒸発した元妻、知子の姿を発見します。彼女の住む部屋をつきとめ、そこまで行ってみますが、結局、ドアをノックすることもなく、その場を立ち去ります。ところが、その翌日、知子の死体が発見されます。実は、その女は元妻に瓜二つの同名の別人。ほっとする米沢の元を訪ねてきた知子の元夫、相原刑事が尋ねてきます。相原は、知子は自殺ではなく殺されたのだと主張。米沢は相原とともにその死の原因を探ろうとしますが...。


誰が犯人か?その疑いの対象者がストーリーの進行とともに変わっていくわけですが、どうも無理があります。


特に、証拠探しに夜中に"青少年防犯協会"のビルに忍び込む辺りは、いくらなんでも無理があったと思います。かなり新しい雰囲気のオフィスビルにあんなに簡単に入れてしまうのはどう考えてもおかしいし、違法捜査だし、それ以前に、犯罪ですよね。あんな形で証拠を見つけたところで、起訴は出来ないでしょうし...。


そして、知子の上司である経理課長も何もあんな時間にダンボールを持ち出す必要もなかったわけで...。普通、IDカードなどで出入りは管理されるわけで、いくら課長だって、不振がられますよね。もっと、普通の時間帯に好きなように処分することが出来たはずだし...。


そもそも、課長は、あの通帳をどうしようとしていたのでしょうか?自分の犯罪だという意識は当然なかったはず。では、知子の罪だと思っていた?それとも...?


この"青少年防犯協会"の経理課長の言動は、観客をミスリードし、課長が犯人かもしれないと印象付けるためのものとしか思えませんでした。真犯人の設定にも無理を感じてしまいました。


また、折角、米沢守を主人公にするなら、もっと"鑑識の仕事"を見せて欲しかったです。大体、米沢の"捜査"や推理には、鑑識としての力はほとんど生かされてなかったような...。"鑑識の米沢守"ならではの推理や捜査を見せてくれていたら、もっと面白かったと思うのですが...。


それでも、これまで「相棒」に独特の味わいを添えていた米沢の背景が描かれていた点は興味を惹かれましたし、TVシリーズファンならそれなりに楽しめる作品だとは思うのです。もっとも、DVDでも十分でしょうけれど...。



公式HP

http://www.yonezawa-movie.com/



相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿@映画生活