TV朝日で定期的に放映されている番組の劇場版。TVシリーズは、ほとんど観ています。



一見、関係なさそうに見えた二件の殺人事件。警視庁特命係の杉下右京は、両方の現場に残された記号に気付き、そこから真相に迫っていきます。特命係の相棒である亀山薫とともに、二件の事件と関連する殺人事件が他にもあったことと、全部の事件の被害者の名前が含まれる"処刑対象者リスト"を掲載しているサイトを見つけ出し、そこの管理人とのメールでの接触に成功します。メールによる右京と犯人とのチェスの勝負。そのゲームには右京が勝利しますが、投了図は予期せぬものを示していて...。


なかなか頑張っているとは思います。


解決か?と思うと、次のカラクリガ出くる...ということが何段階か繰り返される構成で、最後まで観る者を惹き付けようとしたのは分かります。そして、ストーリーに織り込まれている主張も分かります。


けれど、TVシリーズに比べ穴も多かったと思います。一番、気になったのは、犯人の動機と実際の犯行の乖離。犯人の動機が最終的に明らかにされたものだったのから、何故、連続殺人事件を起こさなければならなかったのか?騒ぎを起こすだけで十分ではなかったのか?仮に、人を殺すにしても、復讐であることが明らかになる形で殺した方が、世間に訴えることには成功したのではないか?そして、何故、実行犯を爆死という派手な形で殺す必要があったのか?もっと、静かなこじんまりとした方法で十分だったのではないか?(実行犯は自殺と思えなくもないのですが、それなら、毒物を飲む時、致死量を飲みますよね?それに、実行犯を殺したのが真犯人でないなら、真犯人は、実行犯の死の状況について刑事に確認したがるでしょうし。)


結局、マラソン大会自体を攻撃する計画はなかったわけで、右京の推理がなければ、マラソン大会を刑事たちがかき回すこともなかったわけで、そうなれば、真犯人の最後の計画が邪魔されることもなかったかもしれません。何故、右京に謎を仕掛けたのか、その背景にあるものもよく分かりませんでした。


水谷豊演じる杉下右京のキャラクターにしても、TVシリーズの方が冷静で理知的な感じがしました。ちょと、キャラクターが変わってしまった感じがして、違和感が残りました。


それでも、TVシリーズが好きな人なら観る価値はあると思います。細かいところには眼を瞑って次々と変わっていく展開に身を任せていけば、それなりに楽しめる作品ではあると思います。作中に散りばめられているメッセージも納得できるものでしたし...。



公式HP

http://www.aibou-movie.jp/



相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン@映画生活