他院での黒子除去後の凹みの修正
今回は顎の傷跡治療(他院修正)のお話です。
患者様は21歳の男性で、
他院で黒子治療を行いましたが、
結果に不満もあったようで当院を受診されました。
「とても気になる。周囲は気にしなくていいというが自分はとても気になる。
状況によってとても目立つので修正したい。」
・・・ということでした。
診察により数ミリの傷跡が確認できました。
確かにこの傷には数ミリですが凹みを認めます。
凹んでいると太陽光や蛍光灯の下では、
光の当たり具合によっては目立つかもしれません。
また赤でマーキングすると傷が口の動きによって変形することがわかります。
しかし、
患者様の周囲の方々は患者様がおっしゃるように
この傷に対し「気にしなくていい」ということでした。
患者様はこの傷に対して、
“一日何度も鏡をみる”などの繰り返し行動があり、
身体醜形障害の気質を認めたため、
何度か第三者を交えてカウンセリングを行い局所麻酔で手術を行うことにしました。
*身体醜形障害についてはこのブログでも何度かご紹介しているので>>>こちら
今回の治療は黒子治療により組織が破壊され、
凹みが生じているので、
耳介軟骨を移植することにしました。
耳の裏側を切開して耳介軟骨を採取します。
採取する軟骨は傷の大きさや深さによってかわりますが、
耳が変形することはありません。
また耳介軟骨は非常にやわらかく、
しかも自分の組織ですのでよくなじみます。
私はよくこの手法をとるのですが、
永続的に組織の補充ができるので脂肪注入などの組織移植よりも重宝しています。
それでは傷の経過をみていきましょう。
この患者様の場合施術後3週間はとくによく目立っています。
患者様はテープ固定を約5ヶ月、
内服治療(傷の赤みを改善するお薬)を約5ヶ月しっかり守って行ってくれました。
*私は手術後の経過・管理も大切にしています。
テープ固定や内服治療によりさらに良い結果を求めるためです。
施術前と施術後5ヶ月を見比べてみても、
非常に綺麗になりました。
口の動きによっても特に変形しません。
また鏡を見るなどの繰り返し行動もなくなりました。
患者様は非常に満足してくれました。
以前からこのブログでもお伝えしていますが、
黒子をレーザーで取る場合も、
再発や取り残し、凹みや膨らみなど・・・
様々な術後経過を患者様に事前に伝えておくべきです。
また患者様も経過やリスクなどしっかり聞いておくとよいでしょう。
黒子だからといって決して安易に治療してはいけません。
今回の症例ですが、
とても綺麗に治り患者様も大変満足されてのでよかったです。
丸山成一
※before & afterの画像についてのご注意
写真はあくまで参考画像であり、症例により効果や満足度は異なりますのでご了承下さい。
※リスク・副作用・合併症
内出血、腫脹、傷の哆開(しかい;傷が開く)、糸が出てくる(埋没縫合した糸がでてくることがある)、縫合糸膿瘍、テープ(傷の安静をはかるためのテープ固定)かぶれ、傷が長くなる、ドッグイヤー(傷跡の両端が盛り上がる)、傷の肥厚・陥凹、修正前より目立つ、自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。
また軟骨採取部は耳介後面の傷、耳介の感覚鈍磨、疼痛、外耳道の変形などが考えられます。