学資保険、大いに結構 | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

今の時代は積立型の保険は悪者にされがちで、その代表ともいえるのが学資保険。わざわざ「教育費用は保険で貯めるな!」というサイトを作っているFPもいるくらいです。

教育費用は保険で貯めるな!

しかし、根幹には「保険嫌い」があるので、ちょっと目を通してみると偏見が見つかり、信用性が低いというのが私の判断です。学資保険のメリットは次のように記載されています。

●学資保険の主なメリット
・保険料が自動的に銀行口座などから引落しされるので、貯蓄が苦手な人でも半強制的に積立てができる。
・加入当初の予定利率が満期まで固定されるため、金利の高い時期に加入すれば有利なことが多い。
・多くの商品において返戻率が110%前後となっており、今後、世の中の金利に大きな変化がなかった場合は定期預金よりはお金を増やすことができる。

学資保険のメリットで大事なことが抜けています。それは「保障がついている」という点です。これこそが貯金にも投資商品にもない、保険の最大の特徴。これが欠落している時点で、公平なモノの見方ができないと判断します(というか、FPとしては致命的)。このサイトは消費者のために作られているのではなく、主宰しているFPの単なるポジショントークです。プロフィールを見れば、投資方面で生計を立てているのがわかります。ですから、こういう穿った見方になるのも仕方ありません。

以下のような雑誌の企画では、学資保険の「いる度」は5段階評価で2.5となっていて、ワースト1はかんぽ生命の「はじめのかんぽ」です。

プロが選ぶ「本当にいい保険・ダメな保険」

では、実態はどうなのでしょうか。2015年6月10日の朝日新聞には以下のような記載がありました。

かんぽ学資保険 新規契約が好調 昨年度シェア3分の2

こどもの教育資金を積み立てる「学資保険」の新規契約が急増している。2014年度は前年度の1.8倍の101万4千件で、比べられる1998年度以降で最多だった。理由はかんぽ生命が出した新商品の大ヒット。郵便局という強力な販売網でシェアを広げるかんぽに、民間生命保険会社からは困惑の声も出ている。

(中略)

昨年4月に売り出し、新規契約は約66万件に上った。民間生保を含み新規契約全体の3分の2を占めている。学資保険自体は、少子化などの影響で13年度まで3年連続で前年割れだった。14年度の統計でも、民間生保だけで見ると前年を下回っている。

プロが選ぶダメな保険が世間では多くの支持を受けたということ。前述のFP達の主張と真逆の結果。これって笑えないですよね。プロの皆さん、頑張ってください。

これでわかる通り、学資保険にダメ出しするしか能のないFP、積立型の保険のネガティブキャンペーンを繰り返すだけのメディアは世間にとっては役に立っていないのです。多くの親御さんは「安全、確実」に教育資金を準備したいと考えており、そのための選択肢の一つとして学資保険は外せません。それこそ、あってはならないことですが、一家の大黒柱の身に万一があっても、学資保険であれば加入した金額をしっかり受け取ることができます。これが保険の存在意義でもあります。

もちろん、学資保険ではなければいけないということではないので、人によっては預貯金でもいいでしょう、投資信託がよければどうぞご自由に。しかし、学資保険もそれらと同じ選択肢です。お客様によってなにを優先するかは違う訳ですから、その優先したいものに合わせて商品をご提案するのがFPの役割。それなりに納得できる理由があるならともかく、大した理由も根拠もなく、「自分は保険が嫌い」という程度の浅はかな理由で、「なにを優先するか」を聞く前から「いらない」と決めつけることは、仕事の仕方としては非常に乱暴です。

ですから、教育資金を学資保険で準備するのも大いに結構。その中で、「利回りはともかく、しっかりお金が残ればいい」ということであれば、FPからの評価など気にせず身近な商品で構わないでしょうし、「少しでも利回りが高い方がいい」ということであれば、あれこれ調べればいいでしょう。

ちなみに、学資保険のベストランキングに入っているのを見たことがないJA共済の「すてっぷ」という学資保険ですが、返戻率は高い水準です。条件にもよりますが、上記ランキング1位のソニー生命に近い水準を確保できます(下記画像参照)。

【月払い】


【年払い】


JAなら日本全国に拠点がありますし、農業を営んでいなくても出資金を預ければ組合員になれます(出資金は手数料ではないので、預けている間は所定の利息がついて組合を脱退するときに元利金が受け取れます)。

商品比較が重要だと思っている「プロ」のFPの皆さんには、せめてこの程度は調べていただきたいものです。

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