間違いの実例 | 池上秀司のブログ

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前回書きました「国債が暴落したら変動金利は破綻」という一文について、実例がありました。

15年を揺るがす「国債バブル崩壊」の足音(澤上篤人)

早い話、住宅ローンを変動金利で設定している人たちは、毎月のローン返済額が急増して返済に大慌てとなる。住宅ローン破綻も続出しよう。

いつもの繰り返しです。国債の利回りと変動金利には直接の関係はありません。変動金利は日銀の金融政策の影響を受けます。澤上さんは今年中に日銀が2%、3%の利上げをするとでも思っているのでしょうか。その根拠はどこにあるのでしょうか。

そして、仮にその通りに金利が上がったとしても、返済額上昇に直結していません。返済額は5年間一定、5年毎の見直しの際、従前の返済額の1.25倍が上限です。

細かい話ですが、多くの変動金利の次回金利見直しは4月1日。その金利を7月から12月の返済で使います。4月1日まで日銀金融政策決定会合は3月15日、16日の1回だけです。そこで現状維持となれば商品概要に則り、2015年中の変動金利はそのままと考えるのが妥当でしょう。その状況下で今年中に「変動金利の金利上昇がぁああーー」と騒ぐ必要があるのでしょうか。

まぁ、澤上さんが住宅ローンに関して知識がないのは仕方ないとして(仕方なくはありませんが…)、こういうことを平然と載せるのですから、日経は本当に住宅ローンに関しては価値がないというより迷惑な媒体です。

最近は記者にも以下のような3通りのタイプがいるような気がしています。

①様々な情報を集め、その情報源の一つがFP(専門家)というタイプ
②FP(専門家)から情報をもらうだけのタイプ
③自分でシリオを作り、それに合うFP(専門家)を利用するタイプ

圧倒的に①が少ないと思います。ですから、その専門家が正しいかどうかわからない、間違っているかもしれないのにそのまま掲載する。とにかく注目を集めればいいだけの記事を作る。結果、ロクでもない情報が垂れ流されるという状況ではないでしょうか。

この記事などは「金利上昇デマ」と呼んでいいでしょう。