- 暗黒神殿 アルスラーン戦記12 (カッパ・ノベルス)/田中 芳樹
- ¥840
- Amazon.co.jp
ペシャワール城に襲来した妖魔との死闘により、
蛇王の眷属とパルスの壮絶な戦いの幕が切って落とされた。
また、ヒルメスの運命も激流の如く動き出し。
うわっ、やった!やっと、12巻まで漕ぎ付けたぞ(笑)
表紙が『誰?』な感じでしたが、中身読むととても正しい表紙でした。
イスファーン。
彼、大活躍。
長期にわたる物語展開の中で、作者が主人公に飽きて、彼を擬似主人公に据えたのかと思った。
それぐらい大活躍。
勇猛ぶり、あんまりモテなくて、相棒はわんこ(狼)なところ(笑)、
ギーヴに分かりやすく噛み付く、珍しいメインキャラなところ。
つまり、このシリーズの中では珍しく庶民的なキャラで好感が持てるというわけ。
出だしはすごくハラハラしたけど、
すっきり気持ちのいい落ちが付いていて良かった。
美味しいところを持っていくキャラがまた出来ました。
それぞれのキャラが、それぞれに美味しいところを持っていくのに齟齬の無いのが凄い話だ。
そのぶん、徹底的に不幸な人がいるからいいのか…
まー何度もいっているように、一気読みしてたらさすがに飽きてはきたんだけど、
それでも力量ある作家だから、まだまだ見どころ満載。
昨日も書いたように3人のお姫様のアイディアが。
ひとりはヒルメスの愛人にしてファム・ファタール、
ひとりはルシタニア人の愛人のグラマーで世話焼きな庶民派、
ひとりは魔将軍の未来の嫁にして最強の武人。
このうち誰かがパルスの正当な血を引いているなんて、なんてどきどきわくわくな。
どのひとも相当にドラマチックだし、それぞれ魅力的だから。
特に、ヒルメスの愛人フィトナが本当のお姫様だったらなかなかに一大事。
いよいよアルスラーン王とヒルメス王のパルスをかけた一騎打ちが見られるの!?みたいな。
レイラにしても、蛇王とアルスラーンのパルスをかけたキーになるし。
しかし、ラストは唖然。
なんか、こういう重たいラストが田中芳樹的ブームなのか??
このタイミングで、こんなひどい仕打ちを受ける理由が、エステルのどこにあったんだろう。
自分の力を把握しないお人よしは馬鹿を見るってこと?
このエピソードの前に、イラッとくるような(あざとい物語のリードエピソードとして)ナルサスの仄めかし
があるんだけど、つまりはそれにひっかかるのか?
アルスラーンの長所にして最大の短所、優しすぎるところが、
エステルの惨状のように、この後最大の危機を招くとか?
素直馬鹿というか、真っ直ぐでとてもいいこなんだけど、想像力が結構足りないエステル、
好きなんだけど、これはちょっと可哀想…
どうなるんだ、これは。