ララピポ | お役に立ちません。

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本・漫画・映画のレビューブログ。
本は月に10冊ほど、漫画は随時、
映画はWOWOWとTSUTAYAのお気持ち次第(笑)

奥田 英朗
ララピポ

奥田英朗だ!

とそれだけで借りてきたらかなーり下な話でした。


才能も無い。

お金も無い。

美貌も無い。いいことなんて何もなかったし、今後も無い。

上手く生きることなんて出来ない。


そんな人々を短編で綴っていきます。

短編はどれも繋がっていて、前の話の登場人物が次の主人公、みたいなメリーゴーラウンド。


著者は性善説の持ち主らしく、テンポは明るいけど、基本的にじめじめして居心地の悪い話。

どれもラストは陰惨。

だけど、最終話で梅雨明けの空みたいにからっともっていくところが、

この人はいい人なんだなぁ、作者に好感を持つ。


だけど、セックス好きのおばさんの話が一番怖かった…

ゴミ屋敷に住んでるんだけど、その臭気を放つような描写がかなりきつい。

恐ろしい。

この人を取り巻く話はかなり救いがなく、変なところがリアルでまた怖し。


この人の家族の見て見ぬふりも、結構ありそうで恐ろしい。

見て見ぬふりで結局、自分をどうしようも無く追い込んでいく。

動けない、動かないっていうのは、日常でもあることだし、

普段それで色んなことをやり過ごせるのも事実で、

自分が日常を逸脱してる意識も無いまま、日常的に暮らせてしまうのがリアルで。

最近の5人の死体があった事件とかね。

あれ見るからありえない話じゃないなーと思っていやだ。


やばいんだけどすごいな、と思ったのは、

自分の容姿を客観的に認めて、それを逆利用してる聞き取りライター兼裏ビデオ主演者の小百合。


極端なまでの客観視と、

だけどとても行動力あるところが逆に凄い。

自己評価がココまで低くなければ、結構成功しそうなのに。


 ばかだな、うまく生きればいいのに!

とか思うけど、容姿が綺麗じゃないとか、悪い事ばかり起こるとか、

精神の底辺というか、こういうヒトもいるのかな、ってリアリティが怖い。

作者は本当に人間を良く観察していて、その上うまく生きることが出来ない人格に常に目が向いているみたい。

石田衣良と、方向性が同じ。

石田衣良のがロマンティストだけど。