住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案
予算関連法案であり、すでに平成29年度予算案に盛り込み済み。
民間の調査によれば、大家さんが入居を拒否するのは、単身の高齢者65%、生活保護受給者60%、高齢者のみの世帯55%、ひとり親世帯14%となっており、高齢者であることが入居できない理由となっていることは非常に多いです。
私も不動産賃貸仲介業をしていたので、その断わられをいかにするかについて戦っていたことを思い出します。
住宅確保要配慮者というのは、高齢者、子育て世帯、低額所得者、障害者、被災者など 住宅の確保に特に配慮を要する者のことです。
こうした人たちの状況は、
●高齢単身者が今後10年で100万人増加(うち民間賃貸入居者22万人)
●若年層の収入はピーク時から1割減(30歳代給与: 474万円 ⇒ 416万円 〔▲12%〕)
●若年夫婦が理想の子ども数を持たない理由「家が狭いから」(16%)
●一人親世帯の収入は夫婦子世帯の43%(H26:一人親世帯296万 ⇔ 夫婦子世帯688万円)
●家賃滞納、孤独死、子どもの事故・騒音等への不安から入居拒否
ところが住宅市場では、今後は人口が減っていくことから空きがどんどん増えていきます。人口が減るから公営住宅の新規建築はどこもやりません。そして民間の空き家・空室が増えていっています。
そこで今回の改正法案が提出されました。
【登録制度の創設】
○ 空き家等を住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として賃貸人が都道府県等に登録
○ 都道府県等は登録住宅の情報開示を行うとともに要配慮者の入居に関し賃貸人を指導監督
○ 登録住宅の改修・入居への支援 ⇒ 登録住宅の改修費を住宅金融支援機構(JHF)の融資対象に追加
【住宅確保要配慮者の入居円滑化に関する措置】
○ 居住支援法人による入居相談・援助
○ 家賃債務保証の円滑化
○ 生活保護受給者の住宅扶助費等について代理納付※を推進
【目標・効果】
空き家等を活用した住宅セーフティネット機能を強化することにより、住宅確保要配慮者の住生活の安定の確保及び向上を実現
●登録住宅の登録戸数 0戸 ⇒ 17.5万戸(年間5万戸相当) (2020年度末)
●居住支援協議会に参画する市区町村(①)及び自ら設立する市区町村(②)の合計が全体( 1,741 市区町村)に占める割合 39% ( ① 669+② 17 = 686 市区町村 ) (2016年11月) ⇒ 80% ( ①+② ≧ 1393 市区町村 ) (2020年度末)
法案の概要
(1)地方公共団体による住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の供給促進計画の策定
(2)住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
[1] 住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度を創設
[2] 登録住宅の情報開示・賃貸人の監督
[3] 登録住宅の改修費を住宅金融支援機構の融資対象に追加
(3)住宅確保要配慮者の入居円滑化
[1] 住宅確保要配慮者の円滑な入居を支援する活動を公正かつ適確に行うことができる法人を居住支援法人として指定すること
[2] 生活保護受給者の住宅扶助費等の代理納付※を推進するための措置を講ずること
※ 本来、生活保護受給者が賃貸人に支払うべき家賃等を、保護の実施機関が賃貸人に直接支払うこと
[3] 適正に家賃債務保証を行う業者について住宅金融支援機構による保険の引き受けを可能とすること
新年度の予算案 平成29年度 前年度 増減 (単位:千円)
住宅市場整備推進調査委託費 |
8,080 |
8,080 |
0 |
住宅市場整備推進等事業費補助金 |
5,613,410 |
5,540,574 |
72,836 |
住宅市場安定化対策費補助金 |
0 |
31,500,000 |
△ 31,500,000 |