TPP協定 物品市場アクセスその2 工業製品 | 国政報告 おおさか佳巨 福島県[県中]の生活

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第190国会●条約第8号
環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件 【略称】TPP協定その2
【提出責任者】岸田文雄外務大臣

工業製品について
●アメリカ
全体として、工業製品の輸出額(約10兆円)の100%の関税撤廃を実現。
・ 自動車部品(輸出額2兆円弱:現行税率 主に2.5%)に関し、8割以上の即時撤廃で合意。これは米韓FTAの内容を上回る高い水準。
<即時撤廃率>
- 日米(TPP): 品目数:87.4%、輸出額:81.3%
- 米韓 FTA : 品目数:83.0%、輸出額:77.5%
・ 乗用車(現行税率 2.5%)は、15年目から削減開始、20年目で半減、22年目で0.5%まで削減、25年目で撤廃。
・ 日米並行交渉の結果、自動車分野の非関税措置やセーフガード措置、紛争解決手続等に関するルールを日米の譲許表に付表として規定。
・ 自動車に次ぐ主力分野である家電、産業用機械、化学では、輸出額の99%以上の即時撤廃を実現。

これが今、一番問題となっている。日本が得意とする自動車の生産・輸出において、日本政府側の押しが弱いため、アメリカに煮え湯を飲ませられているというのである。

乗用車については、15年目から削減開始(2.25%)、20年目で半減(1.25%)、22
年目で0.5%まで削減、25年目で撤廃。バスは10年目で撤廃。トラックは29年間関税維持の上で、30年目に撤廃。キャブシャシは15年目に削減開始(3.6%)、20年目に半減(2.0%)、22年目に0.8%、25年目に撤廃。
自動車のメインは乗用車であり、これが日本にとって不利な状況となっているが、石原伸晃TPP担当大臣は、トラックやバス及び自動車部品で勝ち取ったと自画自賛している。

なお700cc超の二輪車については4年間関税維持の上で、5年目に撤廃。自転車は即時撤廃。

そして未来のエコカー電気自動車用リチウムイオン電池は15年、光ファイバーは12年で撤廃と、日本がこれから先端を行きそうなものは撤廃時期がかなり先である。

(注)日米自動車並行交渉(主要項目の概要)
・強制規格等の策定過程の透明性確保
-自動車の設計等に実質的な変更を要する強制規格等について、義務化まで12ヶ月以上の期間を設ける。
-強制規格等に関する審議会の運営における透明性を確保。
・基準の調和
-国連基準に調和していない日本の基準に関して、対応する米国の基準が日本の基準と同等以上に厳格であると我が国が認める場合には、その米国の基準に適合する自動
車は日本の基準に適合するものとみなす(我が国の基準は一切引き下げない)。
・PHP(Preferential Handling Procedure):輸入自動車特別取扱制度
-財政上の奨励措置からPHP車を排除しない形でPHPを適用。
・特別な経過的セーフガード措置
-TPP協定一般の経過的セーフガード措置を強化:利用可能期間(関税撤廃の10年後まで)、発動回数(複数回発動可能)、発動期間(2年+延長2年)等。
・特別な加速された紛争解決手続
-TPP協定一般の紛争解決手続と比較して、協議開始やパネル設置、報告書の発出までの期間を短縮。
-米国は日本による協定違反に対し最恵国待遇(MFN)税率への引上げ(スナップバック)や関税削減時期の延期(後倒し)が可能。日本は、米国による協定違反に対し、米国の対抗措置に相当する規模で、自動車以外の有税品目の関税引上げが可能。


●カナダ
・ 全体として、工業製品の輸出額(約1兆円)の100%の関税撤廃を実現。
・ 乗用車(輸出の約3割:現行税率 6.1%)について、5年目撤廃を実現。これは、既に交渉が終了しているカナダ・EUFTAの内容(8年目撤廃)を上回る高い水準。
・ 自動車部品(現行税率 主に6.0%)は、日本からの輸出の9割弱が即時撤廃。
<即時撤廃率>
- 日加(TPP):品目数:95.4%、貿易額:87.5%
- 加韓 FTA :品目数:72.2%、貿易額:59.1%
・ 自動車分野のセーフガード措置、紛争解決手続等に関するルールを日加の譲許表に付表として規定。
・ 自動車に次ぐ主力分野である化学、家電、産業用機械では、輸出額の99%以上の即時撤廃を実現。

カナダとの関税はほとんど即時撤廃だが、やはり乗用車において、発効時に5.5%、2年目に5%、3年目に2.5%、4年目に2%となり、5年目に撤廃と、ややアメリカよりはいいが、バスは11年目撤廃、トラックは6年目撤廃、上記以外のトラックは11年目撤廃。

●ニュージーランド
・ 輸出額の98%以上の工業製品が即時撤廃。残りも8年目までには完全無税化。

例外はプラスチック製品の一部、カラーインキ、ニッケル・カドミウム電池、ひも、綱、不織布(化合繊)、鉄製ケーブル、くぎの一部、ラジエーター、陶磁器などで5~7年目に撤廃。

●オーストラリア
・ 輸出額約1兆円のうち、日豪 EPA では82.6%が即時撤廃されたが、TPP ではこれを上回る94.2%の即時撤廃で合意。特に、主力の乗用車、バス、トラック(輸出の5割弱:現行税率 5%)の新車は、100%即時撤廃。日豪 EPA(輸出額の75%が即時撤廃)からの深掘りを実現。

例外は、男子用スーツ、ジャケット等の大部分が3、4年目撤廃。じゅうたんが4年目撤廃。

●マレーシア
乗用車が3~13年目撤廃。熱延鋼板の大部分について8、11年目撤廃

●メキシコ
乗用車と小型トラックについてすでに撤廃済で、バスと中小型トラックを 11年目にかけて関税削減(ベースレート75%分)とし、中古車については発効時に関税削減(ベースレート5%分)。自動車部品でバンパー、ショックアブソーバー、ブレーキの各一部を5年目撤廃とした。

●ペルー
だんだんめんどくさくなってきたので、例外の品目だけ。
化粧品、インク、電気カミソリ、冷凍冷蔵庫、鉄製バネ、ガスケット、強化ガラス。

●ベトナム
日ベトナム EPA で最終的には工業製品の輸出額の92%が関税撤廃される予定だが、TPP ではこれに加え、特に輸出関心の高い3,000cc 超の乗用車(現行、最高70%弱の高関税で保護)について、10年目撤廃を実現。

石鹸、界面活性剤、硬質ゴム、気体ポンプ、真空ポンプ、リチウム電池、オーブンが4年目撤廃。

【結論】自動車交渉でアメリカに負けている。