人知れず微笑まん-精神科医はいらない4


精神疾患者を犯罪者のような、誤った観念
精神疾患のあるひとの犯罪率と再犯率、健常者と同率か低率である。

これが正確な事実である。
疾患のある人の犯罪率が高い証拠は、いっさいない。

しかし、専門家のホラや誤った報道によって、世間の人も偏見に凝り固まっているのである。

まるで、分裂症イコール犯罪者みたいな、あやまった観念をいだいてしまう。


精神科にプロはいない?
①分裂型
②循環型
③てんかん型
人類はだれでもかならず、この気質のどれかを類型的な傾向としてもっている
(1921年、ドイツの精神医学者クレッチマー)


これは、精神病は、どんなひとでも、性別や年齢を問わず発病しうる、
ちっとも特殊な病気ではないことを意味する。
一般の病気の事情をみてみると、

花粉症は、100人のうち10人
高血圧は、100人のうち30人
過敏性腸症候群は、100人のうち20人
ED(勃起障害)は、100人のうち7人
糖尿病は、100人のうち、5人
とわたしたちはじつに多くの病気にかかることがわかる。


精神科の領域だけに限定しても、

分裂症は、100人に1人
躁鬱病も、100人に1人
ウツ病は、100人に5人
強迫観念は、100人に5~10人
摂食障害は、100人に9人
ADHD(多動性注意欠陥障害)は、100人に5人
LD(学習障害)は、100人に5人
ナルコレプシーは、100人に1人など、さまざまな疾患がある。


また、これ以外にも最大の人数をしめすであろう「神経症」がある。
なお神経症という名称は、
アメリカの診断書基準DSM-Ⅲ-TRからは削除され、
「気分障害」として分類されているが、
現代は、「成人の3人にひとりは、
精神が広範な意味で失調状態にある時代」―――神経症症状―――ともいわれている。


「家庭にも職場にも自分の居場所がない」
「家からでたくない」
「誰とも会いたくない」
「なにもしたくない」
「死にたい」
「もうどうなってもいい」
「なにもする気がおきない」
「ひたすらベットのなかにもぐりこんでいたい」…。


不本意、不条理などつよいストレスに見舞われると、心を閉ざし、
あるいは思い詰め、無気力になり、
ただぼんやりと心身ともに疲れ果てた状態を、だれでもが経験しているだろう。

人間ならば、だれでもがもっている不安感が
過度につよくなる状態…生まれてから死ぬまで、ほんの一瞬さえも、
心が病んだことがない人間などは想像だにできない。

日本人一億二千万人が、ひとりも欠けることなく、生涯に一度は経験しているはずなのである


「神経症は病気ではない。ひとつの状態にすぎない」
という考え方をする医師は、もはや多数派である。

「神経症状のあること自体がふつうのひと。健常者のあかし」
を断言する医師もいる。


※下田治美著『精神科医はいらない』角川文庫より、抜粋させて頂きました。
※ご立派な、精神科医・カウンセラー・宗教家がおられること、
言わずもがなですが、付け加えさせて頂きます。