精神科医には、「治せる医師」と、「治せない医師」
はじめての発症以降、再発を繰り返しながら十余年がすぎた。
幾多の人とのご縁によって、精神科たちのそれぞれの診療内容を見聞きするようになった。
たくさんの実例を知っていくうちに、
おなじ数だけの哀しみや怒りが、わたしの胸のなかにたまりこんでいった。
しかし、わたしは知ってしまったのだ。
精神科医には、「治せる医師」と、「治せない医師」が、いることを。
その差は患者にとっては、天国と地獄ほどの絶望的な差であった。
現代医学では、そうとう悪性の疾患でも、
かなりのレベルまで改善がみこめると断言する医師もいることに、すくわれるのだが。
治るべき患者を治せないこれらの医師たちから、
わたしは「精神科医という名のプロの危うさ」を感じとった。
彼らはなぜ存在しつづけるのだろうか、患者とその家族の人生を丸ごと潰しながら。
精神医学というのは、真に、学問といえる科学性を有しているものだろうか。
患者さんはやさしい(ある中堅の精神科医)という医師も
「患者さんはやさしい。こちらの顔色がわるいと、
自分をさておいて涙をうかべんばかりに心配してくれるんです。
自分自身が病気なのに。頭が下がりますね。
礼儀正しいし、謙虚だし、他人にきめこまやかな気配りをするし…患者さんって、いとしい」
これほど飛びっきりのやさしさをもっているんじゃ、
こんな荒っぽい世の中には適応できないよなぁ、とへんに合点もしてしまう。
※下田治美著『精神科医はいらない』角川文庫より、抜粋させて頂きました。
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※ご立派な、精神科医・カウンセラー・宗教家がおられること、
言わずもがなですが、付け加えさせて頂きます。