39.0pt">月13日の夜に、京都から新幹線で次の目的地、広島へ。
広島は、technology and social (in)justice をテーマに据えたこの東京カンファレンスの中で重要な位置を占めていると思います。この企画のために、1月に下見に行ったほど、思い入れもありました。
ご存知のとおり、広島にアメリカが原子爆弾を落としたことが第二次世界大戦への日本の降伏のひとつのきっかけを作りました。アメリカ人を広島に連れて行き、彼らの断罪をしようとするのかというと、そうではありません。日本がおこなっている、自国の内外で平和を脅かす行動を振り返るきっかけにもしたいと個人的には思っていました。東京カンファレンスに来たハーバード生のなかには、他国からの移民である学生もいれば、自身が外国で生まれたという学生もいます。参加者が多様な背景を持つ中で、平和という概念全体を考え、国境や国籍を越えた考えを模索できないかという試みが根底にありました。
まず、朝はホテルから歩いて原爆ドームを見学に向かいました。教科書に載っている原爆ドームは建物としての姿を残していますが、凄惨なのはその後ろ。広島の街全体がきれいに整備されている中で、そのような建物が保存されていることに驚きを覚えているようでした。6期の佐野が、一連の建造物やモニュメントを全体に紹介しながら、平和記念資料館の方向へ。
平和記念公園を通り、貞子の像や全国から寄せられた千羽鶴を見たあとは、原爆死没者慰霊碑で「過ちは 繰り返しませぬから」という文言が波紋を呼んだ点についても触れました。
平和記念資料館では、ハーバード生も東大生も真剣に、じっくり展示を見て回り、多くを吸収してくれようとしていました。この資料館では、核兵器廃絶などにも触れられており、戦争の手段を持っていることに大きな批判が向けられているため、日本の教育、アメリカの教育との違いがかなり色濃かったように思えました。
展示を見学後は、広島平和文化センターの理事長を務めていらっしゃるSteven Leeper様との小一時間ほどの座談会の機会を設けました。
この座談会では、学生側から様々な質問が投げかけられ、また、東大・ハーバード大の学生間でも議論がされる様子が見られました。
Leeper様が教えてくださったことは多くありますが、中でも私の心に残ったのが、諜報活動や権力の追求によってや勝利をもぎ取ろうとするのではなく、問題の解決を目指すべきであり、優越性志向のパラダイムから共同性志向のパラダイムへの転換を説いていらっしゃったことです。平和と文化ではなく、戦争文化と対置せられる平和文化を築いていくことが、新しい時代の鍵になるというメッセージをいただきました。
しかし、リーパー様は一番問題なのは人間の意識であることをおっしゃっていました。これが、まさに私たちに個人に課せられたものであるような気がしてなりません。
座談会に応じてくださったリーパーさんには心から感謝しております。