<艶が~る、妄想小説>


今回は、後半戦第1部の続きどすきらハート

相変わらずの駄文ではありますがっ、彼らの戦いを引き続き見守ってやってくださいませきゃはっ



【温泉♪おんせぇぇん♪】第2部



慶喜さんは、煙管を銜えながら少し離れた場所に胡坐をかいて見物を決め込んだ。沖田さんも、慶喜さんの隣りに腰を下ろし、土方さんを応援し始める。


「土方さん!頑張れ~」

「……ああ」


土方さんは、眉を顰めながらそう呟くと、定位置について扇を構えた。


「土方くん、そっとだよ…柔らかい女体に触れるように優しくね」

「ぷっっ……」


「……黙っててくれ」


土方さんは、慶喜さんの言葉に吹き出す沖田さんを睨み付けると、再び蝶に集中し始める。


(慶喜さん、応援しているのか邪魔しているのか分からないなぁ…)


そして、一投目を投げると、扇は見事に枕の前にダラリとぶら下がり、真木柱(30点)をたたき出した。


「やったぁ、土方さん!」


土方さんは、沖田さんの喜ぶ声にほんの少し口元を緩めると、蝶を枕に置いてやってきた秋斉さんと入れ替わった。


「土方はん、調子が出てきたようどすな」

「何度も言うが、あんたに勝てるとは思えない」

「こういう遊びは、向き不向きはあるが…何が起こるか分かれへんもんや」


そう言いながら、秋斉さんは定位置に正座すると、腕を伸ばしたり曲げたりを数回繰り返し、ふぅ~と、息を吐いてふわっと扇を投げた。


「篝火が!」



*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~



その素晴らしい出来栄えに、思わず声が漏れる。さっき、沖田さんが出した篝火よりも綺麗に蝶が引っかかっていて、全体的に見ても数段上な気がした。


「勝負は勝負…いくら常客とはいえ、手加減無しや…」

「……………」


秋斉さんの言葉に、一瞬だけど土方さんの目つきが変わった気がした…。


しかし、秋斉さんって、何をするにも手際が良くて…頭の回転が速くて……本当に凄いと思わせられる…。そんな、秋斉さんにも苦手なこととかあるのだろうか?


いつも、厳しくも優しく背中を押してくれる人…。


土方さんは枕に蝶を置いて戻ってきた秋斉さんから扇を受け取り、定位置に腰を下ろした。その背筋を伸ばして正座する様は、今までとは違ってとても真剣に見えた。


「土方さんも、とうとう本気になったようですね」

「そのようだね…」


沖田さんと慶喜さんは、少し真剣な表情を浮かべながら小声で呟き合う。



土方さんはしばらく集中した後、ふわりと扇を投げた……宙に舞った扇は、蝶をかすめると同時に持ち手の部分に引っ掛けて枕の上に乗ったまま止まった。


「土方さん、また真木柱が出ました!」

「……まぁまぁか」

「凄いですよ、土方さん。数回投げただけで、こんな高得点が出せるなんて」


私の言葉に、土方さんはほんの少し微笑んでいる様だった。


段々と調子を上げつつある土方さんと、相変わらず調子の良い秋斉さんとの戦いも残り一手となり、見守っていた私達の緊張も高まっていく。


「泣いても、笑っても、最後の一手だね」


また、美味しそうに煙管をふかすと、慶喜さんが楽しそうに呟いた。


(土方さん…たかが遊び…そう言っていたのに…)


時々、その切れ長の凛々しい目を細めながら、土方さんは真剣な表情をすると、ふわりと扇を投げた。扇は平行を保ったまま、蝶を掠め落として先にしたに落ちた扇の上に蝶がほろりと落ちる……


「土方さん…浮舟が出ましたよ!」


私が叫ぶようにそう言うと、見守っていた慶喜さん達も感歎の声を上げ、土方さんのすぐ傍にいた秋斉さんも、驚きの顔を見せた。


「……まぐれだ」


そう、いつもの調子で顔色一つ変えずに言うけれど、真木柱も、浮舟も簡単に出せる技ではない。点数は、あまり高くは無いが、この次に投げる秋斉さんは高得点を強いられることになった。


「まぐれにしては、凄い技を出しはったね」


秋斉さんは、枕に蝶を乗せ終わると、扇を胸元でヒラヒラとさせながら座布団の上に腰を下ろした。


「さ、どうなるかな?秋斉が、蓬生以上の技を出せれば勝ちが決まる…」

「そうですね…」


私は、慶喜さんと沖田さんの会話に、胸をドキドキさせながら勝敗の行方を見守っていた。


それから秋斉さんは、ヒラヒラと靡かせていた扇をピタリと止めて蝶だけを見つめると、手首を利かせてすっと投げた。


扇は、蝶の右端をかすめ振り落とした次の瞬間、ちりんっという音と共に枕の左端に落ち、扇は、パサリとその蝶の上に覆い被さる……


「狙い通りや…」


(す、凄い……また、夢の浮橋が…)


一夜のうちに、二度も夢の浮橋を目にすることが出来るなんて思わなかった私は、思わず呆然としながら出来上がりに見入ってしまっていた。


そして、秋斉さんが夢の浮橋を出した結果、今回の勝負は…秋斉さんの勝ちとなった。


「本当に手加減無しだったな」

「すんまへん。慶喜はんの分も負ける訳にはいかへんかったさかい」


「俺の為だって?」


慶喜さんは秋斉さんの隣りに寄り添うと、 楽しそうに口を開いた。


「さっきも言ったが、勝負は勝負や。本気出さな、相手にも悪いやろ」


そう言って黙り込む秋斉さんに、慶喜さんは、「本当に素直じゃないね」と、言って微笑む。


(本当に、仲がいいんだなぁ。この二人…)



「惜しかったですね」

「……………」


沖田さんはそう声を掛けると、土方さんの隣りに座り込んだ。


「はなから、勝負はついていた」

「それでも、凄かったですよ。普段、全然やらない土方さんが、藍屋さんとここまで競ったんですから」

「お前、慰めているつもりか?」

「ふふっ、まぁ…一応」


私は、二人の会話を聞きながら、この二人も、あっちの二人も…まるで、兄弟みたいに仲が良いと、心の中で思った。


こうして、投扇興での勝負は、沖田さんと秋斉さんが勝ち残り、最後はこの二人の勝負を残すのみとなったのだった。


「すみません、秋斉さん…向こうの様子を見てきます…」

「ああ、こっちはしばらく休憩させるから、行っておいで」




秋斉さん達に挨拶をして、ドキドキしながらあちらのお座敷へ急ぐと、案の定……。


「龍馬さん!!」

「…Zzzzz…」


龍馬さんは、大きな鼾をかきながら大の字になって眠り込み、高杉さんも少し離れた場所で眠り込んでいた。


「龍馬さんも、寝ちゃったのね…」

「ああ、休憩中に横になったっきり、どんなに声をかけても起きないんだ…」


そう言う翔太くんも、枡屋さんも、今にも眠り込んでしまいそうなほど顔を緩ませている。私は、二人を心配しつつも、龍馬さんと高杉さんに掛け布団を用意してそっと掛けた。


(龍馬さんも、高杉さんも気持ち良さそう…いつも、日本中を駆け回っている二人だから、疲れていたんだろうな…それにしても、寝顔…子供みたい…)


「坂本はんが起きるのを待つかどうか…今、翔太はんと話していたところやったが…」

「龍馬さん、一度寝たらなかなか起きないからな…」

「もう、このへんでお開きにしましょう…ね?」


私の訴えに、彼らは首を横に振った。


「いや、俺は…最後までやり続けるよ」

「翔太くん…でも…」

「さっきも言ったけど…お前は誰にも渡せないから…決して酒の勢いで言ってるんじゃない……」


(翔太くん……)


今度は、しっかりとした口調でそう言われ、心臓がトクンッと大きく跳ねる……翔太くんの熱い眼差しを受けて目が離せなくなっていた時。不意に枡屋さんが駒を広い上げながら、静かに口を開いた。


「もう、待っていられへんね…坂本はんには悪いが、そろそろ決着をつけまひょ。差しで勝負や」

「……望むところです」


*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~



枡屋さんの自信あり気な笑みと、翔太くんの真剣な眼差しとが交差していく。まるで、ドラマや漫画だったら、火花が散っているような感じだ…。


「二人とも、本当に無理しないで下さいね…みんなの身体が心配で…」

「大丈夫…休憩をちゃんと挟んでいるし、駒の目も調整出来るようになってきたから」


頭脳派の二人は、小の目を出す為の調整もしていたらしく、あまり大や中を出さずに済んでいたらしい。それでも長い間、お酒を飲み続けることは身体に良くないから、私の心配は尽きないまま……


だけど…


私の為にこんなにも真剣に戦ってくれていることが、本当に嬉しくて…止めて貰いたい反面、二人をこのまま見守りたいと、思っている。


沖田さんと、秋斉さんは…どちらも投扇興が得意みたいだし、意外と翔太くんも、あの枡屋さんと張り合っている。



この勝負……どうなってしまうんだろう?




*翔太×俊太郎編(決勝戦)へつづく

<*秋斉×総司編(決勝戦)へつづく>




~あとがき~


沖田さんといくことになるのか?それとも、秋斉さんと行くことになるのか?翔太くんとか…それとも、枡屋さんとか??


今のところ、秋斉さんの票数に驚きながら、それぞれを見守っています。4人分のストーリーを想像しつつ(≧∀≦)ノ


沖田さんと、翔太くんの純愛コンビになるのか?俊太郎様と、秋斉さんの京男コンビになるのか?そして、艶シーンは書いてもいいのか??(笑)


相変わらずのマッタリ更新で、マイペースではありますが…。良かったら、また遊びにいらしてくださいませ!


今回も、遊びに来て下さってありがとうございました!