<艶が~る、妄想小説>
「温泉企画」後半戦第2部の続きどす翔太くんと、俊太郎様との勝負は、翔太くんが勝ちましたが、その決戦の模様をちびっとですが書いてみました
どのようにして、勝敗が決まったのか?その後の彼ら…良かったら、覗いてみて下さい秋斉様×沖田様は、また後ほど
そして、温泉話も書き始めています
艶っ艶にしますので、もうしばらくお待ち下さいませ
【温泉♪おんせぇぇん♪】*翔太×俊太郎編*
相変わらず、龍馬さんと高杉さんは眠り込んだまま…。いよいよ、最終決戦が始まった。
「…………」
翔太くんは、駒を握り締めて勢い良く駒を回すと同時に、枡屋さんの細められた艶やかな目が駒に向けられる。
やがて、駒の目は小を出した。
「よしっ!」
「ほんまに、小を出すの上手やな…」
枡屋さんは、翔太くんの前に置かれていた小器にお酒を注ぎはじめる。
「負ける訳にはいかないんで…」
「……その意気どす。それぐらいでないと、わてには勝てへんさかい」
翔太くんは、真剣な眼差しを枡屋さんに向けると、小器を手に取り口へ運び、ゆっくりと喉を鳴らしながら飲み干した。
「……次、どうぞ」
翔太くんから駒を受け取った枡屋さんは、「おおきに」と、言うと、そっと駒を回す。
(これで、何回目なのだろう?)
一見、地味に見えるこの戦いだが、我慢し続ける限り続いてしまう…。やっぱり、これ以上は無理をして欲しくない…。
「中か……」
駒が出したのは、中器。
翔太くんは、枡屋さんに中器を渡して並々とお酒を注ぎ始める。
「あ、あの……やっぱりもう…」
「黙って見ててくれ」
「もうじきやさかい」
二人同時にそう言われ、私は思わず口元を手で押さえ込んだ。
(…もう、本当に止められない…のかな…)
器を手にし、一口含んだ枡屋さんは、はぁ~と、色っぽい声を漏らし残りの分を飲み干す。
と、その時。
眠っていた高杉さんが、ゆっくりと身体を起こし頭を抱えながら私の隣に腰を下ろした。
「……まだ、終わっていなかったのか」
「はい…」
高杉さんは、翔太くんと枡屋さんを交互に見ながら呆れたような声で言った。
「…負けんぜよぉ~……」
「えっ?」
夢でも見ているのだろうか…龍馬さんが、寝言を発して気持ち良さそうな寝顔を見せる。
「こいつが寝たら、なかなか起きんからな…」
(高杉さんと龍馬さんも、長い付き合いだって聞いたことあったけど、本当は一番お互いを知り合っているのかもしれないな…)
「翔太…」
「はい?」
「お前、男を上げたな」
翔太くんは、高杉さんの言葉に照れ笑いを浮かべると、ちらっと私の方を見てまた視線を器に戻した。
「この勝負だけは、負けられないですから…」
「それは、わても同じこと…」
そう言うと、枡屋さんは駒を翔太くんの前に置いていよいよ、胸元から腕を出して上半身を露(あらわ)にした。
(……ま、枡屋さんまで…)
「真剣勝負や」
男性とはいえ、上半身だけとはいえ…
裸の二人に挟まれた私は、目のやり場に困りながらその行方を見守っていた。
それから、休まずに四順した後。
「しかし、地味な戦いだな」
手持ち無沙汰だった高杉さんは、三味線を奏でながらポツリと呟いた。
その高杉さんの言葉に、二人は呆れ顔を見せながら溜息をつく。
「……枡屋さん、本当に酒…強いんですね…」
「…あんさんこそ…わてもそろそろ酒に飲まれそうや…」
「もう、どちらか降参したらどうだ」
高杉さんは口角を上げて、にやりとしながらからかうように口を開いた。
二人は、ふぅ~と、深呼吸してふさぎ込むように静まり返る。
(…二人とも、もう限界はとっくに超えているはず…)
私は、二人にお水を手渡すと、意を決してある提案をした。
「あの、これじゃキリが無いので…賽(さい)を使っての勝負にしませんか?二人同時に転がして貰って、賽の目が大きい方が勝ち…と、いうのはいかがでしょう?」
私の提案に、二人は目を見開いたが、これ以上無理をして欲しくないということを伝えて、何とか納得して貰うことが出来たのだった。
「運次第ってことか…」
「でも、これ以上お酒を飲んだら…本当に身体を壊してしまうでしょう?」
用意した賽を手にしながら、まだ少し納得出来ない様子の翔太くんに懇願するように言うと、枡屋さんは、「これ以上、あんさんに気苦労をかけるのは、わての本意やおまへん」と、言って賽を握りしめた。
「なんか、ドキドキするな…」
「そやな…」
そう言い合うと、二人はお互いを見やりながら賽を床に転がす。
(どうなっちゃうの?)
高鳴る胸を抑え込みながら、その賽の目の行方を見守っていると、運が味方したのは……
「おっ!出た!!」
「…わての負けどす」
喜ぶ翔太くんに、泣き笑いのような顔を浮かべながら枡屋さんが呟いた。
最後は、半ば無理やり納得させて、こういう勝負をさせてしまったけれど…翔太くんの目は、五を出し、枡屋さんの目は、ニを出した結果……翔太くんが勝者となったのだった。
「……でも、素直には喜べないな。結局は、運任せだったから…」
「運も、実力のうちだ」
高杉さんは、翔太くんに言い聞かせるように言うと、やんわりと瞼を閉じた。
「そのとおりどす。今回は、あんさんの男気に負けました」
「枡屋さん…」
高杉さんと枡屋さんからそう言われ、翔太くんは照れ笑いを浮かべながらこちらに向き直ると、私を見つめ微笑んだ。
「ごめんな…心配かけちまって」
「ううん。翔太くんも、枡屋さんも、高杉さんも…そして、龍馬さんも。お疲れ様でした…」
そう、言った瞬間。
「…うっ……」
翔太くんがすっくと立ち上がり、口元を押さえながらお座敷を走り去って行く。
「翔太くん?」
「……限界だったようだな。もう少し飲み比べてたら勝っていたかもしれんぞ…枡屋殿」
翔太くんの走り去った方を見ながら、高杉さんがそう呟くと、枡屋さんも口角をほんの少し上げて微笑んだ。
「ちょっと、様子を看て来ます!」
そう言って、お座敷を後にすると、厠へ向かったであろう翔太くんを追いかけた。
(翔太くん…大丈夫かな…)
しーんと静まり返った厠の戸外から中へ声をかける。
「翔太くん…いる?」
「……ああ」
「大丈夫?」
そう声をかけて間もなく、戸がゆっくりと開き中から真っ青な顔をした翔太くんが顔を出した。
「……もう、大丈夫だよ」
「こんなになるまで無理をして…」
彼の目許にかかった前髪をそっと退けると、その手を取られ彼の真剣な眼差しと目が合った。
「誰にも渡したくなかったから…」
「翔太くん…」
「勝ったよ。お前の為に…って、今更だけど……俺とでいいのかな?」
「……もちろん」
彼は、微笑む私の手を握り締めたまま、すぐ傍にある庭先から夜空を見上げた。
私も、その視線の先を追いかける。
そこには、真ん丸なお月様が綺麗に輝いていた。
「五日後には、江戸へ行かなければいけないから、明後日までにその温泉宿を調べてお前を迎えに来るよ。それでいいかな?」
「うん」
「じゃ、龍馬さんと、藍屋さんに許可を貰わないとな…」
「なんか、私達の保護者みたい」
二人で微笑み合うと、また月を見上げる。
ずっと、こうしていたいな…と、思いつつも、彼とお座敷へ戻り、もう一つのお座敷へと急いだ。
<温泉♪翔太編へつづく >
~あとがき~
座興杯だと、点数が無い分…お互いが我慢のし合いになってしまい…結局は最後、サイコロで運任せな結果に でも、どちらかが降参するとも思えなかったので、こうさせて貰っちゃいました
あとは、秋斉さんと沖田さんがどのようにして決着をつけたか…ですなこちらも、書け次第UPします
今日も、遊びに来て下さってありがとうございました