SPACE BATTLESHIP ヤマト | 日日是好日

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2010 日本

監督 山崎貴

出演 木村拓哉 黒木メイサ 柳葉敏郎 緒形直人 池内博之 高島礼子 堤真一 マイコ 橋爪功 西田敏行 山崎 努 他


アニメの「宇宙戦艦ヤマト」が世に出たのは1974年の事である。36年の時を経ての実写化。ヤマトの雄姿を最新のVFX技術を駆使した映像で拝めるというのは、熱烈なヤマトファンではなくともそそられるな。監督は「ALWAYS三丁目の夕日」の山崎貴。潤沢とはいえない製作費(20億円)でどれだけのものを作ってくれるのか?興味高まる中、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」を観てきた。 


2時間十数分、退屈する事なく最後まで楽しめた。つまらない映画は観賞の途中意識がしばしば落ちるんだよねw実写化にあたり設定の変更も随所に見られたが許容の範囲内だろう。脚本もうまくアニメ本編~劇場版2作目までを圧縮してあったが、2時間でイスカンダルまで行って帰ってでは、せわしなく感じてしまうのは仕方ない。この辺は先にアニメ版を抑えておく事によって軽減されるが、予備知識ゼロの人が観たらどう感じるだろうか?


主演は古代進役の木村拓哉だが、この人の演技力はともかく集客が計算できる役者という意味では適任であろう。しかしキムタクももう決して若くはない。キャスティングにおいて20代の若手を起用する選択肢もあったのではないか。芸歴の浅い俳優では興行的にも冒険になってしまうという事か。

木村は演技中に「素」を出しても画になる稀有な役者だと思う。これは天性のものであって役者としてのキャリアとか、芝居の上手さなどとは別次元である。要は色男は得だなという事だ。本作においても彼の持ち味である「素」が随所に織り込まれていたが、終始、古代進のイメージに重ならなかったのは残念である。キムタクもそろそろ新境地を迫られてきたな。


<ネタバレ注>

黒木メイサ演ずる森雪、アニメではレーダー士であったがSBヤマトではブラックタイガー隊のエース・パイロットという設定。思い切った変更だが良かったんじゃないか。古代と恋に落ちるのは既定路線としても、相思相愛に至るまでの葛藤をもう少し丁寧に描いて欲しかった。エンディングに一粒種の手を引く森のカットを持ってくるなら、二人の距離は最後までぼかしたままでも良かったと思う。古代が直情的に森にキスをするシーン、あれはいらないな。あそこは優しく抱擁する古代に森が素直に身を任せるという程度の演出に留めておくべきだったと思う。


柳葉敏郎の真田志郎、アニメ版の真田の声をうまく再現していたね。ギバちゃんなりの真田のキャラに対するリスペクトを感じ、ちょっとした見所と言えるだろう。アナライザー、意外な処で突如戦闘ロボに変形しビックリ。もう少し長い戦闘シーンを観たかった。デスラー、やっぱりそう来たかって感じw実写化に際しては妥当な落とし所なんだろうな。生身の役者が青塗り金髪で出てきたらそりゃ吹くと思うw伊武雅刀を持ってきたのは正解。精神生命体がちゃんとデスラーに見えたよ。


隊員服のジャケットの質感は良かったが、パンツも同色、同素材に出来なかったのか?まあ一番言いたいのは「ヤマト」をもっと魅せてくれって事に尽きるな。予算の中でやれる事はやりきってはいるが。いろいろ言い出したらキリが無いがいい映画だね。レイトショーなら1,200円、もう一回観てもいい・・・・。