『養生訓』 夏季の薬(巻六16) | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

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六七月、酷暑の時は、極寒の時より、元気へりやすし、よく保養すべし。加味生脈散 、補気湯、医学六要の新製清暑益気湯など、久しく服して、元気の発泄するを収斂すべし。一年の内時令のために、薬を服して、保養すべきは、此時なり。東垣が清暑益気湯は湿熱を消散する方也。純補の剤にあらず、其病なくば、服すべからず。


六・七月の酷暑の時は、極寒の時より、元気を消耗しやすいので、十分に保養しなければならない。加味生脈散(かみしょうみゃくさん)、補気湯(ほきとう)、『医学六要』にある新製清暑益気湯(しんせいせいしょえっきとう)などの漢方薬を、長く服用して、元気が発散しすぎてしまうのを、抑制しなければならない。一年のうちで、時候のために、薬で保養しなければならないのは、六・七月だけである。東垣の清暑益気湯は、湿熱を消散させる処方である。いわゆる栄養保健剤ではないので、病気でないときに飲んではいけない。


ここで言われている六月・七月は、もちろん旧暦ですね。現代ならば7~8月というところ、暑さの厳しい時季です。昨日の「夏は生もの・冷たいものに注意」 で書いたように、発汗によって腠理が開くと、外邪が入りやすくなります。それは同時に、体内の気も外へ出やすくなることでもあるので、「元気へりやすし」となるわけですね。だから、栄養保健剤を飲んででも、元気を維持せよとおっしゃっているわけです。


『医学六要』は、明の医家、張三錫(ちょうさんしゃく)の著書。新製清暑益気湯は、東垣の清暑益気湯を軽く簡素にしたもののようです。清暑とは暑熱を冷ますことで、益気とは気を養うこと。


東垣とは、李東垣のことで、金元時代の四大医家のひとり。脾胃の大切さをとなえたので、補土派と呼ばれました。脾胃は五行では土ですから、土を補うすなわち脾胃を補うということですね。


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