枇杷が黄色になると | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます ニコニコ


くだものが盛り込まれたことわざって、健康に関連するものが多いんです。くだものそのものの効用もありますけど、季節を表すものとして使われるんですね。昨秋、「美しく痩せるために その1」 で「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」というヨーロッパのことわざを、「美しく痩せるために その2」 では「柿が色づけば医者が青くなる」という日本のことわざをご紹介しておりますが、今回は、今の時季くだもの屋さんの店先を飾るビワです。


「枇杷(びわ)が黄色になると医者は忙しい、橘子(みかん)が黄色になると医者は蔵(かく)れる、だいこんが登場すると医者は郷(いなか)に還(かえ)る」


中国のことわざです。ビワの実が熟して黄色くなるころ、つまり初夏になると、病気になる人が増えて、医者が忙しくなる。ミカンが熟して黄色くなるころ、すなわち秋から冬にかけては病人が減って、医者がヒマになる。大根が出る真冬は、病人がいなくなって、医者は立ち行かず故郷に帰ってしまう。ということですね。


昔、一番怖い病気は感染症でした。食中毒も多かったでしょう。だから、お医者さんは夏に忙しかったのですね。同じような意味のことわざが日本にもあります。


「橙が赤くなれば医者の顔が青くなる、橙が青くなれば医者の顔が赤くなる」


橙は橙色で、赤ではなくて、どっちかっていうと黄色だと思いますが、太陽に対する表現と同じで、日本人は黄色の濃い色を赤と表現するんですね。余談ですけど。


夏場は患者が多いから、医者は忙しく、景気がよいので顔が赤くなる。冬場は患者が少なく、医者は収入が減って引きこもり、顔が青ざめる。という図式です。「柿が色づけば医者が青くなる」も同じですね。


ビワの実には、ブドウ糖やリンゴ酸、カロチンなどが含まれていて、夏場の疲れをとる効用があると言われています。ビワの葉のほうは、抗菌作用のあるタンニンや消炎作用のあるアミグダリンという物質を含んでいます。9月中旬に採集した葉を天日干しすると、枇杷葉(びわよう)という生薬になります。咳止め、去痰、下痢止め、利尿などに使われます。また、ビワの葉茶として、民間薬としても使われてきました。


☆ ビワの葉茶の作り方

① ビワの葉の裏面にある毛をタワシでこすりとる。

② 水でよく洗う。

③ ビワの葉10~20gに、600mlの水を加え、火にかける。

④ ③が半量になるまで煎じる。

⑤ ④を茶漉しでこす。


ビワの葉茶を食間に飲むと、喘息の咳止めや下痢止めになると言われています。また、洗浄液や入浴剤として使うと、あせもやかぶれが改善されます。


「ビワの葉療法」も昔から行われてきたものです。光沢のある表側を火であぶり、2枚合わせてこすり合わせて、それをおなかやおへその下に当てて、ツボ押ししたり、棒灸を当てたりします。これで、胃腸の働きがよくなると言われてきました。


柿の木もそうですが、ビワの木も古い家の庭先に、必ずと言っていいほど植えられていたのは、こうして生薬として使えるからなんですね。ただ、中国揚子江南岸の原産と言われ、暖かい地方のものなので、日本では関東以西でしか見られません。


お医者さんが忙しくなる夏がやってきます。現代でも同じかどうかはわかりませんが、夏は体調を崩しやすいのも事実。ということで、来週あたり「夏の養生法」をお届けしたいと思います。


今日もいい1日になりますように。


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