『養生訓』 七情と養生(巻二49) | 春月の『ちょこっと健康術』

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それは『哀愁』。原作はロバート・E・シャーウッドの『ウォータールー・ブリッジ』で、1940年にマーヴィン・ルロイ監督、ヴィヴィアン・リーとロバート・テイラーの主演で映画化されたものです。

ロンドンのウォーター・ルー・ブリッジで出会い、恋に落ちたバレリーナのマイラと軍人ロイのお話。結婚の約束をしたところで、ロイは戦場へ。誤って届く戦死の知らせ、悲しみのあまり病いに倒れるマイラ。時がたち、駅で偶然の再会を果たす二人。幸せなはずの婚約披露パーティ。でも…。

せつないんです。とにかく、せつない。TVで初めて観たのは20代のころ。観終わった後も、涙が止まりませんでした。ヴィヴィアン・リーが『風と共に去りぬ』とは違った美しさを見せています。

邦題に『哀愁』とつけられた意味がよくわかります。これほどまでに胸を締めつけられた映画はありません。東洋医学では「悲しみは肺をやぶる」といいますが、まさにそれを実感できる映画と言えます。思い出してもせつない…胸が痛い…。


「七情とは、喜(き)・怒(ど)・哀(あい)・楽(らく)・愛(あい)・悪(お)・欲(よく)のことである。医家では、七情を喜・怒・憂・思・悲・恐・驚とする。また、六欲というものがある。耳・目・口・鼻・身・意の欲である。
 七情の中で、怒と欲との二つは、もっとも徳を傷つけて、生を損じるものだ。怒りを制して、欲を我慢するのは、易経でも戒めとしている。怒りは陽に属し、火が燃え盛るようなものである。人の心を乱して、元気を損なってしまうのは、怒りである。だから、これを抑制して、忍ばなければならない。
 欲は陰に属して、水の深いようなものである。人の心を溺れさせ、元気を減らしてしまうのは欲である。心して防がなければならない。」

益軒先生のいう喜怒哀楽愛悪欲の七情はどこからきているのでしょう。仏教でしょうか。どなたかご存知でしたら教えてください。

東洋医学の七情は喜怒思憂悲恐驚です。喜び過ぎると心を、怒りは肝を、思い患うと脾を、憂いと悲しみは肺を、恐れと驚きは腎を、それぞれ傷つけると考えます。

激しい怒りは、目の充血や頭痛、めまいなどを引き起こします。解剖生理学的にみても、これは納得できるのではないかしら?東洋医学的には、肝の働きを阻害されるからそうなる、と説明されるんですけどね。このあたりの話はいずれまた。

憂いと悲しみが強いと、呼吸が浅くなり、風邪をひきやすくなります。思い患うことが続くと、食欲がなくなり、気血が不足してきます。恐れおののいたり驚いたりすると、ちびっちゃったり腰を抜かしたりします。いずれも、五臓との関係で説明がつくようになっています。


喜びだけがちょっと説明つけにくい。とにかく陰陽五行説に基づいて、あれこれ分類されるものですから、五臓あればそれぞれに関係する感情も必ず示されるというワケです。中国人は分類好き。実は、易経の考えとかも入っておりまして…。奥が深い…。


要するに、感情も激すると、からだに影響するということですね。


『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』


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