標準管理規約コミュニティ条項の削除 -2 準拠させななきゃ大丈夫? | はるぶーのマンションヲタクな日々

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マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、
管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。(多いはず)
なのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。

 標準管理規約の改定を目指した 「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」の最新の会合の議事録が公表されるのを待っていたのですが、すぐにはでないようなので、その2をアップします。
#この前編となる”その1”はこちら⇒ http://ameblo.jp/haruboo0/entry-12012065946.html
 
 次期標準管理規約では ”コミュニティ条項”は削除されるのは既に規定路線だと思われますが、この件については、多くのマンション管理士さんがブログなどで取り上げていています。

  その多くの論調はざっと以下の感じ:

① マンション管理の円滑実施にコミュニティ活動は必須なのに標準管理規約からの削除はけしからん
② 標準管理規約には、必ずしも準拠させる義務はないのだから、今コミュニティ条項のある現行標準管理規約準拠の規約でやっている組合は、そのまま準拠させないで放置すればよいのである
 
①はよいとして②には私は twitter 等でも書いてきましたがかなり異論ありです。

 

 
 
 とくに②の解釈は少しお気楽に過ぎないかなということで一言。
 
 割とお気楽なご託宣を書いている管理士さんは、ちゃんと検討会の報告書素案や、その元になったであろう各種管理組合が自治会・町内会からみで敗訴した判例とかをしっかり読んでいるのかが不安です。素人が言うならまだしも、この路線で ”業務として” 組合に判断を提示されても困るなぁと。
 
 ②が正しいためには、コミュニティへの組合からの拠出などが区分所有法の”任意規定”に関わる部分でなければなりません。
 
 区分所有法というのはかなり特殊な法律で、1つの建物に複数の持ち主がいるという特殊な建物(マンションのその1つ)の特性に着目して、建物を管理する団体(管理組合)を設置して強制的に持ち主に加入させ、その管理は組合の決議に従って行うべきことを定めたもの。組合の決議は多数決でよいので、場合によっては少数派の主張や権利が制限されることもあるわけで、考えてみれば、管理組合ってものすごく強い権力を法律から与えられた団体なのですね。その結果、民法通りなら全員賛成じゃないともの進まなくなるのを防ぐという効果をもっています。
 
 ですから、マンションに関することは何でもかんでも管理組合でできるわけもなく、どこかに限界があって然るべきです。案の定、区分所有法3条には、管理組合は「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」とちゃんと書かれています。
 そして区分法の解釈として、判例などで○○の業務は管理組合の権限範囲ではありませんといわれてしまえば、規約にコミュニティ条項があろうがなかろうが、組合の行う事業が区分所有法に反していると判断される可能性が出てきます。

 
 「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」の報告書素案はこちら。
  ⇒ http://www.mlit.go.jp/common/001086671.pdf
その53ページ目をこちらに転載してみましょう。
 
 
 <以上 報告書(案) pp53 の後半部分を転載>

 
 検討会は、”これは法律問題である”と言い切っていて、どこまでが管理組合の権限範囲かという点で、当該規約を残していると”違法”である可能性が高いとのコメントを、単に規約条文を削除するだけではなく、標準管理規約のコメントに明記するといっているわけです。
 今回の他の改正提案の殆どは、放置したからただちに違法になるというものではないですが、ことコミュニティ条項削除については、任意規定に相当する部分なので準拠させなければOKという解釈にはちょっと無理があるのではないか。
 
 国交省の検討会の論旨は以下の通り:
 
1)法律論として、管理組合はマンションの財産管理を目的とした団体として、区分所有法で設置と加入が強制されるものであり、その権限にはおのずと限界がある。コミュニティ活動には法が予定した権限の範囲内とは言えないものもあり、その場合には関連支出も出せない
   ←判例や区分所有法の解釈
2)政策論として、マンション管理におけるコミュニティ活動は重要である。
3)方法論として、各マンションでコミュニティ活動を実施する場合は、区分法団体(管理組合)以外の任意設立の団体(自治会や町内会など)を活用することを推奨する。
4)これは、今の法制度を前提とした結論であり、これを不服、不適切というならば、制度を変える議論=立法政策の議論を俟つしかない。
 
 報告書案 pp53の最後の「注」では「現行法令や裁判例を所与とした標準管理規約が、現実と乖離や齟齬を生ずるようになっている場合には、立法論の議論となる」とあります。これは、前述 "①  標準管理規約からの削除はけしからんね" というならば、今の区分所有法の縛りの中ではどうにもならん可能性があるから、新規に立法を考えてくれと言い切っているわけで、とすれば、②のように「放置すりゃ大丈夫」はダメでしょとはっきり言い切っているようにしか読めません。
 
 報告書の都合のいいところだけ読み取って、検討会も
”コミュニティ活動は大事だといっている”から、
"規約のコミュニティ条項は放置でよいのだ”
”だから、このままコミュニティ活動をどんどんやって行ってよろしい“
っていうのは、この検討会報告書の読み方としては間違いでしょう。

 
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 そもそも標準管理規約に、”コミュニティ条項”が取り入れられたのは以下のように平成16年の話で
 http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/07/070123_3_.html
鳴り物入りで改正の目玉の一つとして導入したのに、僅か10年ばかりで慌てて引っ込めようとしているわけです。
 
 せっせとコミュニティ関連経費などを初期設定してきた管理会社やせっせとその線で頑張ってきた管理組合などから見れば、急に梯子をとっぱらわれたようなもので酷いな... とは思うのは当然ではあります。
 
 こんな短い期間に政府が朝令暮改で方針を180度反転させるというのはめったにあることではありません。”H16の標準管理規約改正の後”に何かが起こったことを反映していると考えるしかないですね。
やはり、自治会・町内会からみでの裁判の判決がいくつかあったことが決め手でしょう。

まだ続きます。
 
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