デベ・ゼネコン編 長谷工(2)  -低コスト設計は判るけど... | はるぶーのマンションヲタクな日々

はるぶーのマンションヲタクな日々

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、
管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。(多いはず)
なのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。

長谷工というと、
  田の字、直床 のイメージが強い。
 半可通のマンションヲタクは、これ両方とも無条件で不可とか
するけど、『田の字』だから、『直床』だから常にダメというもん
でもなかろう。
 
 直床の可否については別途論じることにするけど、
『直床』だからダメなんじゃなくて、『直床を利用して階高を
圧縮して建てる』よく長谷工がやるやり方がダメ
なのであって、
実は直床は一定した遮音性能を出しやすいってのは意外に
皆ご存知ない。 
  ”なんちゃって”レベルのあんまりいけてない2重床で、
床とスラブの間にグラスウール充填もなしってのは
パークホームズレベルでもよく見ますから、2重床なら大丈夫
ってほど甘いものでもない。

田の字にも一定の効用はある:
 
 田の字のメリット:
 
(1)居室を効率よく確保できる。
   ーー 必ず各住戸の4隅が居室にできる形だから、
  適切なスパンで部屋を羊羹状にちょきちょき刻めば、
  3LDKとかに切り分けたときに、無駄がでにくく
  70㎡などの狭い3LDKでも間取りに無理がでにくい。
   きちんと収納スペースも確保して、全体の72%強が
  居室になるような”居室の充填効率”はほかの間取り
  ではなかなか確保できない。また、スパン・奥行き
  からの間取りの確保パターンが決まっていて、誰が
  設計しても失敗がない。
  (田の字でない間取りでは、リビングを実効10畳程度
  の正方形にしちゃったとか住んだら住みにくいという
  失敗をしがち。正方形リビングは15畳くらいないと
  出現させてはいけない)
 
(2)限られた敷地で、皆が南向きのスパンを欲しがる国
  では戸数を確保しやすい。

   ーー ”田の字”の間取りってのは実は日本意外
  ではあまりみないもの。日本人の南向き信仰の影響は
  大きいでしょう。
   建物をできるだけ東西に長い敷地に確保して、
  めいっぱいの戸数にするには、スパン狭目で戸数を
  とれる田の字にするのは合理性はある。
   もっとも大抵バルコニーをつけちゃうから
 (これまた例外なくつけちゃうのは日本に特有)南側も
  大抵冬以外は日差しが室内にとりこめるわけではない
  んだけど、これまだ”縁側”の文化で日本的なもの。
 
(3)安くつくれる
   ーー形が単純だし、簡単な建物形状ともマッチさせ
  やすい。水回りも一箇所に集めやすい形なので
  とにかく安く作れる。安く作れる分販売価格も抑える
  ことが可能になります。
  
 一方で最大の欠点は、共用廊下に面して必ず2部屋確保
することになることでしょう。
 ポーチを挟むとかしないと、すぐ目の前を人が通過する
ってんでプライバシー面は弱くなりますし、大抵北側の
部屋は暗いなぁとかなりがち。
 
 もともとが、スパン短めにして戸数を確保しやすくする
のが設計意図なんだから、全戸8m超のワイドスパンって
わけには普通はいかない。
#8m未満のスパンを”ワイド”と呼ぶのは本物のワイドスパン
に恥ずかしいからやめてほしいなぁ・・うちは7.7mだけど
 
 大抵は、6m代前半なんてスパンと共通化させているので、
とっても奥行が長くなります。
 6.3m×12m で大体75㎡ですけど、この12mの方向の途中に
柱をいれようとすると、ちょうどキッチン・トイレ・風呂
などの水回りをいれようとしている空間を圧縮するので、
奥行方向の柱の間隔はこの間取りではどかっと飛ばす
しかない。
 
 これにかなり無理があるのでしょう、特に割と保守的な
設計を行う長谷工の場合、リビングの南側はなんとか
アウトフレーム化したで柱を逃げて部屋をとれていても、
肝心の居室を収める北側がめり込んでいるパターンが
とっても多い。
 
 典型的なのはこんな感じ。これまた長谷工施工の実際
のマンションの仲介物件から。

北側に柱がめり込んでいる例 
 

 北側の部屋が多角形に凹んでしまうパターンが多いのを
できるだけ主寝室側には悪影響のでにくい設計にして、
向かいの洋室を多角形にしてしまうパターンが多い。
しかし、この部屋、大抵は子ども部屋になるので、
ベッド・机・本棚とかま四角いものを割と沢山おきたくなる
ことが多い部屋でもあるんですよね。
 
 一方で”よい”田の字好みのQOLさんがあげた北側の
が凹んでいない例を再掲するとこんな感じ
 
柱が部屋にめりこんでいない例 

 
 全部こうすればいいじゃんとか思うけど、
 ー 南北方向の柱と柱の間隔をかなり長くとらないと
  いけない分梁の強度確保が大変。
 ー 廊下は一番狭いとこで一定の幅を確保しないと
  いけないから、廊下側にも柱をアウトフレームで
  出してしまうと、建築面積はざっくり
  柱の太さ×スパン分大きくなってしまう。
 
 これで田の字のメリット”安くできる”がかなり失われ
ちゃうのかな。
 私理系だから、10mを超えた梁をあと1m伸ばすのがそんな
に容易じゃないということは判る。梁にかかる力は長さの
2乗、そのたわみは長さの4乗に比例して増えるので、
12mなんてめいっぱいのところでのあと1mは簡単ではない。
 
 まぁいろいろと"大人の事情"があるのは判るんですが...
部屋面積の畳数表示は、部屋の中に思いっきりめりこんでいる
柱もこみの数字です。めり込んでいても、めり込んでなくても
同じ専有面積表示なんなら、めりこんでないほうに大きな坪単価
を支払う価値があると消費者も思って欲しいと思うなぁ。。
 
 私は50-100万程度の差額なら絶対、下の間取りにしますけど
どうでしょ?? 長谷工でとくにありがちな、北側居室への
めり込み、もう少し低減できないかなぁ...
 
# コストアップになっちゃう”大人の事情”は下記参照。

  下のホームページは、どっちかというと文句ばっかりいう
 意匠設計者向けに、構造設計者がまぁまずこれは知っていて
 くれやって書いた本をとりこんだページ。

 http://www.jsca.or.jp/vol3/15tec_terms/201008/doc02.php
 個人利用の範囲ってことで...
  (梁) 梁せい?スパン?コスト。
      それぞれどんな関係にあるのでしょうか
  (梁) 梁断面はどこまで小さくできるのでしょうか
 あたり参照でしょうか。

 
  無論凝ったことすれば金はかかるけど、逆にもろもろの
 全ての問題は金さえ払えば解決できる。
  部屋にめり込んだ柱はやっぱり嫌いだなお金を余分に
 払ってでも避けてほしいと多くの購入検討者が思うように
 なればいいなとは思ってます。
 
 重要!! 
  ↓
 Disclaimer: このシリーズ私の狭い経験範囲で決め付けてます。
      苦情のあるかたはまずこちらをお読みください

  → http://ameblo.jp/haruboo0/entry-11419746990.html
 
  長谷工のいけてない部分で2回ほど書いたので、一度
間取り図篇とは離れて、長谷工であることのメリットを次回から
2回ほど、その3-4で書きます。
(どんな会社にもいいとこ・悪いとこはある)

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