娼婦と鯨 (2004年/アルゼンチン=スペイン)
・・・愛の矛先 ・・・
ルイス・プエンソ監督「娼婦と鯨」(2004年/アルゼンチン=スペイン)
娼婦と鯨
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クジラの平均寿命は
シロナガスクジラ、ナガスクジラ、ホッキョククジラは、
タイトルに"クジラ"がつく映画を紹介するのは、これで4本目。
決して楽しい映画ではありません。映画としては重厚な
雰囲気があるけれど、前半は集中力を要します。
1930年代のアルゼンチンと現在を行き来し、全体の
つながりを捉えるまでが・・・少々しんどい。いったい誰が
どこでどう繋がるのかと。
しかしそれを見つめる映画であり、後半は前半の我慢が
報われる展開になっていると思います。
加えて不思議な話しで、ある"導き"を経験する現代作家
ベラと過去に生きた写真家エミリオとロラの旅に同行する
ような映画です。
ベラは乳がんに冒されています。彼女は元恋人の編集者
から古い映像や手紙、写真の数々を見せられ、その調査の
ために、スペインからアルゼンチンへと旅立つことになります。
さてその写真や手紙に秘められたこととは、いったいどんな
ものだったのかというストーリーです。
女性であれば皆、ベラの苦悩は理解できるはずですが、
共感できるかどうかは、女として転げまわった経験が
あるかどうかで分かれるのかも知れません。
ベラが片方の乳房を失って、より女であることを痛感し、
何かに突き動かされる様子は、哀しくもあり、たくましく
もあります。ベラが後半、美しくなる姿は見ていて
嬉しかったです。
そんな作家ベラを演じるのは、アイタナ・サンチェス=
ギヨン。「雲の中で散歩」(1995年)でキアヌ・リーブスと
こんなことをしていたこの人です
タンゴバンドネオンの音色に鳥肌が立つ。
エミリオとロラの切ない愛の旅
交わされる台詞も深みがあって良いのですが、盲目の
バンドネオン奏者スアレスが、ロラと抱き合いながら、
「お前のにおいは、"シ"だ。ロ短調のにおいだ」と言うのは、
笑うところではないのでしょうけど、笑ってしまいました。
それにしても、やたら下半身をさらけ出すのは、お国柄で
しょうか。わたしたち日本人が考えるエロスって、むしろ羞恥心
でしょう。この開けっぴろげな感じは・・・まッ、いいか。向こうも
そのあたり深く考えていないだろうし
この映画に必要なのは、見る側の情熱なのかも。パタゴニア
の海に打ち上げられる"鯨"。薄暗い居酒屋で繰り広げられる
"タンゴ"。上空から見下ろす数々の景色は、息を飲むほど美しい。
時を待たなければならない真実は、きっとどこかで息を潜め、
助け待っているのでしょう。
どちらかと言うと、女性好みの作品だと思います。好き嫌いは
分かれますが、壮大で贅沢な映画ではあります。
日本未公開作品です。
ストーリー
乳がんに冒され苦悩の日々を送っていた女性作家ベラは、
1930年代に活躍した写真家エミリオが残した、写真や手紙の
調査のため、アルゼンチンを訪れことになった。途中、乳がんの
手術のために入院した先で、ヴィオラはある運命的な出会いを
するのだった。
キャスト
カローラ・レイナ、ミゲル・アンヘル・ソラ、ペップ・マンネ、
レオナルド・スバラグリア、メルセ・ジョレンス、マルティン・カロニ、
ポンペイヨ・オーディヴェルト、ニコラス・トグノラ 他
撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ
脚本:ルイス・プエンソ、アンヘルス・ゴンザレス・シンデ、
ルシア・プエンソ
原題:LA PUTA Y LA BALLENA 約2時間
映画監督 ルイス・プエンソ Luis Puenzo
1946年2月19日生まれ アルゼンチン ブエノスアイレス出身
<主な監督作品>
プレイグ(1992年)
私が愛したグリンゴ(1989年)
オフィシャル・ストーリー(1985年) アカデミー外国語映画賞を受賞
私が愛したグリンゴ
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女優 アイタナ・サンチェス=ギヨン Aitana Sanchez-Gijón
1968年11月5日生まれ 伊ローマ出身
母親はイタリア人だが、父親はスペイン人
<主な出演作品>
マシニスト(2004年)
ぼくは怖くない(2003年)
裸のマハ(1999年)
雲の中で散歩(1995年)
電話でアモーレ(1995年)
マシニスト
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ぼくは怖くない
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裸のマハ
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雲の中で散歩
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クジラの島の少女
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モーツァルトとクジラ
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イカとクジラ
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