リレー小説:紡ぐ想い 6 [L・作] | happy-peach-color

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責任者のハルカです。

少々あいだがあいてしまい、申し訳ありません。

さて、L様の書いていただいた続きをお楽しみください。




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優しく背中を撫でられて、意識を手放しそうになる自分を叱咤した。
本当はこんなことをしている場合ではないとわかっているのに、どうしても強く否定できず、敦賀さんに優しくなでられる背中の感触に自然と瞳を閉じてしまう。


私はこの環境も、この関係も、少し楽しんでいる気がする・・・・


大きな暖かい手の温もり、これが演技をするための関係だと言うことを忘れてしまわないように自分に何度も言い聞かせるのに、その想いとは別に体は休息を要求して眠りの入り口へ向かう。
心地よい温もりに何度も大きく深呼吸を繰り返したが、ついに安らかな眠りについてしまった。
その時に聞こえた切ない敦賀さんの声は、どういう意味だったのだろう・・


『・・・少しは俺に近づいてくれたかな?』


私の成長を楽しみに待っていてくれると言うことだろうか・・・・


大きな手の感覚が自分の背中から離れると暖かい温もりに包まれるような不思議な感覚にキョーコは一段と深い眠りについた。


*


「・・・・ぅ・・んっつ・・」
体にかかる重みが布団ではないことに気が付いてキョーコは寝ぼけた頭でその重みを無造作にどかした。
その行動に少し寂しさを覚えた蓮は、時計に視線を向けると仕方なくキョーコを起こすために声をかけた。


「・・おはよう・・キョーコ・・起きて?」
聞えてくる美声にキョーコは小さく頷くと目を擦りながらも心地よい温もりを求めて暖かい方へ身体をよせる。
その行動に驚いたのか、美声が聞こえて方向から色香漂うため息が漏れた。


ふぅ~


「ずいぶん・・積極的だね・・キョーコ?」
蓮は柔らかいキョーコの髪の毛をクルクルと指先でまわした。
髪の毛を弄ぶ手がくすぐったいと思いながらキョーコはふんわりと笑みを浮かべると小さく丸まる。小動物が安らぎを得たような表情に蓮は瞳も心も奪われて視線を逸らすことができなかった。


「お嬢さん・・起きて・・くれ・・るかな?・・・・そろそろ・・危ないよ?」
冗談のつもりで言ったセリフは余裕なく部屋に響く。


「キョーコ?・・・・・はぁー、・・最上さん?」


キョーコと呼ばれた後に響く『最上さん』の声に、ドキリと心臓が飛び跳ねる。
止まっていた脳が勢いよく動き出すと、まるで全ての電源を一気に入れたように瞬時に記憶を呼び覚まし、止まっていた時間を早回ししたようにものすごいスピードで現実に戻ってきた。


「つ、つ、つ、つつつつつ・・・がさん・・」
こぼれ落ちそうなほど瞳を見開いたキョーコは数センチ先にある蓮の瞳を見て顔が熱くなるのを感じた。


「な、ななな・・な・・ぜ・・・いや・・・あ、ああああ、すす、あ・・も、もう申し訳ございません!!!」
ベッドの上で綺麗に正座をして慌てて自分の置かれている状況を把握すると、キョロキョロあたりを見回してキョーコは真っ赤になったままお辞儀をした。
蓮はその姿を見てクスリと笑う。


「ん・・どうかした?」
妖艶な笑みを浮かべてキョーコに視線をむける蓮。
はだけた上着から鍛え上げられた胸が見えてキョーコは増々顔を赤くしてすぐに視線をそらした。


「す、す、すすすす・・すみません・・・・」


「・・何であやまるのかな?」


「で、で・・で・・ですから・・そ、その・・・・ま、まさかとは思いますが・・あの・・私・・敦賀さんをま、枕に・・し、していませんでしたでしょうか?・・・・」


「うん・・枕って言われると悲しいけど・・恋人なんだから別にいいだろう?それとも何かな?俺の隣じゃ眠れないとでもいうのかな?」


「は、はい!眠れません!!」
正座をしたまま姿勢よく間を置かずに即答したキョーコに蓮は寂しさを覚えた。
少しは距離が縮まったと思っていた自分の想いはキョーコも同じように感じていなかったのかと虚しさが心に残る。


「・・そう・・」
寂しそうにポツリとつぶやくのとキョーコが先を続けた言葉が重なった。


「つ、敦賀さんの腕の中が心地よくて・・そ、そその・・・・敦賀さんが居なくなってしまったら眠れなくなってしまいそうなので・・・・だからその・・・・わ、わた、わたしったら・・な、なんて・・こと・・」
モジモジと恥ずかしそうに頬を染めてキョーコが爆弾を落とした。


「あ、あの・・敦賀さん?」
不安そうに見上げる上目遣いのキョーコを蓮は驚くほど無表情に見つめる


「蓮・・でしょ?キョーコ・・」
そういって仮面のような無表情から朝日に似合う神々しい笑みを浮かべキョーコを驚かせた。


蓮は自分でも驚くほど心が晴れやかになるのを感じ、知らずに伸ばしていた腕の中にキョーコを閉じ込めた。





                                            byL



7へつづく