身代わり | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

身代わり [ 西澤保彦 ]
¥1,470
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またも、そうとは知らずにシリーズものの1冊を読んでしまいました。独立したお話としても読めるんだけど、ところどころ「?」だし、あとがきを読んだらなんとこれ6作目なんだって。その旨ちゃんと表紙に入れておいて欲しいですね。続きものならやっぱり始めから読まないと!


しかも前作がかなり世間に衝撃を与えたらしいです。知らなかった。『依存』ていうんだって。世間だけじゃなくて、メインの登場人物たちの意識をも変えてしまうほどの事件が起きたらしく、それを踏まえて読んだほうが楽しめたのでしょう。


ともあれ。


深夜の公園で女性に襲いかかっていたと見られる大学生が逆に腹を刺されて死亡。それが同じ大学の後輩、しかも直前まで同じ飲み会にいたことから、学生たちは事件の謎を追うことになります。一方では女子高生が自宅で殺される事件も発生。しかも巡回中だった若い警察官まで同じ場所で殺されているのが見つかります。どちらも動機や状況が不自然な、しかも全く別々と思われたふたつの事件には、やがて驚くべきつながりが・・・


飲んでばかりいるお気楽な大学生たちの会話は軽妙でコミカル、でもどこか古風な雰囲気もあって、殺人の陰鬱さとは対照的な爽やかさを与えます。それもそのはず、舞台設定がこれ20年以上前なんですね。スマホもメールもネットもなーんにもない頃の学生だから、時の流れ方がゆったりしている。作者は今年50歳だというから、イマドキというよりはご自身の青春時代を投影している感じなのかな。

で、メインキャラクターの学生たちが、このシリーズの常連さんということらしいです。


最後の謎解きにいまひとつカタルシスがなくて、「え?それで終わるの?」と少し肩透かしだったけど、1作目から探して読んでみるかな。