そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。


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The Girl on the Train/Paula Hawkins

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なんとまた半年以上もブログ放置・・・本を読んでなかったわけではないけど、それにしても。この小説は面白くて久しぶりに一気読みしました。

ロンドンへと走る通勤電車に毎朝乗り込むレイチェル。混雑、疲れた乗客、必ず遅れる電車。ああ、わかるわかるー、都市に住む住人はどこも同じなのねーなどと呑気に思っていたのは最初だけで、話はどんどんあらぬほうへと転がってくのでした。

レイチェルは車窓からある家が見えるのを楽しみにしています。その家に暮らす仲のよさそうなカップルを勝手に「ジェスとジェイソン」と名付け、ふたりの職業や生活を想像しては、微笑ましい気持ちになるのでした。どうやらレイチェル自身はとても孤独な生活を送っているらしいことが、ページを追うごとに少しずつ明らかになってきます。帰りの電車では、なぜか必ずお酒を飲んでるとか、ジェスとジェイソンの家のそばには、かつて彼女が暮らした家もある、とか。

ある朝彼女は電車の中から、ジェスがテラスでジェイソンではない男性とキスしているのを目撃して激しく動揺します。十分に愛されているはずなのになぜ。やがて、ジェス(本名ミーガン)は失踪。自分が見たその男が関わっているはずと確信するレイチェルは、ある行動に出るのですが・・・!どこからがネタバレになるかわからないので、このくらいにしておきましょう。

物語は、レイチェル、ミーガン、そしてレイチェルから夫を略奪したアンナ、3人の女性の一人称で綴られていきます。失われた結婚を諦めきれない女、平穏な生活に空虚さを覚える女、愛人から正妻になったのに元妻の影に怯える女。こんなはずじゃなかった。私はこんなもんじゃない。三者三様に不安定な語り手が話を進めるので、読んでて時々混乱しますが、作者はとっても緻密で冷静な女性。混乱しているうちに、まんまと引き込まれて行ってしまいました。

男性の登場人物たちの本心が結局わからずじまいでしたが、主役は女たちなのでそれでいいのでしょう。これも映画化決定なんだって。どんなキャスティングになるのか興味深い。
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Alex (The Camille Verhoeven Trilogy Book 2) (En.../MacLehose Press

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4ヶ月も放置してたとは、もうこのブログ機能してないな。
読書時間そのものが減っている上に、いちばん読んだこの本に辟易してしまって何も書く気になれなかった。

でもまあ、きっぱりやめる意味もないので、細々と続けていきます。

で、ALEXです。

去年の「このミス」で騒がれていたフランスのミステリー。翻訳本を読んだ方の感想が「あまりおすすめしない」というものだったので、どうしようかなと思ったけどすでにキンドルで買ってあったのでした。

結論から言うと、やっぱり私もおすすめできません。
英訳で読んだのがまだ幸いだった。というのも、凄惨でグロテスクな場面が多すぎて、母国語の文章だときっと直截的に脳に飛び込んできてしまって、つらかったと思うので。映像が一番ダイレクトだけど、外国語であるということによるフィルターがかかるから生々しさが薄らいで、救われている気がします。そもそも私がキングとかディーバーを英語で読むのも、そのせいかもしれない。

作品の評価についてはウェブ上でもいろんな人がいろんなことを書いているけれど、とにかくあらすじを書こうとすると絶対ネタバレにつながるので、一応やめておきます。
ただ私はまず第一部が何だったのか?っていうのが納得できない。設定上必要だったというんだろうが、あそこまで煽り立てる必要はあったのだろうか。

そして怒涛の二部、三部。
言わんとするところはわかる。幕切れには確かに驚かされる。でも。
動機の作り込みが、なんともいやーな感じでした。現実にこういうことがないとは、いえないのだとしても、フィクションで書いてはいけないことだとも思った。表現の自由って難しい。
読んでない人には何のことやらさっぱりでしょうね。

ひとつだけ収穫は、捜査チームの造形。アメリカの刑事ものとは一味違うムードがあります。
あー、やっぱりこれシリーズなんだ。怖いもの見たさの方は検索してみてください。
邦題は「その女、アレックス」。
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Found: A Mickey Bolitar Novel, Book 3/G.P. Putnam’s Sons Books for Young Readers

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またまたすっかりさぼってたブログ更新。読書自体も今年は全然できていないです。いかんいかん。(って別に誰かに叱られるわけじゃないけど)

さて、Harlan Cobenのミッキー・シリーズ第3弾Foundです。
高校生ミッキーは、父→交通事故死、母→ドラッグ中毒でリハビリ施設入院中、おじのマイロンのもとに身を寄せていますが、転校先のバスケ部では周囲から無視され、つらい生活を送っています。友達はオタクのスプーンと、ゴスロリ姿のエマだけ。

前作のSeconds Awayでは学園のアイドル、レイチェルとの恋が芽生えたりして一瞬ハッピーだったのもつかの間、父の死の鍵を握ると思われる人物に狙われ、スプーンが銃で撃たれて重傷を負うはめに。ワケありの子供たちをかくまってきた謎のシェルターとそれを率いる老婆リジー(ホロコーストのサバイバー)の預言。もしかして、父は生きているんじゃないのか、という疑問。

なんかだんだん荒唐無稽な展開になってきて、いよいよこの作品ですべての謎が解明されるのですが、エマがオンラインで知り合った少年と恋をしたり、その相手が意外すぎる人物でさらなる悲劇が待っていたり、何かとミッキーを目の仇にしてきたバスケ部のエースが急に態度を豹変させて彼に近づいてきたり・・・最後はちょっと白けてしまった。

本シリーズでは脇役に徹している、おじのマイロン主役のシリーズはガゼン面白いので、ちょっとがっかりだな。YA向け、日本でいういわゆるラノベだから、作者が手を抜いているんじゃないの?という気がしてしまいます。

まあそれでも、スターの栄光と挫折を描くのがこの人は上手だし、設定にリアリティがあります。マイロンは輝かしいNBAデビューの初戦で負傷して引退、世界的テニス選手だったキティは絶好調のさなかにミッキーを身ごもって引退、誰も知らないけれどエマの母はハリウッドの超有名女優、とか。

そして、裕福なセレブリティたちの影に埋もれる「普通の人々」の苦悩や、それが思わぬ事件につながっていく経過、同じ土地で一生を過ごしていくことの呪縛と、定住地を持たないノマドな両親に育てられたミッキーの孤独。題材的には十分なんだよなー。
もう少し本気出して書いてくれてたら、きっともっと読み応えがある小説になっただろうと、勝手に評価して今回はおしまいです。
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Missing You/Signet

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NY市警の女性刑事、キャット(40歳)は、過去をいまだ引きずっています。
やはり刑事だった最愛の父が殺され、婚約者ジェフと別れたのが18年前。
父親の事件は、すでに連続殺人で死刑を宣告された男の犯行とみなされていましたが、末期がんで死に瀕した男は、キャットの父だけは殺していない、と口走ります。だったら真犯人は誰なのか。一体何のために?彼女は躍起になって事件の真相を追うけれど、やがて死刑囚は病死し、周囲の警官たちは協力してくれない。

失恋の痛手も深いまま。すべてがうまくいっていたはずなのに、突然自分の前から姿を消した恋人を、どうしてもキャットは忘れられないでいました。
そんな友人を見かねて、同僚のステイシーが「出会い系サイト」への登録を勧め、気乗りしないままアクセスしたキャットの前に、よりによって現れたのは、ジェフその人の写真!どうするキャット?

やがて彼女の前に、「母親を探してほしい」といって大学生のブランドンが接近してきます。
父を失くしてからふたりで暮らしてきた母子でしたが、母のダナは新しい恋人とバカンスへ出かけ、連絡がつかなくなってしまった。しかもその恋人はキャットと同じ出会い系サイトで知り合った男らしい・・・というか、どうもジェフ本人なんじゃないか?

一方その頃アメリカ各地で、孤独な男女が新しい出会いに胸をときめかせて、次々に姿を消しているのでした。

父が抱えていた秘密。ジェフが名前を変えて生きた空白の18年間。
そして怪しいサイトの裏でうごめく恐ろしい陰謀。
キャットはそれぞれの謎を解き明かし、真相にたどり着くことができるのか??

というお話です。

すべてが解決したかに思われた最後の数ページで、えええええ?と驚くおまけがついてます。私は油断していたので騙されました。そういえばこの件のオチがなかったことを見落としていた~。



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逢坂剛氏の一大傑作シリーズ、ようやく読了致しました。
私としたことが全く知らなくて、テレビドラマ化で世間が騒がしいなあ、と思ったことから原作にたどり着いた始末。第一弾が出たのは20年以上昔、というか昭和末期です。
インターネットも携帯電話も出てこない代わりに、警官が平気で飲酒運転したり、そこらじゅうでタバコを吸ってるシーン満載。

読後感は、一言で表すと「すさまじい」。恐ろしい殺人鬼やら極悪非道の警官やらがたくさん出てきて、5冊が完結するまでの間にいったい何人が死んだか数えられない。
目を背けたくなるような描写の連続だし、必ずしも正義が報われない展開に茫然となったりもします。でも、やめられないです。読み始めたら最後まで。

特に一作目の「百舌の叫ぶ夜」が圧倒的に面白かった。これは、ストーリーそのものだけでなく、章ごとに微妙に時制をずらして構成されている仕掛けによるところも大きい。あれ?この人もう殺されてるはずなのに、とか、ちょっと待て、今頃こいつはなんでこんなことしてるんだ?とか、目くらましで幻惑されながら、ぐいぐい引きずり込まれていきます。

何しろシリーズですから、これから読む人のために、あらすじはほとんど書けないわけだけど、最初の設定としては、新宿で爆弾事件が起こり、それに巻き込まれて公安の倉木警部の妻が死亡することから始まります。極左の活動家、暴力団、「百舌」と呼ばれる謎のテロリスト、記憶喪失の男。妻を殺されても感情をあらわにせずに淡々と真相を追う倉木と、別の線から事件に関わることになる大杉刑事、公安の女性警官美希。どうやら事件の背後にはとてつもなく大きな陰謀がひそんでいると思われ・・・

テレビドラマでは今をときめく西島秀俊が倉木、香川照之が大杉で美希役は真木よう子なんですね。局のサイトだけで全く映像見てないのでなんともいえないが、倉木はもう少しハードで冷徹なイメージかなあ。大杉は名前のせいで脳内画像が大杉漣になっちゃって修正がききません。
真木よう子は小説のイメージに一番近い気がする。一見何を考えているのかわからない、強くて賢いのにどこか抑圧されていて影があり、派手さはないのに色気が過剰。三作目でひどい凌辱シーンが出てきて、あー、キャスティングはこれで決まったんじゃあるまいかと邪推したほどです。

ちなみに、敢えて不満を書くとすると、男たちを手玉に取る悪女の造形がちっとも魅力的に見えないこと。こんなんでいいのか?と思ってしまいますが、実際の事件でも、女性容疑者の容貌を見て「えええ?」というケースが多いことを思うと、これがリアルなのでしょうか。
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マスカレード・ホテル (集英社文庫)/集英社

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久しぶりに東野圭吾氏のミステリー。

高級ホテルを舞台に、「予告された殺人事件」を未然に防ぐべく、警察とホテルがタッグを組む、というお話です。

相次いで都内で起こった3つの殺人事件。それぞれの現場には、謎の数字が残されていた。一見何の接点もないはずの被害者たちは、この暗号によって何らかの関係があるものだと見なされることになります。手がかりの希薄な連続殺人。そして第4の事件は、高級ホテル「コルテシア東京」で起こることを警察は突き止めるのです・・・

コルテシアには、何人もの捜査員がホテルマンに扮して潜入。接客の要であるフロントには、新井という刑事が配置され、優秀なフロントクラークの山岸尚美が、彼の教育係を任命されます。
「お客様がルールブック」という徹底した信念のもと、尚美は客のわがまま、理不尽、横柄な態度にもめげず、どこまでも誠実に対応しようとする真面目女子。

捜査のためとはいえ、不本意な任務を帯びて最初はふてくされていた新井が、尚美のプロ根性に感化され、いつしかいっぱしのホテルマンらしく変化していく過程はかなりコミカルに描かれます。

その裏で、刻一刻と近づいてくる第4の殺人。
次に狙われるのは誰なのか。どういう理由で狙われるに至ったのか。犯人はどこに潜んでいるのか。その目的は一体何なのか。

クライマックスに向けて、いろんな伏線が張り巡らされ、怪しいと思ったら肩すかしだったり、油断していた人物が実は悪かったり、ハラハラドキドキさせられながら、怒涛の結末へ。

でもなんというか、そつなくまとめてきた手練れの作品、というのが素直な感想です。

ネタばらしはできませんが、ああ、きっと狙われるのはこの人なんだな、ということに途中で気がついてしまったのは残念でした。
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貴様いつまで女子でいるつもりだ問題/幻冬舎

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いつの間にか、気づいたらTwitterでフォローしていて、なんだこの人面白いなあ、と思うようになり、新刊のプロモーションが始まって、買わなきゃ買わなきゃ、と、久しぶりにワクワクして書店で買った1冊です。

著者ジェーン・スー。日本人女性です。「未婚のプロ」という素晴らしい肩書の彼女は73年生まれ。ひと世代下ではあるけど、勝手に「あるあるあるある」と共感。同じような女性読者がたっくさんいるのだろうなと思われます。視点の鋭さ、冷静な自己分析、愛と毒に満ちた洞察は素晴らしいものがあります。

中身を紹介してしまうのは勿体ないので、興味ある人はぜひ身銭を切って読んでいただくことをお勧めしますが、ちょっとだけ読後メモ。

「私はオバさんになったが森高はどうだ」
 →女性を、『育て方の異なる何種類もの花が植わった庭の主』と形容する比喩が秀逸!

「メガバイト正教徒とキロバイト異教徒の絵文字十年戦争」
 →そうなんですよ、簡単な絵文字なら使いこなせるけど、動くデコメとか、もうどうして
  いいかめんどくさい

「隙がないこと岩の如し」
 →共感している場合じゃないのだが、完全にそれだ私。

「ババアの前に、おばさんをハッキリさせようではないか」
 →『男性社会で働き、自分をある程度客観視できるはずの私は、自らのおやじ性には寛容
  ながらおばさんと言われることに拒絶反応を示す』そうそうそうそう、なぜなんだろう?

「二〇一四年雑誌の旅」
 →あんなに雑誌が好きだったのに、最近読みたい雑誌がない、どこにも属せない、という
  思いに強く同意!

「東京生まれ東京育ちが地方出身者から授かる恩恵と浴びる毒」
 →地方出身の人々の熱意とパワーに押されて、ぼんやりしている東京人、を言い当てて
  くれています。

「母を早くに亡くすということ」
 →これは不意打ちされます。外で読まないほうがいい。泣いちゃったもん。
  リリーさんの「東京タワー」を彷彿とさせます。

「とあるゲームの攻略法」
 →男社会である企業の中で、女がどう働くべきか。ゲームになぞらえて行動した体験談に
  納得。

読む人によって、少しずつ共感ポイントは違うんだと思うけどね。

ジェーンさんは幼少期、体が大きくて大人たちからあまり「可愛い」と呼ばれずに育った、そのせいで「可愛いもの」「可愛い女」に対しての拒否反応が働く厄介な大人時代を迎えることになったようです。でも私、子供の頃「は」可愛かったんだ。周りからしょっちゅう「可愛い」と言われた記憶がある。そして、物心ついてからそのことにすごく抵抗を感じて、「何も私のことを知りもしない人に、安易に可愛いとか言われたくない」と思い、アンチ可愛い気質を強めていきました。入口は逆だけど、結果が同じっていうのも興味深い。まあ今となっては笑い話なんですけどねえ。変な自意識を炸裂させずに、素直にすくすく伸びる方法もあっただろうにと思うとちょっと残念!
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Inferno: Featuring Robert Langdon/Doubleday

¥2,819
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4か月以上ブログ放置してた((+_+))・・・
この間ほとんど本も読んでなかったんだわ・・・

ですが、これは先月読んだんだった。すっかり書くのを忘れていました。
ダン・ブラウンは邦訳が出ていないマイナーな作品も含めて、すべて読んでいるはずなんですが、ラングドン教授シリーズはやはり「ダヴィンチ・コード」が相当面白かったし、「Angels & Demons」はもっと面白かったから期待しました。

結果は・・・

いまひとつ・・・

なんじゃこりゃ?というのが正直な感想。

今回はダンテの「神曲」(読んだことありません)がモチーフになっていて、このまま増え続ける世界の人口にどう対処するのか、という深刻なテーマで、読み応えがありそうなはずなのに、空回りしてる感じがします。

フィレンツェなどイタリアの観光地がたっぷり登場するし、しょっぱなから銃撃戦に逃亡劇、過去にワケありの魅力的な若い女性と、華やかな道具立てなんだけど、それも「あー、ハリウッド映画にするためね・・・」という勘ぐりにつながるばかり。

それなりに面白く読める箇所もあったんだけど、悪役の意図や作者の仕掛けた騙しの技が、「はあ?」っと気が抜けるもので、説得力ないんですよね。結末にもちょっと白けた。

そうか面白くないからここに書く気にもならなかったんだ。ハイ次!
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【新品】【書籍・コミック 文庫活字】マリアビートル

¥780
楽天

なんだかんだまた2ヶ月も空いてしまった。いろいろ読みかじっているものの、まとめて書評を書く気になれず・・・
久しぶりの伊坂幸太郎のこれは、『グラスホッパー』の続編とも言えるらしい。間違えて続けて二冊同じ本を買っちゃった(それも同じ日に)っていう友人に貰い受けました(笑)。

東京発、盛岡行きの東北新幹線はやての中で起こる事件の数々、悪い人々、転がる死体。
いわゆる「善人」が全然出てこなくて、悪い奴らがそれぞれの思惑で身勝手に動き、策略を練り、その割には皆詰めが甘くてずっこけながら、話はどんどん悲惨になっていく。

アル中の元殺し屋木村は、幼い息子を突き落として植物人間にした「王子」に復讐するために、はやてに乗り込みます。「王子」はあどけなさの残る中学生。一見素直なお坊ちゃんそのものなのに、狡猾で冷酷で、登場人物の中で最も極悪です。「木村」もあっさり形勢逆転、「王子」の人質と化してしまうのでした。

人の感情を操り、弄び、絶望させて喜ぶ「王子」のエピソードは、途中で投げ出したくなるほど不愉快でした。これは作者が「悪の本質の追究」のために創りあげた怪物なのでしょうから、耐えなければならないんですけどね。最後近くに、「人は見た目によらない」ことで得してきた「王子」が、人の見た目で油断するところは少しだけ痛快でした。

奇妙なコンビ、「蜜柑」と「檸檬」は現役の殺し屋。小説好きで冷静な「蜜柑」と、『機関車トーマス』を愛してやまない、いい加減な「檸檬」は、とある重要人物の息子を監禁先から奪い返し、身代金の入ったトランクと共に無事連れ帰ることが使命だった。ところが新幹線に乗せた時には何ともなかったはずの息子が、気づくと死んでいる!

一方、優秀なはずなのにどこまでもツキに見放された「七尾」は、そのトランクを盗んで上野で降りる、というミッションを帯びて乗車。簡単なはずの任務だったのに、いざ、となったらトランクが消えていて・・・

やがて彼らは互いの存在に気づき、駆け引きを繰り出しながら、何とか自分の役割を全うしようとするのですが、さらなる悪人たちが新幹線の中でも外でもゲスト参加して、もうなんだかわけがわからないことになっていきます。果たして、はやてが盛岡に着くとき、勝ち抜けるのは誰なのか?

ブラックな中にも微笑ましい描写だのユーモラスな会話だのが盛り込まれ、それがある種作者のスタイルなんですが、こんなに命が軽々しく失われる物語を楽しんでいいはずはなく、そこを承知の上で敢えて伊坂氏は「悪」とか「罪」に挑んでいるのでしょう。読後感は悪いよ~。

『グラスホッパー』の内容をすっかり忘れ去っていたのでネットで検索して確認したりして、ああ、この人が彼だったのか、話はそういう風につながっていたのかと今さら衝撃を受けています。
同じ本を買った友達を笑えないくらい、記憶が風化している。

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光待つ場所へ (講談社文庫)/講談社

¥735
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年末に読んだ短編集。辻村さんはかなり気に入っているので、文庫はほぼ読んでいます。それぞれの作品が互いにリンクしあい、登場人物たちの過去や未来が錯綜するのが辻村ワールドの特徴のひとつ。ある長編での主人公が、別の作品でチョイ役として顔を出したり、気になっていた人々の後日談が思わぬ形で現れたり。

この短編集も、「しあわせのこみち」が「冷たい校舎の時は止まる」、「チハラトーコの物語」が「スロウハイツの神様」、「樹氷の街」に至っては、「ぼくのメジャースプーン」から「子供たちは夜と遊ぶ」「名前探しの放課後」「凍りのくじら」・・・と、たくさんの物語とつながっています。

とはいえ独立したものとして読んでも別に支障はないです。

読後感としては、やや期待外れかなあ。この作家はすごく実力のある方だと思うので、それにしては気楽に書いちゃった感がして、読んでて歯を食いしばるいつもの状態になれなかった。

自分だけが特別、世界がバカに見える、さびしくて仕方ないのに虚勢を張ってカッコつけて。青春期特有の恥ずかしくて痛い心の叫びを文章化するのが彼女の真骨頂ですが、今回の皆さんは、そこまで感情移入できなかった。こっちがすでに老成してしまったということでしょうかね。虚言癖がある美形にしてオタクのB級アイドル、チハラトーコの話はちょっと面白かったな。

「樹氷の街」は合唱コンクールに向かう中学生たちの日常。ピアノ伴奏をめぐる一連の騒ぎにリアリティがなかったのが残念。辻村さんはあんまりピアノ弾かないんだな、と思いました。
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