Silver Linings Playbook
監督： デビッド・O・ラッセル(David O Russell)
出演： ブラッドリー・クーパー(Bradley Cooper)/ジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence/ロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)/クリス・タッカー(Chris Tucker)
2012年 アメリカ
妻の浮気が原因で心のバランスを崩したパット（ブラッドリー・クーパー）は、家も仕事も妻も、すべてを失くしてしまう。今は実家で両親と暮らしながら、社会復帰を目指してリハビリ中だ。何とか妻とヨリを戻したいパットは、彼女の理想の夫になろうと努力するが、妻は接近禁止命令を解いてくれない。
そんな時出会ったのが、近所に住むティファニー（ジェニファー・ローレンス）。愛らしい姿からは想像もつかない、過激な発言と突飛な行動を繰り出す彼女に振り回されるパット。実は彼女も夫を亡くし、心に傷を抱えていた。ティファニーは立ち直るためにダンスコンテストへの出場を決意、パットを強引にパートナーに任命する。人生の希望の光を取り戻すための、ふたりの挑戦がはじまった・・・・。
（『世界にひとつのプレイブック』公式HPより）
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“世界で最もセクシーな男”の称号を捨て去ったとき、役者として輝く。
なんだか、いい映画です。具体的に何がいいかを説明しようとするととても難しいのですが、あぁいい映画を観たなぁと思える映画です。
主人公のパットは躁うつ病。そのパットはもちろんのこと、登場人物がみんな、どこか極端な傾向にあります。感情や、表現や、行動や。
パットの父親（ロバート・デニーロ）なんかは特にそうで、パットのような躁うつ病の息子の父親というのを、すごく考えられている気がします。パットの極端さは際立つけれど、この感情の起伏は性格でもあるんだなと、父親を見ていて思います。
そんな、どこか極端な人たちが、ぶつかったり抱き合ったり、泣いたり怒ったり、楽しんだり苦しんだりしながら日々を生きる姿を見ていると、ジワッとくるものがあるんですね。
人が、人それぞれに生きることの大切さみたいなものを感じます。人は皆、自分が持ち得るものの中で、生きていかなきゃならない。自分が持ち得るものの中で、精一杯生きていけばいい。
自分が自分として生きる背中を押されるような、いい映画です。そしてそのとききっと、人は独りじゃないとも思えるのです。
デビッド・O・ラッセル監督は、色々と問題もおありのようですが、いい作品を作ってくれるんですよね。才能とヴィジョンがあり過ぎて問題を起こしてしまうのかしら？今後はおとなしく、とは言いませんが（おとなしくなると才気もしぼむ気がする）、自分をうまくコントロールして、いい作品を届けてほしいです。
作品賞や監督賞など多くの部門でノミネートされていた第85回アカデミー賞では、ティファニーを演じたジェニファー・ローレンスが見事、主演女優賞に輝きました。
彼女、まだ若いんですよね。1990年生まれ。てことは、撮影時は20歳くらい？たしかに、見た目はそれくらいにも見えます。
が、心に傷を抱えた未亡人という役で、ブラッドリー・クーパーと並んでもまったく違和感のないことに驚かされます。この役柄は、20歳の小娘では、絶対にない！もっと世間に曝されて、いろんなことを知る、女性なのです。
年相応ではない役を、本当によく演じているな～と感心します。見た目の若さを内面でカバーするというか・・、見た目の若さは気にも留めなかったです。
今後の活躍も楽しみですね。
そして、パットを演じたブラッドリー・クーパー。正直驚きました。もう昨日までのブラッドリー・クーパーとは違う。
私はかつて、ブラッドリー・クーパーは近い将来“最もセクシーな男”の称号を手にすると予言しました（→証拠 ）。その予言は的中し、2011年、ピープル紙の“最もセクシーな男”に選ばれました。彼は常に、セクシーな、ブラッドリー・クーパーでした。
ところが本作においては、セクシーオーラ、ゼロ。無。ブラッドリー・クーパー素敵とか、かっこいいとかは、微塵も過りません。パットなのです。
躁うつ病については私は詳しくないので、どうこうと意見は出来ませんが、リアルに感じる人間を演じているとでも言いましょうか。とても中身のある人間を演じています。単純且つ複雑な心を持つ人間です。私、パットの行動に、いちいち泣いたり笑ったりしてしまいましたよ。
“最もセクシーな男”の称号がスターへの階段なら、今彼は、もう必要ないとそれを脱ぎ捨て、役者として次のステージに立った。頑張れ！←同世代、力いっぱいの応援。