終わらない歌

宮下奈都 実業之日本社 2012年11月

終わらない歌/宮下 奈都
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卒業生を送る会の合唱から3年、少女たちは二十歳になった。御木元玲は音大に進学したが、自分の歌に価値を見いだせなくて、もがいている。ミュージカル女 優をめざす原千夏が舞台の真ん中に立てる日は、まだ少し先みたいだ…。ぐるぐる、ぐるぐる。道に迷っている彼女たちを待つのは、どんな未来なんだろう。


よろこびの歌 の続編。あの時、困難に悩みながらも一歩前に踏み出そうとしていた高校生たちの2年後。

私の歌はお嬢様芸、経験が足りないと、歌に感情を載せられないでいる御木元玲
劇団でミュージカル女優として役がほしい原千夏
高校時代の故障で選手が続けられなくて選手をサポートする人材を養成する大学に通う中溝早紀
保育士となるが、保護者等の関係に疑問を持つ優等生の佐々木ひかり
失恋を引きずっている里中佳子
この土地を離れてひとり暮らしをして働くことになった東条あや


あの時の彼女たちに出会えただけで、うれしくなった。こんなにも成長したんだと、うるうるしてしまった。

それぞれに前向きに進んできたものの、新しい悩みや問題にぶち当たっている。けれど、彼女たちは、今も仲が良く、高校時代に歌った“よろこびの歌”のことを忘れていない。そのことがうれしい。

歌の力ってすごいな。

自分の道を見つけたそれぞれの章の終わり方がよい。
ラストの玲の自信を取り戻した姿が特に印象深い。

東条あやの章だけは、先輩社員の視点で描かれているのが新鮮だった。


ぐるぐる、ぐるぐる
・・・作者のこんな表現好きだな。

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