海堂尊 朝日新聞出版 2009年4月
- 極北クレイマー/海堂 尊
- ¥1,680
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『週刊朝日』大好評連載小説の単行本化。現役医師で医療エンターテインメント街道を驀進する著者の最新作。赤字5つ星の極北市民病院に赴任した外科医・今中を数々の難局が待っていた。不衛生でカルテ記載もずさん、研修医・後藤はぐーたらだし、院長と事務長は対立している。厚生労働省からの派遣女医・姫宮は活躍するが、良心的な産婦人科医はついに医療事故で逮捕された。日本全国各地で起きている地域医療の破綻を救えるのは誰か?
厚生労働省からの派遣女医・姫宮の活躍は、見事!あの短い期間で、変えてしまうとは、拍手を送りたい。
三枝医師のことは、気の毒に思う。あんなに市民のために働いていたのに。
帝王切開のとき。妻と子を亡くした広崎宏明が、真実を知りたいというの気持ちはわかるが、医療ジャーナリストの西園寺さやかの存在は、黒い影を落とす。彼女の目的とはいったい何なのだろう?
お産は絶対安全だという考えの人がいるが、事故でなくなることもあるのだということ。清川准教授が、テレビで言っていったことは、産科医の叫び、作者の本音なのだろう。
日本医療業務機能評価機構で、病院の評価を受ける場面があったが、評価を得るためにこのようなことが行われているのはおかしいと感じる。病院のよしあしは、こんなことでは決まらない。お金のあるところがいい評価を得られるようなのはおかしい。
地域医療の現場は赤字続きで問題も多い。極北市民病院は、果たして再建なるのだろうか。
この小説でも、エンターテイメントの中に現代医療の問題が盛り込まれていた。
イノセント・ゲリラの祝祭
・ジェネラル・ルージュの凱旋
・ナイチンゲールの沈黙
・チーム・バチスタの栄光
は読んだので、姫宮や速水の存在ににんまり。ほかの作品、「ジーン・ワルツ」「ブラック・ペアン1988」ともリンクしている部分があるようなので、読んでいきたいと思う。
お気に入り度★★★