イノセント・ゲリラの祝祭

海堂尊 宝島社 2008年11月

イノセント・ゲリラの祝祭/海堂 尊
¥1,575
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田口は、高梨病院長からの呼び出しを受け、白鳥からの要請で、厚生省の会議に出席することになり、上京する・・・・・・

今回は、会議の場面が多かった。

会議は、医学会、法曹界、記者、被害者・・・・・とそれぞれの立場からの発言で、かみ合うところがない。会議というより、意見の羅列にすぎない。と思っていたら、会議というのは見せかけで、結論は決まっているというのも、解せない話だ。

今までのようなミステリー性がないのは残念だったが、最初の会議では、、意見の羅列から始まり、回数を重ねるうち、新しく会議に人を加えるのにも、技を使い、話をエーアイ導入の方向へ向けていくその方法が見事だった。


医者と医学者との違い。診断書の「心不全」の意味。死亡解剖率の低さ。エーアイ導入の必要性。といった医学の知識を得ることができた今までの馴染みの白鳥や田口が登場するので、物語に入りやすく、医療問題を小説の形をとって表現していて、興味深い内容だ。

医療事故が起こったときの円満解決の方法とは?公正なはずの裁判が、それにより、紛糾を促進してしまうこともあるというのは、悲しいことだな。


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