先日見に行った日本空手協会の全国大会。
スピーディで緊迫感のある組手試合には、いろいろ考えさせられるものでありました。私の空手の芯はフルコンタクト空手ですが、伝統派の間合いの操作には、本当に学ぶべき点が多いと感じます。

しかし、凄い!と分かっても、真似をするには、彼らが何をしているか、ゆっくり確認することが必要です。そんなわけで、例によってYouTubeで伝統派の試合をコマ送りにしながら、足捌きなどを確認してみました。

題材は、去年の全空連の決勝戦。
先日の協会の全国大会を制した志水選手が、松久選手に負けてしまう試合なので、志水選手の動きを生で見た感動が研究のきっかけになっているのを考えるとちょっと皮肉ですが、まあ、そこは考えないことにします。

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JKF National Karate Championships Men's Kumite FInal 2007
http://jp.youtube.com/watch?v=16J0fgWGyaw&feature=related

下で見るのは、5ポイント目の攻防です。
動画では3分00秒あたり。長い距離を一気に詰めてしまう伝統派特有の足運びが見事でした。

松久vs志水5pt目01
左の赤い拳サポが志水選手、右の青い拳サポが松久選手。
ともに左足前の構えなのでオーソドックスの私には参考にしやすい両選手です。

松久vs志水5pt目02
前足(左)で踏み込む松久選手。
前手で志水選手の前手を封じています。

また、この時点では、腰を落とすことで前進していて、
後ろ足で床を蹴る推進力は使っていないようです。

松久vs志水5pt目03
後ろ足(右)の爪先で床を蹴る松久選手。

松久vs志水5pt目04
そのまま前に飛び出して逆突き!

松久vs志水5pt目05
床を蹴った右足を前に運びつつ、左逆突き。
このときは、左足で床を蹴る推進力も得ています。

松久vs志水5pt目06
そのまま右足を志水選手の前足の外に出し、

松久vs志水5pt目07
足払いに入りますが、これは不発。

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動きを見ると、本当に一瞬の出来事です。
私が通常組手の中でステップインするときは、後ろ足で床を蹴って入るため、加速は一回だけ。入ったところで縦方向の動きは止まり、あとは左右のステップと連打に入ります。
しかし、上の松久選手のステップインは、加速が長く続いているように見えます。これは、単に松久選手の足が長い(!)ことや、筋力に優れているからだけでなく、三度に分けて推進力を得て、実際に加速状態を長く取っているからだと思われます。

最初は、腰を落として前足(左)を滑らせる推進。
二度目は、後ろ足(右)で床を蹴って前に出る推進。
三度目は、後ろ足になった左足で床を蹴って前にでる推進。
まるで、多段階推進のロケットですね。

伝統派の選手なら、どうやら高校生でも中学生も当たり前に使っている足捌きのようですが、真似してみてもすぐには再現できません(笑)。
落ちながら前足を滑らすのはいいのですが、その後の後ろ足の床蹴りがスルッとすべってしまいます。どういう風に練習すると身に付きやすいのか・・・?

<追記2009.4.25>
ひょんなことからキッカケ掴みました。
http://ameblo.jp/hamikara/entry-10249146224.html
<追記終わり>

うちの道場はフルコンですが、身長190センチ台でリーチのある選手が多いという特徴があります。こうした動きも、戦術の一つとして取り入れられたら組手の幅が広がりそうです。

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1pt目もほとんど同じ動きなので、ちょっとだけ別のアングルからの確認になります。

松久vs志水1pt目01

松久vs志水1pt目02

松久vs志水1pt目03

松久vs志水1pt目04

松久vs志水1pt目05

松久vs志水1pt目06