休日出勤の途中、格闘技通信をチラ見。目当ては、元極真空手の数見肇、岩崎達也の技術連載「What is ライコンドー」です。

総合格闘技の登場により、実戦格闘技の座を失ったフルコンタクト空手。そのフルコンタクト空手の立場から、総合格闘技にも勝てる方法を示していく連載なのですが、第1回が思ったより面白かった ので続けて読んでいます。

ただし、彼らの主張(むしろフルコンタクト空手こそ総合で勝てる打撃だ)には、フルコン空手愛好家の支持を得ることを目的とした詐欺師的な臭いも覚えます。疑いながら読む必要があるでしょうね。

第2回

格闘技通信2

ルール内での勝利を求めるあまり、互いに寄りかかりながら打ち合う形に歪んでいったフルコンタクト空手。その中で、ひとり武道的なイメージのあった王者・数見肇の組手を分析する回でした。

10
互いに寄りかかりながらの打ち合い の例)

一言で言えば、数見空手のポイントは、寄りかからないこと。重心を常に自分の中に持ち、相手に依存しない戦い方をしていたという分析はなかなかですね。

数見肇
寄りかかる相手の体軸(黄色)と垂直な体軸を崩さない数見(青)

彼の空手に「不動心」という言葉がよく似合うのもむべなるかな、です。自分の組手スタイルを見直す指針になる指摘でした。

しかし、数見肇以外があのスタイルを取れないのには、理由もあるんです。
自分の中に重心を保つ姿勢を取れば確かに安定し、反応も早くすることができるのですが、同時に技が届きにくくなります。
数見肇は、日本人としてはかなりリーチが長いため、そうした姿勢のまま伸ばした手足が相手に届きますが、リーチの無い選手には無理。
現に、数見肇自身、フランシスコ・フィリョと戦った時には、リーチに勝るフィリョに受け返しの返しが届かないシーンがたくさん見られました。
あのスタイルで数見肇が勝ち続けられたのは、彼のリーチがあってこそです。
数見肇を真似れば誰もが勝てる訳では無いのです。

しかし相手に寄りかからない組手スタイルが、本来の武道的な空手の姿であるのは理解できます。その方が反応が早くなり、顔面を付き出した格好でないため、顔面パンチにめ対応しやすくなりますからね。
後は、リーチの無い人間があのスタイルで勝てるようにするには、さらにひと工夫必要なんでしょう。その点でのヒントを今後の連載に期待します。


第3回

格闘技通信3

今回は、総合格闘技の中の打撃について。
ブラジリアン柔術が普及することで、総合格闘技の差別化ポイントがレスリングとスタンド打撃に移行してきた、との分析は聞き飽きた古い分析。
問題は、総合の中でもスタンド打撃が重要になってきたのにフルコンタクト空手が活躍できないことです。
ライコンドー側の答えは、フルコンタクト空手の寄りかかる打撃が、タックルに入りやすいスポットを作っていた、というもの。重心を自分の中に保った姿勢で打撃を放てば、そうしたスポットはできず、タックルに入られにくくなる、との主張です。

・・・まぁ一理はありますね。
総合格闘技では、キックボクシング出身の選手は空手出身の選手よりずっと活躍しています。
それは顔面攻防に慣れていることに加え、フルコンタクト空手のように寄りかからない、自分で立つ姿勢を保っていたことも寄与したのかもしれません。

しかし、問題は、そうした姿勢を取るキックボクシング出身の選手でも、総合格闘技ではやはり苦戦が多く、負けが込んでいること。

ライコンドーの指摘は、フルコンタクト空手をマシにするためには役立ちますが、その効果の程は知れているように思えます。この程度では、それならキックボクシングでいいだろ? と言われてしまいますからね。

そう言わせない更なるサムシングはあるのか?
またちょっと懐疑的になってきましたが、次回を待とうと思います。

→ 「What is ライコンドー4回