半年ぶりに物理サークルに顔を出しました。会場が変わってからは、初めて。
しかし、上には上がいて(笑)、パプア・ニューギニア帰りのスギさんは2年半ぶりの登場。
上の写真は火山が爆発したときのもの。日本でも報道されました。このすぐそばで理科教員になる人たちの指導をしてたんですね。ご苦労様。
これはスギさんが暮らしていた家。いやあ、広い!
パプア・ニューギニアといえば、故水木しげる翁の「楽園」。手を伸ばせばバナナが手に入る環境なので、働いている人が少ない。といっても、道路は舗装されているし、教育制度も充実しているとのこと。ただ、ちょっと奥にいくと電気等の設備はいきとどいていない。貧しいのではなく、シンプルな生活。
スギさんいわく、「幸せの意味を考えさせられた」・・・ぼくたちが忘れてしまったものが、そこにあるんでしょうね。
町中にはスーパーもあるし、ホームセンターもあるのだけど、日本のように様々な物が簡単に手に入ることはなく、実験装置を自作するにも苦労した。コードも手に入らないので、トランスの線をほどいて使ったそうです。うーん、大変だ。
これは、1キナ硬貨。40円くらいの価値とか。5円玉と同じく穴あき硬貨で、なんとニッケル製! 磁石にくっつきます。昔の50円玉みたい。日本でも、またニッケル製の50円玉を復活させてほしいなあ。
山岡さんは「生徒に穴あき硬貨は日本の5円玉だけだといってきたんだけど、他にもあったんだ!」と絶句。
写真は、せっかくのニッケル製(ニッケルは鉄と同じで強磁性体)の硬貨なので、コイルをぐるぐる巻いてトランスにしたもの。内部のアンプから内蔵スピーカーにつながる線を取り出して、トランスによるエネルギー伝送をさせた装置。渦電流によるエネルギーロスがあるので、写真のようにすると、いくぶんか音量が下がります。
サークルでは外野から「もっとコイルを巻かなきゃ!」などの声が。穴が小さいので、それは難しそう。
さて、こちらは、今日のサークルでは紹介のなかったもの。佐野さんが持ってきていたフレネルレンズです。ハンズ(だったかな?)で売っているそうです。
左が凹レンズのフレネルレンズ、右が凸レンズのフレネルレンズです。
二つをぴったり重ねると・・・
レンズがないのと同じ1倍の映像。
当たり前すぎる実験だとはいえ、なにか不思議な感動があります。
佐野さんが紹介したのは、三重の先生の手作りレンズ、手作りプリズム。レジンで作った大きなモデルです。黒板にくっつけて演示実験にも使えます。
こんな風にチョークで引いた光線に沿って手作りプリズムにレーザーを当てると・・・
レーザー光線が理論通りに屈折・反射して進むのが見えます。
でも、レジンも、型抜きにつかうシリコンもそんなに安いものではないので、自分で最初から設計して作るのは大変かも。三重では、最初に開発した人のものを量産して、各学校に配るみたいな試みをしているそうです。
こちらの吹き矢は、前回の続きだそうです。
主要部の長さが2倍違う2本のストローに、短い棒を入れ、L字型に折れた口元から息を吹き込む。棒は力×距離の仕事をもらい(当然、2倍違う)、真上に飛び出す。最高点では息からもらった仕事が全部位置エネルギーmghになるので、2つの棒は高さの2倍違う最高点まで上がる・・・という実験。
エネルギーの原理(仕事とエネルギーの関係)を端的に示す実験として、使い道がありそう。
棒の径がストローにぴったりだと、ストローにくっついてうまく飛ばないので、ストローより一回り小さい径の棒を使うのだそうです。これはやってみないとわからないコツ。
ぼくもいくつか簡単な実験を紹介しました。大型コイルモーターや、Nさんのストロー多面体の改良版、紙のタケトンボ、宙づり磁石の四つ。どれもこの「ミオくんと科探隊」サイトで紹介したものなので、ここでは割愛します。いずれ公開されるはずの「愛知物理サークル」のウェブサイトをご覧くださるか、関連記事のリンク先で、「ミオくんと科探隊」の記事をご覧ください。
こちらは、前に紹介したことがありますが、K高校の生徒の「浮かぶ磁石ゴマ」。生徒たちがやってきて研究成果を発表してくれました。
右図は鉄粉を巻いて磁場を調べた実験結果。下の磁石とコマの磁石の合成磁場の形がよくわかります。
左はリング磁石上で浮かせた実験。右はフェライト磁石を組み合わせた手作り磁場での実験。右の方は浮かせるのが大変ですが、何回かのチャレンジののち、見事に浮きました。お見事。
議論を呼んだのがM高校の生徒の重力レンズの発表。いろいろな意味で面白かった。
重力レンズと同等の屈折をしめす光学レンズの形を3Dプリンターでつくり、それを型にしてレジンでレンズを作っている途中だそうです。N大の先生の論文を参考にしているとのこと。
黒板の式の左辺はrとzが逆ですが、これは指摘を受けてすぐに直しました。nは屈折率。
果たしてこれで本当に重力レンズと同等になっているのかというので、サークルの面々がああでもないこうでもないと勝手に議論を始めました。まあ、いつものことですが、高校生の諸君は面食らったでしょうね。
原論文を見ていないのでなんともいえませんが、ぼくも疑問に思いました。とはいえ、刺激的で面白い。果敢な挑戦ですね。
レジンを入れる型を油粘土でとったという話だったので、シリコンでとったほうがいいとアドバイスしておきました。東急ハンズに行くと、専用のシリコンが何種類も置いてあります。剥離剤も必要になるかも。
ぼくは昔、アメリカで手に入れたケルトストーンのオモチャを複製するのに使いました。(アメリカで50円くらいで売っている物ですが、日本では1000円以上する高級品しか手に入らなかったので)
こちらは林さんの光速測定装置。なんと、反射鏡用のコーナーキューブ(写真左)のかわりに、カメラを使うというだいたんなバージョンアップ(?)がされていました。
なぜカメラが反射鏡になるのか・・・
・・・
・・・
答:内部のフィルムの位置に、鏡が入れてある。
フィゾーの実験の最初のやりかたですね。
フィゾーの実験では、凸レンズの焦点の位置に鏡を置くことで、コーナーキューブのように反射光を入射光の方向に反射するしくみが使われています。これをカメラのレンズと、フィルムの位置にセットした鏡で実現したというもの。発想の転換ですが、面白い! よくこんなこと考えつくなあ・・・脱帽。
他にもいろいろ発表がありましたが、詳細は愛知物理サークルのウェブサイトでどうぞ。今までの例だと、あと二ヶ月位すると更新される(笑)はずです。前回の分の記録は、昨日更新されていましたから。
そうそう、ひとつ面白い体験。
なんだか知らないけど、新生出版版の「いきいき物理わくわく実験」を手にした高校生が何人かいて、サークルの面々にサインを頼んでいました。みんな面食らいながらも、気恥ずかしそうにサインしていましたね。ぼくもその一人。
高校生の大量参加で、サークルは普段にない活気がありました。次回がまた、楽しみです。
*** お知らせ ***
2018年10月20日に『いきいき物理マンガで冒険』(奥村弘二マンガ・著:日本評論社)が刊行されました。
ミオくんと科探隊が異世界や過去へ行き、歴史上の科学者とともに、物理法則のクエストに挑む冒険物語です。小学校3年生以上で習う漢字にはルビが振ってありますので、小学生にも十分楽しめます。姉妹版の『いきいき物理マンガで実験』もよろしくお願いします。
アマゾンでは、電子版も購入できます。
大型店中心に置いてあるので、ご近所の書店で注文していただけると嬉しいです。
『いきいき物理マンガで冒険』立ち読みページはこちら
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6月に刊行された姉妹版『いきいき物理マンガで実験』ともどもよろしくお願いします。
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