先日、製作中のドキュメンタリー映画の取材のために、佐野泰司監督と共に、神奈川県横須賀市の乳児院と児童養護施設にお邪魔した。
まずは、社会福祉法人誠心会の常務理事しらかば保育園園長の浜田和幸さんの元を訪ねる。
浜田さんは、児童福祉司であり保護司もされている。
先代の園長であったお父様が亡くなった後に、この保育園の園長に就任されたそうだ。
忍者の里。
とても個性的な保育園。
興味津々。
保育園は海の近くの高台にあり、風通しも見晴もいい。
「たのもう!」という気分で伺う。
さすが、忍者の里。
子どもたちが、物凄い勢いで飛んだり跳ねたり、走り回ったりしている。
園長の浜田さんは、子どもたちの現状、社会制度などの問題点、児童福祉への熱い取り組みなどを、とても分かりやすくお話をして下さった。
その後、久里浜にある、しらかばベビーホーム(乳児院)と、しらかば子どもの家(児童養護施設)へ。
この施設は、今年4月にオープン。
乳児院は、三浦半島に初めて、養護施設は2件目の設立だそうだ。
だが、乳児院と養護施設が同じ建物内に共存しているのは、全国でもまだ例がないらしい。
0歳から乳児院で養育されていた子どもが、2歳になると、強制的にまったく別の養護施設に移される。
それだけでも、幼い子どもにとっては、とてつもないストレスになる。
子どもの愛着障害を引き起こす、行政サイドの虐待だと言われてきたそうだ。
だが、ここは、分離されることがない。
同じ建屋の、1階が乳児院、2階、3階が養護施設という作りなのだ。
乳児院の赤ちゃんたちが2歳になり養護施設に移っても、お馴染みの保育士さんや看護師さんといつでも会える。
兄弟が、年齢で分離させられることもない。
こんな施設がもっと増えてくれればと、祈るような気持ちでお話を伺った。
養護施設の子どもたちには、それぞれの個室。
個室を出ると、リビング・ダイニング。
より家庭に近い環境で子どもたちが育つようにと、さまざまな所に細やかな配慮が見られる。
子どもの中には、0歳から18歳まで暮らす場所になるかもしれない。
ここが、彼らの実家になるのだ。
「ここを出ても、辛いことがあったら、気楽に戻って来れる場所になれば」と浜田さんは語っていた。
屋上にあるソーラーパネル。
取材に伺った次の日は、街の花火大会が開かれるようで、屋上でバーベキューをするのだと、スタッフの方が、楽しそうに準備をされていた。
お話を伺った、乳児院の施設長の濵田さんも、臨床心理士の芝さんも、養護施設長の青木さんも、たくさんのスタッフの皆さんも、どなたとお話をしても、とても楽しそう。
そして、子どもたちを見つめる目の、温かいこと。
もちろん、子どもたちのバックボーンはとても厳しい。
施設は、家族の再統合を図るためのお手伝いも担っている。
将来のことを思っても、越えなければならないことはたくさんある。
でも、それでも、このたくさんの眼差しがあれば、大人たちの温かい声や、思いが信じられれば、子どもたちは、折れずに生きて行けるのではと感じられた。
屋上から海を臨む。
当事者の子どもたちが観て、自分の未来に希望が持てるような映画がつくりたいと切に思った。
それにしても、浜田さんと濱田さんと濵田さん。
みんなハマダさんだけど、まったく血縁のないハマダさんつながり。
濱田真実さんも、頑張らなければ。